攻撃者とセキュリティベンダーの終わりなき戦い【後編】
Webブラウザの怪しい拡張機能、うっかりインストールするとどうなる?(1/2 ページ)
Ciscoセキュリティレポートでは、暗号化にまつわる諸問題が注目されサイバーセキュリティの問題が増えると言及している。その他、“悪意のあるブラウザ拡張機能”の対策を見落としやすい点にも注意を促している。
前編「短くなるセキュリティ脅威の検出時間、それでもリスクが減らないのはなぜ?」では脅威が高まっているネットワーク上の攻撃について解説するCiscoのセキュリティレポートを紹介した。後編では同じセキュリティレポートから、暗号化の普及によって変わるセキュリティ対策や、Webブラウザを狙う悪意のある拡張機能について解説する。
暗号化について
本セキュリティレポートで肯定的な結果と否定的な結果の両方が見られたトピックは、暗号化だ。暗号化は企業にセキュリティ問題を引き起こすことがある。セキュリティについての誤認識がその1例だ。調査によると、暗号化されたトラフィック、特にHTTPSは2015年に転機を迎え、1年後の2016年には転送されるデータの50%以上が暗号化されるようになったという。だがCiscoセキュリティビジネスグループのプリンシパルエンジニアを務めるジェイソン・ブルベニク氏は「暗号化によって、潜在的な脅威をあっという間に見逃すことになる」と警鐘を鳴らし、暗号化について企業が対策を講じる必要性を唱える。
Ciscoでシニアテクニカルリーダーとセキュリティアウトリーチマネジャーを務めるクレイグ・ウィリアムス氏は「暗号化というトレンドはプライバシーの観点では適切だが「大いなるセキュリティ問題」をはらんでいる」と指摘する。最大の誤りは、暗号化すればセキュリティが確保され、どのような場合においても暗号化は強化すればするほど良いという考えだ。
「暗号化はデータの重要な部分のみを暗号化するために設計されている。暗号化の用途はこのように想定されている。つまり、Webサイトの広告は重要な部分ではなく、暗号化されるべきではないだろう。潜在的な攻撃を検出システムから隠すことになるので、企業が侵入防止システムやインラインウイルス対策を導入していても、攻撃を検出することはできない」とウィリアムス氏は語る。
全体を把握できないと連鎖的に影響が広がるので、企業は今すぐセキュリティ対策を練る必要があるとブルベニク氏は忠告する。
「1つの層を見逃したことによる影響は、他の層にも及ぶ。エンドポイントデバイスを保護する製品やカプセル化を解除する製品など、さまざまな対策を取ることができる。重要なのは、企業は今すぐ対策を検討し始めないと、手遅れになるということだ」(ブルベニク氏)
暗号化データへの対応には大量のリソースが必要だ。そのため、企業は慎重にセキュリティ戦略を策定する必要がある。そう語るのは、イスラエルCato Networksの共同創設者であり最高技術責任者(CTO)を務めるグル・シャッツ氏だ。
「暗号化されたトラフィックは、分析前に暗号化を解除する必要がある。暗号化の解除はCPUを大量に消費し、遅延時間を引き起こすこともある。一度暗号化を解除すれば、暗号化トラフィックにおけるあらゆる脅威(複数の層)を検出できるのが理想的だ。単一機能の製品を使用するときには、各製品で個別にトラフィックの暗号化を解除しなければならず、トラフィックが遅延する可能性がある。一方で、検出精度が良くなると信じて、個別機能に最良の製品を採用して複数統合している企業も見られる」(シャッツ氏)
Armor Defenseの最高セキュリティ責任者(CSO)のジェフ・シリング氏は、「遅延時間にまつわる問題では難しい決断を迫られる」と語る。
「暗号化のアルゴリズムが複雑になればなるほど、OWASP(※)の発表する一般的なWebアプリケーション攻撃トップ10の有無について第7層を検査するために、暗号化を解除するのは難しくなる。この現状を受けてWeb業界は、アプリケーション検査アーキテクチャとしてコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)に目を向けるようになっている。だがCDNは、大半のユーザーが耐えられないくらいに遅延時間を増やす可能性がある。どちらのリスクが高いのか自問自答してみると良いだろう。脅威の因子の中でも、データの暗号化を解除するものとアプリケーション層を攻撃するものでは、後者のリスクの方が大きいように私は思う」(シリング氏)
※OWASP:Open Web Application Security Project。ウェブアプリケーションセキュリティに関するNPO。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
-
5
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
6
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
7
「攻撃側にナイフ、防御側にパン」 OpenAIの10億ドル支援に潜む危うさ
-
8
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
9
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
10
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー