現在、業務向けITシステムでハイパーコンバージドインフラ(HCI)の導入が増加している。この記事では前編後編に分けて、この新しい技術に業務向けITシステムを託すべきなのか、懸念すべき問題はないのかを考察していく。
前編では、HCIを実現する要素技術として、ストレージ接続規格、仮想ストレージソフトウェア、超高速ネットワーク規格についてその概要を確認し、その上で、HCIの導入メリットを紹介した。
後編ではHCIそのものについて、その概念の復習から将来期待できる進化の姿について考察する
HCIの導入で認識しなければならない問題が幾つかある。前編でネットワークについて説明したが、コストの節約についてはまだ言及していない。恐らくDRAMの拡張としてNVDIMMを使用するデータキャッシュが、近い将来重要になるだろう。
導入から時間が経てばHCIクラスタを拡張する必要も出てくるだろう。現在、サーバとストレージの両方が過去数十年間で最も早いペースで進化している。そのため、どのタイミングでアップグレードをしても、メモリやドライブなどが大容量かつ高速で、既存のアプライアンスと確実に処理能力が異なるはずだ。クラスタで動作するソフトウェアは、これらの拡張に伴って発生するリソースの違いに適宜対処しなければならない。
核となるクラスタソフトウェアはベンダーに依存しない。そのため、必要なのは実行する商用オフザシェルフ(COTS)ハードウェアだけになる。しかし、HCIアプライアンス市場は、DellやHewlett Packard Enterpriseなどの主要なサプライヤーが独占しているため、これらのベンダーから新しいアプライアンスが市場に登場し続けると長期間にわたるベンダーロックインが生じる可能性がある。ベンダーロックインを回避するには、現在標準的なクラウドのように、複数のサプライヤーの製品をプールできるかどうかをベンダーに確認するといいだろう。
HCIが適さない利用場面もある。GPUを搭載した製品は、いまだにHCIの非承認構成で、ビッグデータとHPC(High Performance Computing)のニーズに影響を及ぼしている。また、この記事で説明したHCI構成は、多くのリモートオフィスにとって過剰で、ストレージプールがもたらす複雑さは不要かもしれない。
しかし、HCIクラスタの一部をVDI(仮想デスクトップインフラ)に使用するのは理にかなっている。それは、ハードウェアの購入を一元化し、共通のアーキテクチャというメリットを享受しながら、十分な規模で従来のVDIセットアップに必要なものとほとんど同じリソースを適用できるからだ。
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