クラウド“謎の高額請求”は「キャパシティープランニング」の不備が原因だった?“クラウド破産”を防ぐ8つの方法【第2回】

クラウドサービスに必要以上のコストが発生するのを避けるには、利用するリソースについてワークロードに最適なスペックを見積もることが必要だ。その鍵となる「キャパシティープランニング」とは。

2022年09月05日 08時15分 公開
[Stephen J. BigelowTechTarget]

 クラウドサービスのコストの予想外の増加を避けるには、適切なコスト管理手法が不可欠だ。クラウドサービスのコストを抑えるための主要な7つのポイントのうち、2つ目を説明する。

2.キャパシティープランニングを策定する

 クラウドサービスの代表格である仮想マシン(VM)サービスでは、ユーザー企業はVMを迅速に実行または終了できる。VMサービスでアイドル(休止)状態のVMを利用し続ける場合は、そのVMにも利用料金が発生するのが一般的だ。

 ユーザー企業はデータ転送量やシステム負荷が急増してもワークロード(アプリケーション)を稼働させ続けるために、事前に十分なVMのスペックを確保しておく必要がある。ただし不必要なほどのスペックを確保するなど、無駄なコストを掛ける必要はない。

 最適なスペックを見積もる「キャパシティープランニング」は、ワークロードに適したVMを選ぶ際に重要だ。VMに必要なvCPU(仮想CPU)コア数やメモリ容量、ストレージ容量は、ワークロードによって異なる。さまざまな需要に合わせて、クラウドベンダーは複数の構成のVMを用意している。

 ユーザー企業は、実際にワークロードで必要とする以上に多くのvCPUコア数やメモリ容量、ストレージ容量を選択していることがある。このような余剰リソースを使用しない場合、毎月無駄なコストを支払うことになる。適正なスペックのVMを選択すれば、コストを節約できる。

 ワークロードを監視して、需要に合わせてインフラの規模を自動調整する「オートスケール」機能は、アイドル状態のVMに無駄なコストを支払うことを防ぐのに役立つ。Amazon Web Services(AWS)の「AWS Auto Scaling」など、大手クラウドベンダーはVMのオートスケール機能を用意している。

 クラウドベンダーはVMサービスだけではなく、他のクラウドサービスにもオートスケール機能を用意していることがある。クラウドサービスのオートスケール機能は、コストや可用性、データ転送速度などのインフラの要素の中から、最も優先すべき事項に合わせて設定する。

 コスト削減を最優先する場合は、コスト削減効果を最大化できるようにオートスケール機能を設定することが重要だ。例えば優先度の低いワークロードでは、エンドユーザーの需要を満たすために、必要最低限の数のリソースだけを利用できるようにする。


 第3回は、3つ目のポイントを紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...