もうPBXなんていらない!?
Microsoftウオッチャーが注目する急成長製品「Lync」の真価
米Microsoftの「Lync」はユニファイドコミュニケーションに大きな変化をもたらす可能性がある。だが、企業は本当に旧来のPBX(構内電話交換機)システムと決別できるのだろうか。
米Microsoftが比較的短期間でIP電話(IPT)市場の主要ベンダーとなったことは紛れもない事実だ。米Nemertesが企業を対象に実施したテクノロジーに関する調査「2013-14 Nemertes Enterprise Technology Benchmark」によると、新しいIPTプラットフォームへの移行を計画していると答えた企業は全体の55%だ。そのうち13%が「Microsoft Lync」への移行を計画している。これは米Avayaの製品への移行を計画している企業と同じ割合だ(依然としてトップは米Ciscoで23%を占めている)。
Microsoftは見込み客に対して説得力のある宣伝文句を発信している。「全てのニーズに対応できるプラットフォームがある。どうしてインスタントメッセージ(IM)とプレゼンスにLyncを使用し、Web会議のシステムを使用し、さらに別のIP電話システムを使用する必要があるのだろうか」というものだ。このメッセージに耳を傾けているのは企業ユーザーだけではない。Microsoftの競合企業もまた、このメッセージを意識している。競合企業の中には、Lyncの機能セットに合わせて迅速に変化し、Lyncを凌ぐ機能を提供している企業もある。
Lyncは万人向けのプラットフォームなのか
Lyncを購入する顧客に共通して見られる統計データを以下に列挙してみよう。
- 規模は中程度から大きな企業。新しいテクノロジーを導入することを「最先端」と見なしている
- Microsoft Enterprise Agreementを契約している、Microsoftアプリを展開している(Microsoft Office、Microsoft Exchange、Microsoft SharePoint)、IMとWeb会議にLyncまたは「Office Communications Server」を使用している
- ユーザーである社員は、ソフトフォンベースのコミュニケーションに価値を置き、旧来のPBXシステムの機能の多くを必要としないナレッジワーカーで構成されている
- 現行のテレフォニー環境が転換期を迎えており、レガシーインフラを交換する必要性を実証できる
- 別のIPTプラットフォームに最近投資をしていない
- 電話網担当の組織を他のアプリケーションのグループと統合している
IPTプラットフォームとしてLyncを実装する上で最大の課題となるのは、適切なパートナーを探すことだ。電話、ビデオ電話、セッションボーダーコントローラー、リモートサイトとアナログのゲートウェイ管理などを提供するパートナーが必要になる。Microsoftの競合他社では、これらのコンポーネントを自社で提供している。一方でLyncを使用するには、さまざまなパートナーの製品を統合して管理しなければならない。多くの場合は幾つもの構成アプリを使用する必要がある。
その結果、Nemertesの総所有コスト(TCO)に関するアンケート結果が示すように、大手IP電話ベンダーの中でLyncの運用コストが一番高い。だが、前年比コストには減少傾向が見られる。これはSIerと企業がLyncの運用に慣れ、導入が拡大していることに起因するものだ。
複雑だが興味をそそられるLync
コストと統合の問題があるにもかかわらず、IPTプラットフォームとしてのLyncに対する関心は高まっている。これはMicrosoft独自の機能と営業努力のたまものだろう。また、モバイル端末とデスクトップPCで総合的な機能を提供している点は、製品担当者の熱意の表れとも受け取れる。デスクトップPCとモバイル端末で一貫したユーザーエクスペリエンスを提供するという課題は、旧来のPBXシステムに取って代わる新たなプラットフォームとして、Lyncへの関心を大幅に高める要因となっている。
AvayaやCiscoなどのベンダーは、デスクトップPC用のLyncプラグインを提供している。このプラグインを使用すると、LyncクライアントはサードパーティーのPBXシステムを使用して、電話による通信を行えるようになる。だが、このプラグインのモバイル端末版は提供されていない。そのため、例えばAvayaを使用している企業では複数のアプリを使用する必要が生じる。米Appleの「iPhone」や米GoogleのAndroidスマートフォンで音声通話が必要なときにはAvayaの「one-X」を実行し、IMとWeb会議の機能が必要なときにはLyncを実行しなければならない。つまり、ネットワークアーキテクトは「複数のモバイルアプリを提供するか、特定のベンダーの製品で固めるか」という選択を迫られることになる。特定のベンダーの製品で固める場合は、音声通話だけでなく、全てのユニファイドコミュニケーションの機能について対応が必要になる。
PBXシステムをLyncにリプレースすることを検討している企業に対してNemertesは、
- 最先端の選択肢を採用することに対する欲求
- 投資のコスト
- 現行環境の状態
- Microsoftとの関係
- ソフトウェアベースのコミュニケーションをユーザーに適用できるかどうか
以上の5項目を評価することを推奨している。
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