Windows 8の製品展開に失敗したMicrosoftは、既にWindows 9に軸足を移しているとうわさされている。だが、Windows 9が登場するころには、OSのアップグレードよりも効果的な選択肢が増えているかもしれない。
90年代の半ば、Microsoftは「Where do you want to go today?」(今日はどこに行きますか?)と銘打った広告キャンペーンを展開していた。今では新しいバージョンのWindowsがカード大の機器に搭載されるようになり、2014年に就任したCEOが、現在はクラウドコンピューティングと複数のIT環境を使い分ける時代だと主張している。ただ、同社はもはやデスクトップ市場を支配しているとはいえない。この状況で、次のWindowsに明るい未来は待っているのだろうか。
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Microsoftは既に、Windowsの次期メジャーアップグレード、コードネーム「Threshold」に軸足を移しているといううわさがある。この製品が世に出れば、新しいCEOであるサトヤ・ナデラ氏は再び注目を浴びることだろう。
PCの売り上げ減少に歯止めがかからず、かつてMicrosoftの天下だったデスクトップソフトウェアもiOSとAndroidの成功に浸食されている今、Microsoftは同社にとってのWindowsの意味を再検討することを余儀なくされている。
本誌Computer Weeklyで既報(訳注)の通り、最新のPCにはWindows 8が搭載されているが、これまでのところ企業ユーザーの反応は今一つだ。2014年前半にWindows XPのメーカーサポートが終了したとき、多くの企業は代わりのOSとして、最新のWindows 8ではなく1つ前のバージョンであるWindows 7を選択した。
訳注:別冊Computer Weekly Windows Phone/タブレットの逆襲
MicrosoftはノートPCやデスクトップのユーザーの関心を取り戻すため、Windows 8に「スタート」ボタンを復活させた。しかしユーザーから大きな反響を得ることはなかった。そのボタンが戻ってきたところで、Windows 8のUIがタッチデバイス向けに最適化されているという印象は大して変わらなかったからだ。
ノートPCを使うビジネスユーザーはMicrosoftに対して、Windows 7のルック&フィールの方が好ましいとメッセージを送っている格好だが、Microsoftはいまだにユーザーが期待していた「スタート」メニューは(Windows 8では)復活させていない。Windows 8.1のUpdate 2は2014年後半の公開と予想される。一部のリポートによると、同社は事実上Windows 8の改良を諦め、Thresholdを完全に新しいOS「Windows 9」としてリリースする意向のようだ。
その新しいOSは、インストールするデバイスの性質によってルック&フィールが変わると予測されている。デスクトップPCにインストールした場合は、従来のWindows 7の「スタート」メニューが表示される。だがタブレット端末やいわゆる「2-in-1デバイス」(タブレットとしても使えるノートPC)では、タッチデバイスに最適化したUIが表示される、ということだ。
ナデラ氏は、企業ユーザーとコンシューマーの間で、それぞれのニーズのバランスに配慮しなければならない。Microsoftは今後、SQL Server、多様なコンピューティング環境、そしてクラウドを優先すると同氏が公言しているところからみて、同社は方向転換を図っているようだ。
確かにMicrosoftは新たな課題に直面している。現在のビジネスユーザーは、昔のようにとにかく同社製品を購入する、という様子ではない。米Googleは、クラウドベースのエンタープライズ製品の開発を着実に継続している。また、ブラウザベースのSoftware as a Service(SaaS)製品、例えば米Salesforce.comのSalesforce.comなどを利用する場合は、特定のOSを選択する意義は以前よりも薄くなる。
筆者は2014年3月にナデラ氏と話す機会があり、同氏はソフトウェア事業に対する意気込みを聞かせてくれた。当時、同氏は次のように語っていた。
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