2009年07月27日 07時30分 公開
特集/連載

機密データを安心してクラウドに預けられる暗号方式完全準同型暗号の実用化が射程に

この方式を使えば、機密データの内容を一切知らせないまま、信頼していない相手に計算作業を委託し、計算結果を入手するといったことができるようになる。

[Carl Brooks,TechTarget]

 米IBMの研究員クレイグ・ジェントリー氏が、暗号分野の数十年来の難問を解決した。専門家によると、このブレークスルーがクラウドコンピューティングにもたらす影響は極めて大きい。

 ジェントリー氏は、「完全準同型暗号(fully homomorphic encryption)」を実現する方法を考案した。この方法は、暗号を復号したり、その機密性を損なったりすることなく、暗号化されたデータに対する複雑な数学的演算を可能にする。ただし、この方法には難点もある。膨大なコンピューティングパワーが必要なことだ。場合によっては現在の1兆倍ものレベルが必要になると推計されている。

 ジェントリー氏の研究成果がうまく実用化されれば、例えば防衛関連業者や医薬品研究施設などが、セキュリティや規制コンプライアンスに不備が生じることを心配せずに、機密データを外部に送信して分析を受けるといったことが可能になる。現在はこうしたデータを外部に出さないようにしている企業や組織も、重要性の高い業務を安心してアウトソーシングできることになる。

 「ジェントリー氏が考案した方法は、ここ数十年の暗号学における最大級の理論的成果だ」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)の電気工学・コンピュータ科学科の准教授、スコット・アーロンソン氏は語った。

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