メタバースに関する規制は、まだ十分に整備されているとは言えない。こうした中、メタバースの活用を検討する企業は、さまざまなリスクを考慮する必要がある。具体的に何に気を付ければよいのか。
「自分の仮想店舗の前に、勝手に広告が出された」「許可していないのに、個人情報が勝手に分析に使われた」――。「メタバース」(巨大仮想空間)でこうした痛い目に遭わないためには、中核技術である仮想現実(VR)技術と拡張現実(AR)技術にまつわるセキュリティ課題を意識し、対策を講じることが重要だ。主な11個の課題のうち、残る7個を紹介する。
メタバース運用企業は、メタバース内に広告を表示する権限を握っている。現実世界では、ある店舗の前に第三者が広告を出すことがある。それと同じように、メタバースにおける仮想店舗の前にも、他者が仮想広告を出すことがあり得る。これらの広告については、ユーザーはコントロールできないことが一般的だ。
メタバースに関する規制は、まだ十分に整備されていない。メタバース運用企業が仮想的な資産の購入といった行動履歴の収集や分析を通じて、ユーザーのプライバシーを侵害する可能性がある。データの取り扱いを取り締まるルールは不可欠だ。ただし現時点では、データ保護は総じてメタバース運用企業の裁量に委ねられている。
管理者アカウントの乗っ取りは、巨大なVR/ARシステムであるメタバースに重大な侵害を招きかねない。早期発見ができないと、実害を被るユーザーの数が膨らむ可能性がある。
通常、メタバースを利用するには専用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)が必要だ。HMDの侵害によって、ユーザーのアバター(仮想キャラクター)が乗っ取られるリスクがある。
アバターは姿を変えることができるため、スパイ行為に悪用されやすい。攻撃者は会議や個人的なチャットに不正に入り、当事者が知らないうちにユーザーの機密情報を不正入手する場合がある。
ユーザーはAR技術を利用すると、デジタルデータを現実世界に重ねて提示できる。そのためデータが正確性を欠くと、ユーザーの安全性や利便性に関する問題が生じる可能性がある。例えば道案内システムは、ユーザーの位置情報を正確に把握できなければ、ユーザーに誤った道順を伝える可能性がある。
AR技術を利用したメタバースの場合、ユーザーは現実世界を動き回るので、物理的なセキュリティのリスクも考えなければならない。ユーザーがメタバースに没入し過ぎると、自身や周りの人にけがを与える恐れがある。
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