クラウドサービスに必要以上のコストが発生するのを避けるには、利用するリソースについてワークロードに最適なスペックを見積もることが必要だ。その鍵となる「キャパシティープランニング」とは。
クラウドサービスのコストの予想外の増加を避けるには、適切なコスト管理手法が不可欠だ。クラウドサービスのコストを抑えるための主要な7つのポイントのうち、2つ目を説明する。
クラウドサービスの代表格である仮想マシン(VM)サービスでは、ユーザー企業はVMを迅速に実行または終了できる。VMサービスでアイドル(休止)状態のVMを利用し続ける場合は、そのVMにも利用料金が発生するのが一般的だ。
ユーザー企業はデータ転送量やシステム負荷が急増してもワークロード(アプリケーション)を稼働させ続けるために、事前に十分なVMのスペックを確保しておく必要がある。ただし不必要なほどのスペックを確保するなど、無駄なコストを掛ける必要はない。
最適なスペックを見積もる「キャパシティープランニング」は、ワークロードに適したVMを選ぶ際に重要だ。VMに必要なvCPU(仮想CPU)コア数やメモリ容量、ストレージ容量は、ワークロードによって異なる。さまざまな需要に合わせて、クラウドベンダーは複数の構成のVMを用意している。
ユーザー企業は、実際にワークロードで必要とする以上に多くのvCPUコア数やメモリ容量、ストレージ容量を選択していることがある。このような余剰リソースを使用しない場合、毎月無駄なコストを支払うことになる。適正なスペックのVMを選択すれば、コストを節約できる。
ワークロードを監視して、需要に合わせてインフラの規模を自動調整する「オートスケール」機能は、アイドル状態のVMに無駄なコストを支払うことを防ぐのに役立つ。Amazon Web Services(AWS)の「AWS Auto Scaling」など、大手クラウドベンダーはVMのオートスケール機能を用意している。
クラウドベンダーはVMサービスだけではなく、他のクラウドサービスにもオートスケール機能を用意していることがある。クラウドサービスのオートスケール機能は、コストや可用性、データ転送速度などのインフラの要素の中から、最も優先すべき事項に合わせて設定する。
コスト削減を最優先する場合は、コスト削減効果を最大化できるようにオートスケール機能を設定することが重要だ。例えば優先度の低いワークロードでは、エンドユーザーの需要を満たすために、必要最低限の数のリソースだけを利用できるようにする。
第3回は、3つ目のポイントを紹介する。
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