組み込み機器にも意外と「入ってる!」 PCプラットフォーム組み込み向け半導体最新動向:x86プロセッサ(1)

x86といえばPCを連想する読者が多いだろうし、その認識は間違っていない。しかし、組み込み分野でも多く活用されていることをご存じだろうか。活用事例とほかのプロセッサとの差別化要因を解説する。

2009年01月28日 08時00分 公開
[大原雄介]

 米Intelのマイクロプロセッサ命令セットおよびそのアーキテクチャを採用したマイクロプロセッサの総称である「x86」。x86プロセッサを語る上で軸となるのは「PCプラットフォームとの親和性」である。x86プロセッサは「PC/AT互換機」のCPUとして搭載され、事実上PCの標準規格となっている。特にMicrosoftWindowsを組み合わせたPCプラットフォームをベースとした組み込みシステムは、身近な場面で多く使われている。

 これから2回に分けて、x86プロセッサを取り上げる。今回はx86をベースとしたPCプラットフォームがいかに組み込み分野で使われているかを紹介していく。

街中で見かける「ブルースクリーン」

 例えば、金融機関のATM(現金自動預払機)、スーパーやコンビニエンスストアなどのPOS(Point Of Sales)システム。これらの多くは、PCハードウェア上でWindowsベースのアプリケーションが稼働している。また、駅のホームにある行き先や発車時刻を示す電光掲示板、空港におけるフライトの発着案内などの情報掲示板端末にも活用されている。

 さらに、ゲームセンターにあるアーケードゲーム(業務用ゲーム)機器。かつては専用基板が主流だったが、最近ではそのハードウェアのほとんどがPCに置き換わっている。

 いろいろな分野で使われているx86ベースのPCプラットフォームだが、弱点ともいえることもある。例えば、Windowsでシステムエラーが起こったときに表示されるブルースクリーン(Blue Screen of Death)が電子掲示板に投影される光景に出くわすこともある。街中に設置されている組み込み端末がブルースクリーンになっている画像を集めたWebサイトも存在する。

 記憶に新しいところでは、2008年夏に開催された北京オリンピック。その開幕式で、ブルースクリーンになった表示装置の画面が天井に投影されてしまったことが話題になった。

 こうしたエラーは、信号機の制御や自動車のエンジンコントロール、人工心臓の管理などのミッションクリティカル分野では、決して許されないことである。しかし、広告や案内表示であれば、許容範囲ともとれる場合もあるだろう。

会員登録(無料)が必要です

関連ホワイトペーパー

組み込み | x86 | Windows | Intel(インテル) | AMD


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 サイボウズ株式会社

製造業の業務効率化をノーコードの業務アプリ作成サービスで実現する方法

製造業では、迅速かつ正確な情報共有やデータ管理を行い、業務効率を高めることが重要となる。そこで注目したいのが、現場業務に対応したシステムをノーコードで構築できるサービスだ。本資料では同サービスの詳細と成功事例を紹介する。

事例 ファインディ株式会社

3社の事例に学ぶ、開発生産性向上をサポートするSaaSサービスの実力

エンジニア組織の開発生産性を高めるには、開発プロセスのボトルネック特定やチームの改善文化の醸成といった取り組みが求められる。SaaSサービスを活用し生産性向上につなげている3社の事例を基に、同サービスの実力に迫る。

事例 ファインディ株式会社

パフォーマンス測定指標「Four Keys」を用いて開発生産性を向上させる方法

製品・サービスを高い品質で迅速にリリースするため、各社は開発生産性の向上に取り組んでいるが、プロセス改善や課題特定に悩むケースもよく見られる。そこで注目したいのが、開発パフォーマンスを4つの指標で測るFour Keysだ。

事例 サイボウズ株式会社

顧客・案件情報の管理でよくある課題、属人化や二重管理を防ぐための方法とは?

顧客・案件情報の管理は属人化や二重管理が起こりやすく、機会損失につながることも多い。こうした課題の解決策として注目されているのが、ノーコードで業務アプリを作成できるクラウドサービスだ。事例を交えてその効果を紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SRE」と「DevOps」の違いは? 業務分担と連携のヒント

迅速な開発とセキュリティ確保の両立は、アプリケーションの運用管理で重要だ。そのための手法である「SRE」「DevOps」はそれぞれどう異なり、どの場面で連携すべきなのか。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...

news062.jpg

「Threads」が広告表示テスト開始 企業アカウント運用のポイントとは?
Metaのテキスト共有アプリ「Threads」で広告表示のテストが開始され、新たな顧客接点とし...