市場の変化が激しいハイテク製造業では、市場の需給を予測し、それをさまざまな部門で共有することが求められる。そのための“情報ハブ”として機能する「Oracle Demantra」の機能詳細を解説する。
SAPと並び、グローバル企業のサプライチェーン管理(SCM)を担う製品を幅広く提供しているベンダーとして知られるのがオラクルだ。同社の製品は特に大規模なハイテク製造業において高い導入実績を持つ。
SCMには大きく分けて実行系と計画系があるが、オラクルでは従来、製品ポートフォリオが充実していた実行系に加え、ここ最近は計画系のソリューション拡充に力を入れているという。日本オラクル アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部 本部長 末兼達彦氏は、次のように述べる。
「近年、品目バリエーションは増える一方で、製品ライフサイクルはどんどん短くなっている。生産のオペレーションも地理的に分散し、サプライチェーンが複雑化してきている。こうした状況下で最適なバリューチェーン計画を迅速に立案するには、市場の変化をいち早く読み取り、正確な需要予測を立てた上で、供給計画へと一気に落とし込めるようなソリューションが求められている」
オラクルの数あるSCM製品の中で、こうした計画系ソリューション領域をカバーしている製品が「Oracle Demantra」だ。同製品が提供する機能には、大きく分けて「需要管理」と「リアルタイムS&OP」の2つがある。
Oracle Demantraの需要管理機能は、統計的アルゴリズムに基づいた予測エンジンを装備している。過去の履歴データを入力すると、予測モデルのライブラリの中から最も適するものを選び、予測値を算出してくれる。例えば顧客やパートナー、自社の在庫など複数の情報から今後の需要を予測し、それに基づく製造計画などを立てることができる。
需要予測で難しいのは新商品を投入する場合だ。既存商品と異なり、新商品には履歴データが存在せず、統計的アルゴリズムによる分析が困難とされている。だが、Oracle Demantraでは、独自開発の予測アルゴリズムを用いることによって、高精度の需要予測を可能にしているという。
「人手で予測を行う場合は、たとえ履歴データが少なくても、その製品と類似した製品やカテゴリのデータを参考にしながら予測を割り出す。Oracle Demantraでは、これと似たような方法を用いて、新製品の需要予測をかなりの精度で行うことができる。これは他製品にはない、とてもユニークな機能だ」(末兼氏)
Oracle Demantraは需要予測の結果も含めた需要情報を全社的に一元管理するための情報基盤も備える。マーケティング部門や販売部門、あるいは各拠点から個別に収集した需要情報を集約し、それらを地域別や商品カテゴリ別などさまざまな階層に分けて管理できる。こうして集約した需要情報は、スプレッドシートやグラフ、チャートなどを任意に組み合わせたビューで表示される。
こうした機能を全社的に活用しながら需要計画を詰めていくわけだが、Oracle Demantraにはさらに、この需要計画を供給計画へとシームレスにつないでいくためのさまざまな機能が備わっている。
例えば、需要と供給に関する情報を同一プラットフォーム上で一元管理し、広く可視化することにより、全社レベルでの需給計画の迅速な立案を支援する。また、需要変動が供給計画に与える影響をシミュレーションする機能も備える。さらには、供給情報に生産の情報を統合することで、供給計画と生産計画との間のギャップを可視化できるようにもなっている。
もう1つ特徴的なのが、財務視点での事業計画の情報を統合することで、需給計画が全社的な事業目標に沿っているかを確認できる「リアルタイムS&OP」機能だ。
「需要情報を一手に引き受けると同時に、供給側の都合や計画に関する情報も取り込み、さらには事業計画を達成するための売り上げ計画との対比も見ていく。このように、Oracle Demantraは『情報のハブ』として機能する。単体の製品でここまで広範な情報や機能をカバーする製品は、現時点ではOracle Dematraの他にはないはずだ」(末兼氏)
グローバルビジネスのサプライチェーン管理において、近年特に重要視されるようになってきたのが、スピードやリアルタイム性だ。より精度の高い需給計画を立案するには、大量のデータを収集・処理する必要がある。また、供給計画を生産計画やMRP(資材所要量計画)にまで落とし込んでいくとなると、これもまた極めて大量のデータを扱うことになる。これらの大量データを迅速に処理するためには、高い処理性能を持つコンピューティング環境が必要になる。
この処理スピードという点でも、オラクルのソリューションは他社と比べ大きなアドバンテージを持っていると末兼氏は説明する。
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