「IaaS」の仕組みやメリット、課題とは?

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IaaS(Infrastructure as a Service)とは

 「IaaS」(Infrastructure as a service)は、インターネットを介してコンピューティングリソースを提供するサービスのことを指す。SaaS(Software as a service)およびPaaS(Platform as a service)と並んで、主要なクラウドサービスの一つだ(続きはページの末尾にあります)。

IaaS関連の技術解説

クラウド料金を抑えるには? Google Cloud Storageのベストプラクティス4選

Google Cloud Storageの料金はさまざまな要因で変化する。コストを抑えるにはどのようにすればよいのか。ベストプラクティスを紹介する。

(2024/2/27)

クラウドコストの基礎「Google Cloud Storage」の料金はどう決まる?

Google Cloud Storageはさまざまな用途に応じて使える容量無制限のオブジェクトストレージサービスだ。料金は複数の要素から決定する。料金が決まる仕組みを解説する。

(2024/2/20)

クラウドが手軽に安くなる“格安リージョン”の賢い選び方

クラウドサービスのコストは、ユーザー企業が利用する「リージョン」や、クラウドサービスを利用する従業員のスキルによって大きく変動する可能性がある。コストを抑えるにはどうすればよいのか。

(2022/10/3)

クラウドがすごくても「メインフレーム」がなくならない“納得の理由”

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(2022/9/29)

クラウド料金が知らないうちに高くなる「クラウドスプロール」とは?

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(2022/9/26)

AWS、Azure、GCPの“謎に高い”を解消する「コスト管理ツール」の基礎知識

クラウドサービスの利用料金を予算内に収めるのに役立つのが、クラウドサービスのコスト管理ツールだ。代表的なコスト管理ツールと、その主な機能を説明する。

(2022/9/19)

AWS、Azure、GCPの“異様な高額請求”は「エグレス料金」が原因だった?

クラウドサービスを利用する際に忘れてはいけない検討事項の一つに「エグレス料金」がある。エグレス料金とは何か。どうすればエグレス料金を抑えることができるのか。

(2022/9/12)

クラウド“謎の高額請求”は「キャパシティープランニング」の不備が原因だった?

クラウドサービスに必要以上のコストが発生するのを避けるには、利用するリソースについてワークロードに最適なスペックを見積もることが必要だ。その鍵となる「キャパシティープランニング」とは。

(2022/9/5)

AWS、Azure、GCPが安くなる「リザーブドインスタンス」「スポットインスタンス」とは?

割引プランの「リザーブドインスタンス」「スポットインスタンス」を使うと、クラウドサービスの利用料金を節約できる。これらの割引プランの仕組みと、利用時の注意点を説明する。

(2022/8/29)

「クラウドHPC」とは? AWS、Microsoft、Googleが競う新たなサービス

高い処理能力を持ったリソースを、ユーザーが必要なときにだけ提供する「クラウドHPC」。主要クラウドベンダーが注力し始めたクラウドHPCのメリットと、普及における課題について説明する。

(2019/11/7)

クラウド利用の責任分担が分かる、FISC対応リファレンスの見方

ユーザー企業が安心安全にクラウドを導入するために有用なFISC対応セキュリティリファレンス。この仕掛け人が同リファレンスの読み解き方を解説する。ポイントは縦と横の2軸で理解することだ。

(2013/9/19)

IaaSセキュリティの勘所はハイパーバイザーのセキュリティにあり

ハイパーバイザーの脆弱性はクラウドセキュリティの脆弱性そのものだ。ハイパーバイザーをものにできれば、各テナントの仮想環境に自由にアクセスできるからだ。

(2012/10/2)

【市場動向】着実に姿を現しつつあるクラウド化したIT市場

オープンで相互に接続されたクラウドの実現に向けて、IT市場では何が起きているのか。単一世界政府が存在しない以上、クラウドにおけるエコシステムの形成は共同規制に寄らざるを得ない。

(2012/6/19)

クラウドは安全か? 事業者との責任分界点、注目すべき安全基準とは

「クラウドはオンプレミスに比べて安全ではない」は本当か? そもそも「安全」とは何か、そしてクラウド利用における利用者と事業者の責任分界点、事業者の安全基準を測るポイントを解説する。

(2011/11/17)

IaaSの仕組みとサービス

 IaaSを提供するクラウドベンダーは、オンプレミスのデータセンターに従来存在していたインフラコンポーネントを各ベンダーのデータセンターにホストする。インフラコンポーネントとは、サーバ、ストレージ、ネットワークといったハードウェアと、ハイパーバイザーをはじめとする仮想化ソフトウェアなどだ。

利用可能なサービスはさまざま

 クラウドベンダーは、これらのインフラコンポーネントに付随するさまざまなサービスも提供する。例えば

  • セキュリティ
  • 負荷分散
  • クラスタリング
  • バックアップ
  • レプリケーション
  • リカバリー

などのサービスを含む。これらのサービスはポリシーによる制御が可能なことが一般的であり、IaaSのユーザー企業はインフラ関連の重要なタスクのオーケストレーション(自動化)が可能だ。例えばユーザー企業はポリシーを実装して負荷分散を推進し、アプリケーションの可用性とパフォーマンスを維持できる。

 ユーザー企業は、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)を介してIaaSの各種リソースとサービスにアクセスし、

  1. 仮想マシン(VM)の作成
  2. 各VMへのOSのインストール
  3. データベース管理システム(DBMS)などのミドルウェアのデプロイメント(配備)
  4. バックアップ用のストレージ設定
  5. VMへのアプリケーションのインストール

といった一連の作業ができる。クラウドベンダーのサービスを使用して、コストの追跡、パフォーマンスの監視、ネットワークトラフィックのバランス調整、アプリケーション問題のトラブルシューティング、災害復旧(DR)関連の設定なども可能だ。

 「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」はIaaSを含む代表的なクラウドサービス群だ。ユーザー企業はプライベートクラウドを構築して、IaaSのベンダーになることもできる。

今すぐできるIaaSコストお手軽節約術

 IaaSは 企業に潜在的メリットを幅広く提供し、アジリティーの強化、初期費用や運用コスト(OPEX:Operating Expenditure)の削減、市場投入にかかる時間の短縮、優れた実験台、技術面での柔軟性などを実現する。

最優先はコスト管理

 IaaSの大きな魅力は、始めるのがとても容易なことだ。ポータルにログインすれば仮想世界が思いのままになる。

 IaaSの大きなリスクは、始めるのがとても容易なことだ。従業員がIaaSを使い始めても、監視がほとんどまたは全く行われない可能性がある。

 リソースをオンプレミスで使うこととクラウドで使うことは根本的に異なる。オンプレミスならばサーバハードウェアとソフトウェアライセンスは購入済みなので、基本的には稼働を続けることが適切だと考えられる。使うほど投資利益率(ROI)は高くなる。

 オンプレミスでWindowsベースの仮想化環境を構築する際に大きな懸念となるのは、VMの運用数に対してライセンス数が不足することだ。そのため大半の企業はWindows Server Datacenterのライセンスを適切に取得し、無制限のVMを動かす権限を付与することになる。

 Microsoft AzureやAWSなどのサービスの主なセールスポイントは従量制の料金システムだ。物理ハードウェア(および必要なソフトウェアライセンス)を事前に購入しても、使用率が非常に低くなることもある。従量課金制であれば、その時点で必要なVMを作成するだけだ。これは便利に思える。だが、パブリッククラウドプロバイダーにとって「使用中」とは「スイッチオン」を意味することに注意しなければならない。電源が入った状態のまま使われていないVMは、お金を無駄遣いしていることになる。

 一例を考えてみる。日数が31日の月の総時間数は744時間になる。つまり最大744時間分課金される可能性がある。テストや開発が目的の場合、クラウドリソースが絶えず必要になることはないため、停止するだけでも大きな節約になる可能性がある。週末にVMを停止すれば192時間も節約できる(土日が8日の場合)。

 次に「勤務時間」を定め、その時間以外はVMを停止する。これにより稼働時間は大幅に短くなる。勤務時間を朝7時から夜7時に設定すればVMをさらに276時間停止でき(平日が23日の場合)、総計468時間の削減が可能になる。1時間当たり3ポンド課金されるとしたら、1カ月に1404ポンド(約20万3850円)の節約になる。逆に、停止しなければ1404ポンドが無駄になる。

 IaaSのコスト管理にはこれ以外にも多くの要素がある。以下に、これ以外の方法を3つ示す。

  • プロビジョニング

 クラウドリソースが過剰にプロビジョニングされていないかどうかを監視する。VMでもコア数が48個のものと16個のものではコストに大きな違いがある。

  • リソースの構成

 費用が発生しているリソースが本当に使われているかどうか、または簡易的で安価な構成に変更可能かどうかを検討する。

  • 課金方法

 IaaSのデフォルトの課金方法になっていることが多い従量課金は、柔軟性が非常に高いものの、必ずしもコストパフォーマンスが最も高い選択肢ではない。リザーブドインスタンス(予約インスタンス)を提供しているクラウドプロバイダーは多く、長期にわたるクラウドワークロードのコスト節約が可能になる。リザーブドインスタンスを最適に利用するには、コストに関するレポートと分析を詳細に行う必要がある。

 パブリッククラウドのガバナンスは口で言うほど簡単ではない。以下に、知っておくべき極めて重要な3つの点を紹介する。

  • どのクラウドを使用中か
  • どのリソースを作成しているか
  • それらのリソースを作成できるのは誰か

 これらを確認したら、全関係者と新しいガイダンスについて協議し、ガイダンスを順守するように関係者のチームと連携することが必要だ。