業界のセキュリティ標準を活用してセキュリティを強化する、コンプライアンス管理のためのベストプラクティス4項目を紹介する。
情報セキュリティ標準は金融機関にとって、セキュリティ態勢強化のためのツールになり得る。ただし、適切に使えばの話だ。壁に絵を掛けるたびに金づちとくぎを発明・設計・制作する必要がないのと同じで、会社のセキュリティ標準をゼロから作る必要はない。しかし、基礎部品を使って金融機関としてのニーズを満たすには、多数の重要な選択をし、適切な手順を踏む必要がある。ここでは、業界のセキュリティ標準を最大限に活用するためのベストプラクティス4項目を紹介する。
「標準的な」標準などというものは存在しない。どの標準を選べばよいか、そしてその選択の結果自分がどのような責任を負うことになるかを知ることが、コンプライアンス管理の第一歩だ。
一部の業界や組織には、法令で定められた情報セキュリティ標準を満たすことが義務付けられている。金融業界はグラム・リーチ・ブライリー法(GLB法)を順守する必要がある。医療機関や健康保険会社、医療情報管理会社は医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA法)に縛られる。さらに公開企業は、サーベンス・オクスリー法(SOX法)で、会計システムを詐欺や不正利用から守る責任が定められている。
また、業界のベストプラクティスを標準としたセキュリティプログラムを導入したい金融機関のための自主基準も多数ある。以下に例を挙げる。
国際標準化機構(ISO)が管理するISO 17799は、情報セキュリティ標準の一般原則に最も近い。資格を持った外部の監査人による業務監査を受ければ、17799準拠企業として登録される。
「Standard of Good Practice for Information Security」(情報セキュリティのためのグッドプラクティス標準)は、セキュリティ強化に関心を持つ企業で作る世界組織Information Security Forum(ISF)が公表している。この文書は無料で入手できる。ISFは加盟社向けに、同標準に関連した幅広いツールやサービスを有料で提供している。
どの標準を選ぶにしても(あるいは法令で順守が定められているどの標準にしても)、これらの文書化されたベストプラクティスから何が得られ、何が得られないかを理解しておくことが大切だ。例えば、情報へのアクセスは個別の認証情報で保護しなければならないとか、重要な情報は2要素認証で保護しなければならないといった一般原則は得られる。しかし、どの情報が重要で、どのような2要素認証を使えばいいのかは示されない。標準の意図はこうした疑問を生じさせることにあり、答えることを意図していない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ドメインリスト貸し」は何がマズい? サイトの評判の不正使用について解説
「サイトの評判の不正使用」について理解し、正しい対策が取れるにしましょう。
代理店にもAIにも「丸投げ」はダメ 成果報酬型マーケティングを成功させるポイントは?
「成果報酬型マーケティング」を実現する上でインターネット広告業界が直面する課題とは...
YouTubeやTikTokの利用時間、20代以下ではテレビを圧倒 どれだけ差がついた?
YouTubeやTikTokでのコンテンツ視聴は購買行動に関係しているのか。PRIZMAが10代から30代...