テクノロジーパイオニアのレイ・オジー氏が創立したモバイルスタートアップ企業のTalkoはIT部門を引き付けることができるか?
ある業界パイオニアが、モバイル分野における人々の通信手段を変革しようとしている。専門家たちは、それがいずれエンタープライズ市場に大きなインパクトをもたらすだろうという。
米Microsoftの元チーフソフトウェアアーキテクト、レイ・オジー氏が率いるスタートアップ企業Talkoの開発したモバイルアプリケーション「Talko」が、ついに姿を現した。
エンタープライズ仕様のバージョンはまだ先になるが、Talkoはいずれエンタープライズ通信機能の一部に取って代わるかもしれない、と専門家は話す。
VoIP技術を用いるTalkoは、Wi-Fiや携帯電話ネットワークを利用でき、会話をクラウドに保存することが可能だ。それらの会話はライブで行うことも、また保存して他のユーザーや複数の受信者に転送することもできる。さらに参加者は、Talkoの会話の重要な部分をブックマークしたり、アクションアイテムとしてタグ付けしたりすることもできる。
「このツールは企業利用でも喜ばれるクリアな生産性拡張機能を持っている」と語るのは、米調査会社VDC Research Groupの上級モバイルアナリスト、エリック・クライン氏だ。
例えば、会話の途中、コラボレーションの一部として、写真やテキストをシームレスにやりとりしたり、そうした会話を記録としてクラウドに保存したりできる。
「このツールは大きな注目を集めるだろう。それはオジー氏のネームバリューだけではなく、そこにクールな技術がたくさん組み込まれているからだ」とクライン氏。
「『Skype』や『Microsoft Lync』など、インスタントメッセージングやビデオカンファレンス、それらを組み合わせたアプリケーションは多いが、問題はそうしたアプリケーションやデータを企業がいかにコントロールできるかだ」。そう指摘するのは、無線技術アドバイザリー会社、米Farpoint Groupの創立者、クレイグ・マシアス氏である。
「ITのコンシューマライゼーションとともに、アプリケーションのコンシューマライゼーションがやって来た」とマシアス氏はいう。「たとえ明確に禁じられていたとしても、人々は会社の情報を『Dropbox』に置き、それを当然のことのように思っている」
もしTalkoが組織に組み込まれ、データ転送のセキュリティと一貫性が保証された統合コミュニケーションアプリケーションとして確立すれば、IT部門にとっても非常に魅力的なツールになるだろう。
「(コンシューマライゼーションの)利点は低コストであること。欠点は、悪意の第三者にとって電話でやりとりされるデータは千金の値打ちがあるという点だ」とマシアス氏は指摘する。「会話でも、動画でも、コラボレーションでも、それは全く同じことである」
今のところ、Talkoは無料のiOSアプリとしてのみ提供される。同社の共同創立者でプロダクトリーダーのマット・ポープ氏によると、現在、米GoogleのAndroid OSとWeb用のクライアントを開発中だという。
ポープ氏と3人目の共同創立者であるエリック・パテイ氏は、オジー氏とともにMicrosoftと米Groove Networksで(Microsoftに買収されるまで)一緒に働いていた。
ポープ氏によると、AndroidアプリとWebクライアントを提供した後、同社は有料(ユーザー単位、月額料金体系)のエンタープライズ版を発表する予定だ。サブスクリプション契約すれば、Talkoの通話とデータを保管できるようになる。
Talkoでは現在、同ツールをエンタープライズアプリと位置付けてはいないが、同社の経営陣は、消費者に受け入れられたら、いずれ組織的ツールとして利用が拡大するだろうと期待している。
「われわれはその方向(エンタープライズ)へ向かう必要がある」とポープ氏は語る。
「コンシューマライゼーション時代においては、アプリから徐々にエンタープライズへ浸透していくアプローチは、理にかなっている」とクライン氏。
「今日のような騒々しい環境にあっては、たとえビッグネームや大きな資本があったとしても、市場に浸透していくのは困難だ」とクライン氏はいう。「他のプラットフォームと統合する方法が見つかれば、ビジネス市場へ参入するための足掛かりになるだろう」
エンタープライズ版のTalkoには、いずれ管理機能が追加され、IT部門で同製品の管理や配備ができるようになるという。
Talkoの従業員は現在10人で、ボストン、サンフランシスコ、シアトルのオフィスに分散している。
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