社内コミュニケーションを円滑にするユニファイドコミュニケーションツールの今後の機能で欠かせないのは、ソーシャルツールとの統合だ。2014年の動向を占う。
企業ユーザーは、業務遂行の円滑化に役立つ統合コミュニケーション(UC)やコラボレーションのプラットフォームを求めている。サイロ化された複数のアプリケーション間をクリックして移動できるだけでは、十分とはいえない。社内のサイロを壊し、企業向けソーシャルツールの導入を促すためには、ソーシャル機能とリアルタイムのコミュニケーションおよびコラボレーションツールのより緊密な統合が必要となる。
米TechTargetは2014年のUC市場動向予測の一環として、米調査会社Frost & Sullivanの上級アナリスト、ロブ・アーノルド氏に取材し、「企業向けソーシャルメディアは2014年、どのように企業ユーザーの生産性を高めることになるか」について話を聞いた。
アーノルド氏によれば、企業向けソーシャルは「企業ユーザーが“向かう場所”ではなく、“働き方の一部”にならなければいけない」という。ベンダーもようやくそれを理解したところであり、各社はこの先、ユーザーが業務を遂行するためのシングルサインオン機能あるいはシングルプラットフォームの提供に注力する必要がある。「相互に対話しない、無関係なプラットフォームが社内に複数存在していたのでは、非常に厄介なことになる」と、アーノルド氏は指摘する。
目下、多くのUCベンダーがソーシャルソフトウェアベンダーを買収し、自社ソフトウェアへのソーシャル機能の統合を進めている。企業向けソーシャルの価値を認識しているのは、UCベンダーだけではない。例えば、人事管理(HRM)ソリューションを提供する米Peoplefluentは自社ソフトウェアを強化すべく、企業向けソーシャルソフトウェアを手掛ける米Socialtextを買収した。
また仮想化技術大手の米VMwareはエンドユーザーコンピューティングプラットフォームの拡充を目指し、企業向けソーシャルコラボレーション技術を持つ米Socialcastを買収した。アーノルド氏によれば、この傾向は2014年も続く見通しという。「大手のITベンダーやビジネスソフトウェアベンダーが、ソーシャルコラボレーション技術によって既存の製品ポートフォリオを補完または強化しようとしている」と、アーノルド氏は語る。
既にソーシャル製品を手に入れているコラボレーションベンダーは今後、スタンドアロン製品の統合とバンドル提供に取り組むことになる。米Microsoftは最近、クラウド版オフィスサービス「Microsoft Office 365」に企業向けソーシャルサービス「Yammer」を統合すると発表している。米Cisco Systemsは既に企業向けのスタンドアロンコラボレーションプラットフォーム「WebEx Social」の開発をひっそりと打ち切っていることから、恐らく2014年には、Web会議ソリューション「WebEx」により多くのソーシャル機能を追加していくものとみられている。
企業の幹部らは2013年、企業向けソーシャルのより明白な投資対効果(ROI)と明確なバリュープロポジション(価値の提案)を認識し始めた。アーノルド氏によれば、この傾向は2014年も続く見通しという。アナリティクス機能とソーシャル技術の統合が進めば、企業向けソーシャルツールに投資する価値を幹部らが理解する助けにもなるはずだ。
「実際、ソーシャル開発者はアナリティクス機能への注力を強めている。重要なのは、情報を集約してリポートを作成し、細かく分析して、より意味のあるものにできる力だ。企業幹部は、“誰と誰がつながっているか”や“従業員が適切な相手とつながり、情報を共有しているか”、“従業員の業務上の習慣はどのようなものか”などを知りたがっている」と、アーノルド氏は語る。同氏によれば、さらに2014年には、適切なソーシャル技術によってビジネスプロセスの改善ももたらされる見通しという。例えば、社内のヘルプデスクチケットの削減の他、ソーシャルエンゲージメントを活用したより迅速な顧客対応による顧客満足度の向上といった効果が期待できる。
また同氏によれば、「ユーザーの好みは常にさまざまであり、今後もソーシャルツールにとっては“利用を習慣化してもらうこと”が真の課題になる」という。
「ソーシャル化といっても、使用するのは今ある各種のコミュニケーション機能であり、その使用方法がこれまでとは異なり、より洗練された方法になるというだけの話だ」と、アーノルド氏は語る。ただし、企業のソーシャル化は一夜にして起きるものではない。「コミュニティーの構築、ソーシャル機能の使用方法、ビジネスケースの構築などに関する指針をあらかじめ用意しておく必要がある」と、アーノルド氏は指摘する。
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