メタバースが呼び込むセキュリティ問題【後編】
「セカンドライフ」の元セキュリティ幹部が語る“メタバース中毒”の怖さ
企業がメタバースを利用する際、どのような懸念事項があるのか。メタバースの先駆け「Second Life」運営のLinden Labで、セキュリティ責任者を務めた専門家の意見を基に、具体的な問題と解決策を取り上げる。
仮想的な3次元(3D)空間「メタバース」のディストピア(暗黒世界)的な側面は、エンドユーザーの心の健康に影響を与え得る点だ。差し迫った課題として、ハラスメントはメタバースの開発者が対処しなければならない問題となる。
現在のメタバースにおける身体的搾取は、主にセクシュアルハラスメントといじめだ。これは「安全設定の弱さや欠如によって助長される場合がある」と、セキュリティベンダーMalwarebytesでシニア脅威リサーチャーを務めるクリストファー・ボイド氏は解説する。ボイド氏によると、ハラスメントはメタバースで長年にわたって問題になっており、対抗手段は豊富にある。
メタバースに長期間入り浸ることで、心の健康に問題が起こる場合がある。
“メタバース中毒”の怖さとは? 「Second Life」元セキュリティ幹部が警告
併せて読みたいお薦め記事
連載:メタバースが呼び込むセキュリティ問題
メタバースとは何か
メタバースにおけるセキュリティを推進する非営利団体XR Safety Initiative(XRSI)のCEOカブヤ・パールマン氏は、メタバースの先駆けとなった「Second Life」(セカンドライフ)を手掛けたLinden Labで、かつてセキュリティ責任者を務めていた。パールマン氏がメタバース「Sansar」を担当していた当時、メタバースと現実世界との境界があいまいになる「ファントムタイムライン症候群」の感覚を経験していたと回想する。
当時を振り返ってパールマン氏は、「メタバースと現実世界の区別が付かず、メタバースの外へ出ても自分の身の回りにある全ての物が仮想的な物のように感じた」と語り、「育ち盛りの子どもにとって、これは特に危険が大きい」と同氏は注意喚起する。感じやすい心を持った子どもがメタバースで長時間過ごすことになれば、攻撃者は子どもに接触しやすくなる。攻撃者が偽情報を使ってメタバースにいる子どもを操り、誤った考えを植え付ける可能性がある。攻撃者がエンドユーザーの個人情報を収集することで、子どもがプライバシー侵害に遭う恐れもある。
「子どもがメタバースを利用する際は、プライバシーの懸念が大幅に高まる」と懸念するのは、フェニックス大学(University of Phoenix)情報システム・技術校筆頭教授のステファニー・ブノワクルツ氏だ。「児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)はレガシーな法律であり、メタバースには十分対処できない」とブノワクルツ氏は主張。COPPAは、メタバースが収集する大量の個人情報に適切な安全対策を講じるものではないと同氏は説明する。
メタバースにどう備えるべきか
パールマン氏もブノワクルツ氏も、企業が自社データや従業員のプライバシーを守るためには、「単に幾つかのポリシーを変更する以上の対処が必要だ」という意見で一致する。企業は事前に計画を立て、攻撃者だけでなく、同僚や部下のプライバシーを侵害しようとする非道徳的な管理職にも、メタバースを悪用されないようにするための対策を徹底しなければならない。
「メタバースは今後の企業を著しく変革させる。企業はメタバースに扉をノックされるのを待つよりも、メタバースに対して先手を打ち、メタバースに備える必要がある」(ブノワクルツ氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
5
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
6
SAP導入後も残る“Excel依存” 京急電鉄は「kintone」でどう解消した?
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
9
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
10
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー