依然としてクラウドの利用を阻むデータ秘匿性に関する懸念クラウドセキュリティに関する読者調査結果リポート

クラウドサービスの利用に懸念を抱いているユーザー組織が多い。最大の課題はやはりセキュリティだ。読者調査を基にユーザーが考えるクラウドセキュリティについて探る。

2013年06月19日 08時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパンは2013年5月7日から5月19日にかけて、TechTargetジャパン会員を対象にクラウドセキュリティに関するアンケート調査を実施した。利用しているクラウドサービスの種類、クラウドサービスの利用を阻害する要因、クラウドサービスのセキュリティに関する具体的な懸念などを聞いた。本稿は、アンケート調査から明らかになったクラウドセキュリティに関する読者の認識の一部を抜粋して紹介する。全ての結果を記載したリポートは、文末のリンクから会員限定でダウンロードできる。

調査概要

目的:TechTargetジャパン会員の企業におけるクラウドサービスの利用状況およびクラウドサービスのセキュリティに関する意識について調査するため

方法:Webによるアンケート

調査対象:TechTargetジャパン会員

調査期間:2013年5月7日〜5月19日

総回答数:173件

※回答の比率(%)は小数点第1位を四捨五入し表示しているため、比率の合計が100%にならない場合があります。


注目されるIaaSやPaaSの利用状況は

 「クラウドサービスを利用しているかどうか、利用している場合はどのようなクラウドサービスを利用しているか」について聞いたところ、「使っていない」が50.3%、すなわち約半数を占めた。

 クラウドサービスを使っている場合も、電子メールやストレージのサービスを答えた読者が多い。IaaS(Infrastructure as a Service:仮想サーバホスティングサービス)やPaaS(Platform as a Service:アプリケーション開発・運用基盤サービス)を利用しているのは、それぞれ約1割にとどまった。

 IaaSやPaaSは最近注目されているものの、読者の属する企業や組織の大部分は、実際に業務で利用するまでには至っていないことが分かる。

図1 図1:勤務先が使うクラウドサービス《クリックで拡大》

※グラフ内の選択肢に誤りがあったため修正しました。申し訳ありません(2013年8月2日追記)

クラウドサービス利用、最大の難関はセキュリティ

 「勤務先で、クラウドサービスの利用を阻害する要因となっているもの」について聞いたところ、58.7%、すなわち約6割が「セキュリティ上の懸念」を挙げた。

 これに続いて回答が多かったのは「可用性、運用の安定性に懸念がある」(28.5%)、「コストが思うように下がらないなど、料金体系に不満がある」(27.3%)、「既存アプリケーションやデータの移行が困難」(26.3%)など。つまり、「セキュリティ上の懸念」は、他のあらゆる選択肢に比べて2倍以上の回答を集めた。セキュリティに関する不安が、どれほどクラウドサービスの利用を妨げているかを示している。

 一方、「他の事業者などへの切り替えが困難」と答えた読者は13.4%にすぎなかった。クラウドサービス事業者によるベンダーロックインへの懸念は、あまり感じていないようだ。

図2 図2:職場でのクラウドサービス利用阻害要因

最大の不安はデータの秘匿性にある

 「クラウドサービスでは、何がセキュリティ上の問題となるか」についても聞いた。61.0%と、最多の回答を集めたのは「データの秘匿性が確保されているかに不安がある」。一方で「データの所在場所を特定できない」という回答は27.9%だった。比率として小さくはないが、データの秘匿性への不安に比べれば、圧倒的に小さい。

 つまり、(法令上の要請がある場合を除き、)単純にデータの所在場所を特定できなければならないという硬直的な考えよりも、結局のところデータの秘匿性についてクラウドサービス事業者を信頼せざるを得ない状況になってしまっていることが、大きな不安につながっていると考えられる。

図3 図3:クラウドサービスのセキュリティ上の問題

詳細なアンケート結果は、以下からダウンロードできる(TechTargetジャパン会員限定)。

 本稿では紹介しきれなかったさまざまなアンケート結果とともにアンケート回答者の詳細な属性も紹介されている。ぜひ参照されたい。


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