iPhoneを使ってオフィス外から会社のリソースにセキュアにアクセスできる製品が登場している。これでシンプルなVPN接続が可能になるのだろうか。
米AppleのiPhone販売台数は全世界で1000万台を超えたが、この人気端末を職場環境で使えるようにするための製品に関してこれまでセキュリティビジネスの反応は鈍かった。
そうした中、ドイツのセキュリティ企業Astaro(アスタロ)が「Security Gateway」アプライアンスの新機能を打ち出した。これでiPhoneユーザーはオフィス外から会社のリソースにセキュアにアクセスできるようになると同社はいう。同時に、システム管理会社のKACE Networksがサポートを提供している。
AstaroはiPhone用の自動設定機能を開発し、iPhoneに標準搭載されているCisco IPsec VPNクライアントを使ってユーザーがセキュアな接続を設定できるようにした。
3、4段階の簡単なステップを踏んで初期設定を済ませれば、ユーザーがログオンするたびにセキュアなVPNトンネルを自動的に作成し、セキュアなゲートウェイ内部にあるERP、CRMアプリケーションといった会社のリソースにアクセスできるようになるとAstaroは説明する。
英国でAstaroの営業マネジャーを務めるアンドリュー・フォーリー氏は言う。「われわれは、遠隔設定の苦労の多くを取り払った。仕事でiPhoneを使おうと思ったらVPNを使う必要がある。どうせなら何か新しいものをダウンロードするのではなく、内蔵のものも使いたいだろう。課題はiPhoneをゲートウェイと交信させ、リソースにアクセスさせることだ。これはできる限りシンプルにする必要がある」
いまだに管理職の多くは本格的なコンピュータ作業をするためにノートPCの持ち歩きを強いられているが、iPhoneでその作業ができるならその方がいいだろうとフォーリー氏は話す。「課題はエンドユーザーへの影響を最低限に抑えることだ。もしそれが難しければ、IT部門は対応しないだろうし、iPhoneは仕事では使えないただの“ぜいたく品”になってしまう」
AstaroがCisco IPsec VPNクライアントに対応したのは、「Cisco PIX」(シスコシステムズのセキュリティゲートウェイ)アプライアンスを使っている多数のユーザー向けに、Secure Gatewayアプライアンスの魅力を高める狙いもある。Cisco PIXは2009年7月にサポート期限が切れるが、多くの企業は選択肢が限られていると考え、わざわざVPNクライアントを変更するよりは、Ciscoの新しいアプライアンスにアップグレードするだろうとフォーリー氏はみる。
Astaro Security Gatewayはソフトウェアとして、アプライアンスとして、または仮想アプライアンスとして利用できる。英国ではチェスターフィールドのArc Technology Distributionと、サリー州チェッシントンのNorthamberを通じて提供予定(※)。
※編注:日本ではネクスト・イットやデバイスドライバーズが提供中。
ほかにもiPhoneを狙っている企業としては、システム管理を手掛けるKACEが最近、英国に進出した。同社は「KBOX」シリーズのシステム管理アプライアンスにiPhoneのサポートを追加。システム管理者はネットワーク上のほかの端末を管理するのと同じように、iPhoneのプロビジョニング、設定、ポリシー管理ができるようになった。
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