Column
UNIXからLinuxへの移行を判断するポイントとは?
「Linuxは無料と聞いたから」「家でLinux PCを愛用しているから」「技術担当者がLinuxを気に入っているから」――そんな弱い根拠で移行を決めたりしていないだろうか。
あなたが最近採用したUNIX管理者は、Linuxにもめっぽう詳しい。ネットワークチームもLinuxを使いこなす力があり、それを発揮したくてうずうずしている。会社の金庫番はそれとなくコスト削減の圧力をかけてくる――いよいよLinuxに移行する潮時なのだろうか。
本稿では、UNIXからLinuxへの移行についての検討と判断をいかに的確に行うかを説明する。どんな場合に移行すべきか、移行すべきでないかにも触れる。
移行の理由
企業がUNIX以外のアーキテクチャへの統合や移行を行おうとする理由は3つある。
更新の必要性
サーバが頻繁にクラッシュしたり、あなたが信頼性会議でいつも言い訳に終始していたり、サービスレベル契約(SLA)を満たせなかったり、技術サポート担当者からOSがもうサポートされていないといわれている場合には、何かを変えなければならない。
今使っているOSが古いものなら、アップグレードか移行が必要だろう。環境の更新を計画する絶好のチャンスかもしれない。
コスト削減
あなたは現在の環境の維持にどれだけコストをかけているだろうか。ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションライセンス、保守契約、ストレージを計算に入れると、思ったよりもずっと多くの金を支払っているだろう。
最終的には、移行するかどうかの判断は、ROI(投資利益率)に基づいて決まるだろう。移行によって現在のコストを大幅に削減できるかどうかが重要だ。PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、会社に大きなROIをもたらすプロジェクトを優先するため、移行するための投資を正当化する根拠を準備しなければならない。
IT統括役員の交代
新しいCIOが就任すると、お決まりの短い蜜月・熟慮期間を経て、さまざまなベンダーがCIOのオフィスを訪れ始める。多くの場合、既存環境がどれだけうまく機能しているかにかかわらず、新任のCIOは、会社の技術インフラの改革で功績を挙げようとする。それに伴って移行が実施されるかもしれない。
選択肢の調査
UNIXサーバファームの再構築が決定されたら、利用できる選択肢を調査しなければならない。1つの選択肢は、既存アーキテクチャをそのままアップグレードすることだ。この場合、インフラに関するスタッフの知識を活用して、より強力で信頼できるシステムにアップグレードすることができる。
2つ目の選択肢は、ほかのUNIXプラットフォームに移行すること、3つ目の選択肢は、Linuxに移行することだ。
あなたの会社がサン・マイクロシステムズ製品を大規模に利用していて、調査の結果、IBM製品に乗り換えて統合することで、何百万ドルも節約できそうなことが分かったとしよう(これはあくまで例であり、実際にはサン製品のメリットを論じることもできる)。
この架空の例では、IBMのPOWER5アーキテクチャが、同一サーバ上でUNIX(IBMのAIX)とLinux(RHEL4とSLES9)を両方サポートすることが調査で分かっている。このため、引き続きサン製品を使う場合や、ヒューレット・パッカード(HP)製品に移行する場合よりも、多くの選択肢があることになる。
優秀なLinux技術者が社内にいるなら、このハードウェアプラットフォームでLinuxを運用するのが理想的かもしれない。IBM pSeriesサーバでは、1つのフレーム(サーバ)上で複数の論理パーティションを使用でき、(IBMのAdvanced Power Virtualizationを用いて)1個のCPUでマイクロパーティショニングを利用し、UNIXアプリケーションとLinuxアプリケーションの両方をホストすることもできる。
最大限の信頼性とパフォーマンスが必要なデータベースアプリケーションについては、UNIXパーティションで運用することが考えられるだろう。そして、ほかのアプリケーションやWebサーバについては、Linuxパーティションを使うのが最適だろう。
正しい理由でLinuxに移行する
「Linuxは無料と聞いたから」という理由でLinuxに移行してはならない。SUSEやRed HatのLinuxディストリビューションは有料であり、電話サポートも同様だ。また、「家でLinux PCを愛用しているから」とか、「技術担当者がLinuxを気に入っているから」という理由でLinuxへの移行を考えるのも禁物だ。UNIXからLinuxへ移行する現実的で強力な理由がなければならない。
会社がスケールアウトによる拡張を行う方針を取っている場合や、大型マシンに不便を感じている場合は、ブレード技術の採用を考えるべきだろう。Linuxベースでパフォーマンスの高いブレードクラスタソリューションが、ベストなソリューションかもしれない。
また、Linuxの最大の売り物の1つは、PCのコモディティハードウェアでも大型マシンでも動作することだ。
一部のUNIXは、ベンダーがセットで販売している(高価な)ハードウェアを買わなければ利用できない。ほとんどのLinuxディストリビューターはハードウェアを販売していないため、特定のハードウェアにしばられる心配がない。ただし、Linuxでは、クライアント側の周辺機器の選択肢が限られるかもしれない。一部のLinuxディストリビューションでは、ドライバが十分に用意されていないためだ(注:自社のサーバやPCに独自のLinuxディストリビューションをバンドルしているハードウェアベンダーもある)。
常に目指さなければならないのは、会社の方針に合った技術ソリューションを活用することだ。もしあなたの会社が1社のベンダーのプロプライエタリなアプリケーションだけを使おうとしており、そのベンダーがUNIXも売っているなら、そうしたアプリケーションに合わせてチューニングされたOSを使うメリットを生かした方がよいだろう。しかし、プロプライエタリかオープンソースかを問わず、分野ごとに優れたアプリケーションを選択する方針なら、Linuxを使うのが得策だ。また、コスト削減を目指している場合も、Linuxはもってこいだ。
Linuxを、部門用の小規模なアプリケーションのためだけのOSと考えてはならない。Linuxは間違いなく、あらゆるタイプのサーバ統合・移行プロジェクトに適用できるエンタープライズソリューションの選択肢だ。
調査を行い、ベンダーと話して、少なくとも4つは技術シナリオを作成すべきだ。ベストなソリューションは、UNIX、Linux、あるいはWindowsだけを使用するソリューションではなく、これら3種のOSを組み合わせて使うソリューションであることに気付くだろう。その環境をROIの観点から正当化できるなら、そして異種混在環境のサポートを難なくこなせる体制があるなら、何も心配は要らない。
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