2022年03月30日 05時00分 公開
特集/連載

「セカンドライフ」の元セキュリティ幹部が語る“メタバース中毒”の怖さメタバースが呼び込むセキュリティ問題【後編】

企業がメタバースを利用する際、どのような懸念事項があるのか。メタバースの先駆け「Second Life」運営のLinden Labで、セキュリティ責任者を務めた専門家の意見を基に、具体的な問題と解決策を取り上げる。

[Shaun Nichols,TechTarget]

 仮想的な3次元(3D)空間「メタバース」のディストピア(暗黒世界)的な側面は、エンドユーザーの心の健康に影響を与え得る点だ。差し迫った課題として、ハラスメントはメタバースの開発者が対処しなければならない問題となる。

 現在のメタバースにおける身体的搾取は、主にセクシュアルハラスメントといじめだ。これは「安全設定の弱さや欠如によって助長される場合がある」と、セキュリティベンダーMalwarebytesでシニア脅威リサーチャーを務めるクリストファー・ボイド氏は解説する。ボイド氏によると、ハラスメントはメタバースで長年にわたって問題になっており、対抗手段は豊富にある。

 メタバースに長期間入り浸ることで、心の健康に問題が起こる場合がある。

“メタバース中毒”の怖さとは? 「Second Life」元セキュリティ幹部が警告

 メタバースにおけるセキュリティを推進する非営利団体XR Safety Initiative(XRSI)のCEOカブヤ・パールマン氏は、メタバースの先駆けとなった「Second Life」(セカンドライフ)を手掛けたLinden Labで、かつてセキュリティ責任者を務めていた。パールマン氏がメタバース「Sansar」を担当していた当時、メタバースと現実世界との境界があいまいになる「ファントムタイムライン症候群」の感覚を経験していたと回想する。

 当時を振り返ってパールマン氏は、「メタバースと現実世界の区別が付かず、メタバースの外へ出ても自分の身の回りにある全ての物が仮想的な物のように感じた」と語り、「育ち盛りの子どもにとって、これは特に危険が大きい」と同氏は注意喚起する。感じやすい心を持った子どもがメタバースで長時間過ごすことになれば、攻撃者は子どもに接触しやすくなる。攻撃者が偽情報を使ってメタバースにいる子どもを操り、誤った考えを植え付ける可能性がある。攻撃者がエンドユーザーの個人情報を収集することで、子どもがプライバシー侵害に遭う恐れもある。

 「子どもがメタバースを利用する際は、プライバシーの懸念が大幅に高まる」と懸念するのは、フェニックス大学(University of Phoenix)情報システム・技術校筆頭教授のステファニー・ブノワクルツ氏だ。「児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)はレガシーな法律であり、メタバースには十分対処できない」とブノワクルツ氏は主張。COPPAは、メタバースが収集する大量の個人情報に適切な安全対策を講じるものではないと同氏は説明する。

メタバースにどう備えるべきか

 パールマン氏もブノワクルツ氏も、企業が自社データや従業員のプライバシーを守るためには、「単に幾つかのポリシーを変更する以上の対処が必要だ」という意見で一致する。企業は事前に計画を立て、攻撃者だけでなく、同僚や部下のプライバシーを侵害しようとする非道徳的な管理職にも、メタバースを悪用されないようにするための対策を徹底しなければならない。

 「メタバースは今後の企業を著しく変革させる。企業はメタバースに扉をノックされるのを待つよりも、メタバースに対して先手を打ち、メタバースに備える必要がある」(ブノワクルツ氏)

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