メタバースは仮想的な3D空間だが、専門家によるとメタバースにおけるサイバー攻撃では現実世界に危険が及ぶことを懸念しなければいけないという。その理由と、具体的な脅威とは。
仮想的な3次元(3D)空間「メタバース」の進展に伴い、さまざまな問題が表面化し得ると専門家は指摘する。特に危険が及ぶ範囲が、メタバースから現実世界へと広がる可能性がある点には注意が必要だ。
メタバースにおけるセキュリティを推進する非営利団体XR Safety Initiative(XRSI)は概念実証(PoC)を実施し、VR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレイを操作して、現実世界における物体の輪郭を誤認させる方法を実証した。攻撃者がこの方法を悪用すると、エンドユーザーを間違った道に誘い込んだり、窃盗や強盗といった物理的危険を伴う状況に追い込んだりする恐れがある。
文字通り、攻撃者がエンドユーザーの“具合を悪くさせる”攻撃も想定される。パールマン氏によると、メタバースはエンドユーザーに乗り物酔いを引き起こし得ることが分かっている。攻撃者が故意にメタバースに何かを組み込んでクリックさせ、乗り物酔いを起こさせることも可能だ。
「もっと有害な攻撃もあり得る」。セキュリティベンダーMalwarebytesでシニア脅威リサーチャーを務めるクリストファー・ボイド氏はこう言う。
ボイド氏によると、メタバースにおいて攻撃者が悪用し得る主な要素は有料広告だ。ベンダーが、動的な広告を含む広告ネットワークをメタバースに挿入すれば「データ漏えいや悪質な広告の露出が想定される」と同氏は話す。例えば攻撃者が通常の広告を、てんかんの発作を誘発させるストロボ画像に入れ替えるといった具合だ。これは過去に攻撃者が、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やフォーラムサイトを通じて、てんかん財団を攻撃した手法でもある。
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