定型業務の効率化・コスト削減ばかりに目を向けたIT活用は情報システム部門を硬直化させてしまう。経営者、CIO、情報システム部門、ユーザー部門の連携なくして戦略的IT活用は実現できないだろう。
経営とは、「ヒト・モノ・カネ」という経営資源を有機的に組み合わせ、加工、移動、交換して利益を得ようという企業活動である。いつの間にかこれら以外に「情報」も経営資源として見なされるようになったが、「ヒト・モノ・カネ」は使えば減るもの、「情報」は使っても減らないことが、両者の相違点である。そこでわたしは、「情報」とは経営資源を上手に動かすための信号、いわゆる「ヒト・モノ・カネを制御するもの」ととらえている。この情報を処理・伝達・記録するのがITである。
【第1回】小売業・卸売業のIT部門が流通BMSの導入前に考えるべきこと
【第2回】メーカー・卸間EDIの歴史に学ぶ、“徹底して標準を守る”重要性
【第3回】流通BMSが進展した後のSCM理想像とメーカー・卸・小売の役割
【第4回】日本のティッシュはなぜ安い? 業界標準EDIが実現する日本型SCM
【第5回】EDIの進化──マーケティングへの応用と流通業界横断の情報共有ネットワーク
【第6回】「問題解決型IT活用」を実現する情報化時代の経営の在り方
【第8回】大手卸売業の事例に学ぶ流通業のCIOに求められる適性
企業活動は、いつも決まった手順で繰り返し行われる定型業務と、手順が決まっていない非定型業務の2つに大きく分けられる。このうち、受発注や給与計算などといった定型業務は、結果が常に一定でなければならない。受注出荷システムなら正確な売上伝票が、給与計算システムなら正確な給与明細書が発行されればよいわけである。
従って、定型業務の生産性を上げるためには、いかに少ない人手と資源で、いかに時間を短縮しながら同じ結果を出すかという、経営資源(ヒト・モノ・カネ+時間)の削減が行われる。式に表すと、「定型業務の生産性=一定の成果÷より少ない経営資源」(分子は一定、分母を減らす)となる。その際の具体的な手法として有効なのが、本コラムのタイトルになっているEDI(Electronic Data Interchange)だ。例えばメーカーが受注業務にEDIを導入すると、これまで受注部門に負荷を掛けていた受注伝票の入力作業が大幅に省力化されるため、全国各地にあった受注センターを1カ所にまとめることも可能になる。一方、卸売業でも発注作業の効率化に加え、仕入情報をメーカーからデータで受信することができるので、入力作業が不要になり、やはり生産性は向上する。
ちなみに、定型業務を行うシステムは基幹系(あるいは勘定系、業務系)と呼ばれ、システム導入歴の長い企業では大型汎用コンピュータシステム(ホストコンピュータ)で処理されることが多い。
一方、マーケティングや企画、分析といった結果が一定ではない非定型業務は、経営資源を一定量だけ投入し、より良い結果を求めていく。例えば、広告宣伝計画においては、一定の人員と予算を投入し、決められた期限内により効果のあるプランを考案する。定型業務のように人員や予算の削減、時間短縮を考える必要はない。式にすると、「非定型業務の生産性=より多くの成果÷一定の経営資源」(分子は増大、分母は一定)となり、定型業務とは違う情報系システムを使って、PCで処理されていることが多い。
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