2017年03月28日 12時00分 公開
特集/連載

「アプリケーション仮想化」と「デスクトップ仮想化」の違いを比較代表的な製品も紹介

デスクトップを仮想化する方法を選ぶのは難しい判断だ。最良の選択をするには、効率とユーザーの操作性を考慮することが重要になる。「アプリケーション仮想化」と「デスクトップ仮想化」の違いを比較する。

[Kelly M. Stewart,TechTarget]

 Netflixのサービスでユーザーが番組を視聴する方法はさまざまだ。全シーズンを一気に視聴する人もいれば、1エピソードずつ視聴する人もいる。企業リソースをユーザーに配信する方法を選択するのも、これと似ている。

 仮想デスクトップと仮想アプリケーションの多様な実装方法から、企業は自社に最適なものを選択することができる。企業は仮想デスクトップの導入を実装したり、個別の仮想アプリケーションを配信したり、両者のハイブリッドを開発することも可能だ。正しい選択をするには、企業が仮想化によって何を達成しようとしているかをIT担当者が正確に理解していることが重要になる。

仮想デスクトップを選ぶ道

 デスクトップの仮想化とは、リモートまたはローカルクライアントに導入されるOSを適用することを示す。IT担当者がベースとなるインフラを管理し、ユーザーは各自のデバイスからOSにアクセスする。VDI(仮想デスクトップインフラ)やMicrosoftの「リモートデスクトップサービス」などのホストベースの仮想デスクトップではリモートディスプレイプロトコル接続が必要で、シンクライアント、スマートフォンおよびタブレットで使用できる。

 一方のクライアントベースのデスクトップ仮想化は、ローカルのハードウェアで実行される。この種のデスクトップ仮想化ではOSのストリーミングを使用し、ネットワーク経由で実行されるリモートディスクイメージのOSにアクセスすることになる。なお仮想デスクトップの実行に常時ネットワーク接続は不要だ。

デスクトップ仮想化を選ぶ理由

 今もMicrosoftの「Windows」を搭載したクライアントPCに頼っている企業では、従業員が全てのアプリケーションへのアクセスを必要とするため、VDIのようなデスクトップ仮想化を利用するのが理にかなっている。完全なPCが使用できることで、ユーザーは物理PCから仮想デスクトップに切り替えたときにアプリケーションを同じように操作できる。また、より安定したアプリケーション仮想化の代替手段を提供することも可能だ。

 アプリケーション仮想化では、特定のアプリケーションについてのみ個人に特化した操作性を提供するのに対して、デスクトップ仮想化では完全なPCの操作性が提供される。仮想デスクトップは、従業員が複数のデバイスを使用できるようにする必要がある企業とも相性が良い。大手VDIベンダーは、利用可能な各種エンドポイントに対応したクライアントコンポーネントを提供している。

2番目の選択肢となるアプリケーション仮想化

 従業員からの需要が高まっているのが、ビジネスアプリケーションへのリモートアクセスだ。デスクトップ全体を仮想化する代わりに、企業は個々のアプリケーションを仮想化することもできる。アプリケーション仮想化は、リモート方式またはストリーミング方式で実行可能である。リモートアプリケーションはサーバ上で稼働し、リモートディスプレイプロトコル経由でクライアントに接続される。アプリケーションをストリーミングすると、起動時に必要になるのはアプリの特定部分だけなので、残りの部分は必要に応じてダウンロードすれば良い。そのため、エンドユーザーは必要なときにすぐアプリケーションをダウンロードしてアクセスすることができる。

 アプリケーションの配信には、Citrixの「Citrix XenApp」、Microsoftの「App-V」、VMwareの「ThinApp」や「App Volumes」などが利用可能だ。ThinAppはレガシアプリケーションを新しいOSと高いセキュリティを備えたデスクトップに移行するときに役立つ。App Volumesは仮想ディスクファイルを使用してIT担当者が特定のグループのユーザーに配信できる区画にアプリを配置する。そのためIT担当者は、アプリを瞬時に削除、更新またはインストールすることができる。

 Citrixは、同社のHDXプロトコルを使用して、Microsoftの「リモートデスクトップ(RD)セッションホスト」経由でXenAppを配信している。RDセッションホストでは、ユーザーは任意のデバイスでデスクトップとアプリケーションにアクセスできる。またCitrixは、仮想HDDや仮想マシンのディスクファイルを使用してアプリケーションをグループ化するアプリケーションレイヤー化ツールの「AppDisk」も提供している。グループはゴールデンイメージ(仮想デスクトップのテンプレート)と関連付けられていないため、IT担当者はユーザーや部門ごとにアプリグループを作成することになる。

 MicrosoftのApp-Vは、エージェントベースのインストールアプローチを使用して、各アプリケーションを分離して仮想化し、これらのアプリケーション内でのユーザーアクセスを管理するためにアクセス許可を追加している。App-Vはアプリケーションの導入についてさらに細かく制御したいと考えるIT担当者に適切な選択肢だ。なおApp-Vは、Microsoftの「Windows 10 Enterprise」の一部として利用できるようになっている。

アプリケーション仮想化を選ぶ理由

 アプリケーション仮想化はユーザーにオンデマンドの機能を提供するため、デスクトップ仮想化の素晴らしい代替手段となる。さらに、IT担当者が物理デスクトップと仮想デスクトップの両方を提供している場合は、アプリケーションを仮想化して両方のデスクトップで配信および管理することをお勧めする。

 アプリケーション仮想化はIT担当者に、ユーザーのニーズに基づいてアプリの導入をカスタマイズできるという手軽さとVDIの制御を提供する。仮想デスクトップを導入する場合、ハードウェアリソースの奪い合いが激しくなる。一方アプリケーション仮想化では、転送されるデータ量が少ないため、ハードウェアに及ぶ影響は低減される。アプリケーション仮想化を選択すると、IT担当者が特定のリモートアプリケーションからのアクセス要求を承認し、特定のユーザーとグループに適用するポリシーを作成する作業が簡略化される。

どちらを選ぶかを決める方法

 重要なポイントは、デスクトップ仮想化に起因するソフトウェアの機能と制限により、ユーザーの生産性が高まるか損なわれるかを判断することである。また、VDIベンダーがほぼ全てのデバイスに対応したデスクトップクライアントを提供しているのに対して、仮想アプリケーションクライアントは全てのデバイスで利用できるわけではないことに留意されたい。この問題を回避するには、仮想アプリケーションとVDIを組み合わせるしかない。仮想アプリケーションクライアントは低コストで、ユーザーにより多くの自由を与えられる場合が多い。仮想アプリケーションと仮想デスクトップの導入には、それぞれメリットとデメリットがある。あなたの企業にはどちらが適しているだろうか。

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