クラウドサービスの無駄なコストを発生させてしまう「クラウドスプロール」という現象がある。その正体は何なのか。どのように対処すればよいのか。
クラウドサービスのコストを予算内に収めるには、幾つかのポイントがある。クラウドサービスのコストを抑えるための主要な7つのポイントのうち、5つ目と6つ目を説明する。
「クラウドスプロール」は、クラウドサービスの利用を制御できなくなり、無秩序にリソースが拡張したり、利用サービスが増加したりする現象を指す。これはクラウドサービスのコストが急増する主な原因となる。ユーザー企業は無駄なコストの発生を避けるために、必要がなくなったクラウドサービスをその都度解約する必要がある。
データ保管のために使用していたクラウドストレージや、VM(仮想マシン)と関連付けられていないクラウドストレージは存在を見落としやすく、クラウドスプロールを招きやすい。VMを削除する際に、関連付けられているクラウドストレージの削除を忘れる可能性もある。定期的に不要なクラウドストレージを洗い出し、自社のデータ保持ポリシーに従って不要なクラウドストレージを削除するのがよい。
クラウドスプロールのリスクを最小限に抑えるには、クラウドサービスとワークロード(アプリケーション)の監視・管理のためのツールを導入して、クラウドサービスの可視性を確保することだ。不要になったリソースを破棄する方法とタイミングのルールを決めることも欠かせない。毎月のクラウドサービスの請求書や契約書を念入りに確認して、使用しなくなったクラウドサービスの利用料金を支払い続けていないかどうかを確認する。
Amazon Web Services(AWS)の「Amazon ElastiCache」やMicrosoftの「Azure Cache for Redis」といったキャッシュサービスは、コスト削減に役立つ。キャッシュサービスは、クラウドストレージにある重要なデータや頻繁にアクセスするデータを、クラウドサービス内のメモリにキャッシュ(一時保管)する。キャッシュしたデータを利用すれば、クラウドストレージからデータを取得する必要がなくなる。ワークロードの待機時間の短縮に加え、クラウドストレージのコスト削減につながる。
第6回は、7つ目と8つ目のポイントを紹介する。
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