「HR Tech/給与」のノウハウ、賢い使い方のヒント

ユーザー企業のIT担当者を対象に、IT製品/サービスの導入・購買に役立つ情報を提供する無料の会員制メディア「TechTargetジャパン」。このコンテンツでは、HR Tech/給与に関する運用&Tipsの記事を紹介します。製品/サービス選定の参考にご覧ください(リンク先のページはPR記事を含みます)。

人材管理:HCMソフトウェアによるリクルート業務効率化の最新事情

 インドネシアでインテリアデザインと家具を手掛けるPT Gema Graha Sarana(Gema)は採用と新人研修のプロセスを自動化し、欠員の補充にかかる時間が平均で20%短縮した。従業員による申請が承認されるまでの時間は3日から1日に短縮された。(続きはページの末尾にあります)

HR Tech/給与関連の運用&Tips

社員がどんどん辞めていく「息苦しい職場」の共通点

従業員の離職が続く「大退職時代」の一因は、有害な職場環境にある。従業員にストレスを与え、時には燃え尽き症候群の原因にもなる職場環境には、どのような特徴があるのか。

(2025/3/30)

実は中間管理職に多い? 「静かな退職」を脅威からチャンスに変えるための施策とは

業務への意欲を示さず、必要最低限の業務のみをこなす「静かな退職」は企業や管理職にとって脅威だ。一方ある専門家は、静かな退職をむしろチャンスだと捉えることを勧める。そのために企業は何ができるのか。

(2025/3/15)

「静かな退職」は“やる気がない”働き方? 反発が起こる理由とは

意欲が低く、必要最低限の業務だけを遂行する「静かな退職」が広がりつつある。この働き方は、業務に対して消極的な態度を取る「ディスエンゲージメント」と何が違うのか。

(2025/3/14)

テレワークのためなら給与が減っても構わない──“許容範囲”はいくら?

全米経済研究所の調査によると、IT業界の高所得の労働者の一部は、出社しない完全テレワークかハイブリッドワークができるのであれば給与が減少しても構わないと考えている。減額の割合はどの程度か。

(2025/3/1)

社員がどんどん辞めていく「有害な職場」の“残念すぎる特徴”

従業員が次々に辞める「大量退職」の要因の一つは「有害な職場環境」──そのような調査結果がある。従業員の生産性を低下させ、企業にも悪影響を及ぼす職場の特徴は何か。

(2025/2/6)

従業員の“満足度”もアップ? 福利厚生にAIを活用するメリット4選

福利厚生の管理業務にAI技術を活用すると、人事部門だけではなく従業員もメリットを得られる可能性がある。ただし、AIの活用には3つのリスクがあると専門家は指摘する。

(2024/12/23)

人が辞めにくい職場をつくるには? 社員の“やる気”をアップさせる5つの方法

従業員エクスペリエンスをポジティブなものにできれば、組織への貢献の度合いやモチベーションの向上につながる。従業員エクスペリエンスを向上させるには、どのような方法があるのか。

(2024/12/16)

「テレワーク軽視」が致命傷に? 災害時に生き残れる企業の“4つの条件”

自然災害やパンデミックなど、想定外の事態下でも業務を継続できる企業とできない企業。その明暗を分けたのはテレワークの整備状況だということを、研究チームが突き止めた。BCPに組み込むべきテレワーク施策とは。

(2024/12/16)

「Z世代」の心をつかむ、“人材争奪戦”を勝ち抜くための採用新戦略7選

労働力不足が進む中、求職者の世代と活動が多様化している。求職者との“最良”の出会いを実現するため、企業は従来の採用戦略をどうアップデートすればいいのか。専門家の声を踏まえて7つの方法を紹介する。

(2024/12/12)

「業務時間外に連絡」を禁止するなら、上司が慎むべき“NG行動”はこれだ

勤務時間外の業務連絡を断つ「つながらない権利」を求める向きがある中、専門家は雇用主が“やってはいけない”行動を指摘する。その行動とは。

(2024/12/10)

週休3日制の“メリットは明らか”なのに、企業がためらう“残念な理由”

週休3日制は従業員の幸福度と生産性の向上につながることを示す実験結果を、英国の研究チームが発表した。一方、大部分の企業が導入をためらう事情もある。どのような要因があるのか。

(2024/12/7)

「逃げ場がない監獄」 Appleの社内規定が“痛烈な批判”を浴びた背景

社内規定が個人のプライバシーを侵害しているとして、Appleの従業員が同社を提訴した。訴状はAppleのBYODに関する社内規定を批判し、「逃げ場のない監獄」と表現した。なぜ、激しい言葉で非難されたのか。

(2024/12/6)

“Z世代はすぐ辞める”のか? 退職を抑える2つの方法

Z世代をはじめ、さまざまな世代の従業員が働く組織のエンゲージメントを高めるにはどうすればいいのか。人事領域の専門家に聞いた。

(2024/12/3)

「スキル評価をAIに任せた」結果見えてきたうれしい効能とは?

人事部が抱えがちな課題として、従業員の離職やスキル不足がある。その解決の一翼を担おうとしているのがAI技術だ。人事業務におけるAI活用ポイントを事例から探る。

(2024/12/2)

人材採用に失敗しても「適任者」が見つかる“これだけの方法”

適切なスキルを持った人材はどこにいて、どう探せばいいのか。ITコンサルティング企業の経験を基に、どのような求人の経路や人材の制度に目を向ければよいのかを紹介する。

(2023/9/11)

多国籍企業が「離職者」を減らすために使った“なるほど”の方法

Sterlite Technologiesは、30カ国の国籍を有する従業員それぞれに喜んでもらえる福利厚生施策を用意するために、あるITツールを採用した。それは何か。

(2023/9/4)

IT業界のマイノリティーを育成できる「メンター」に向いている人物像

エスニックマイノリティーが企業で活躍し、長く働き続けるための重要な施策の一つは、メンター制度だ。だがメンターは誰でもいいとは言えない。メンターの人選において、どのような要素が重要なのか。

(2023/8/31)

引く手あまたのIT人材が欲する「給与」だけではない必須条件

世界中でIT人材不足が問題視されている。ビジネスの成長を促しながら、社内のIT人材の離職率を抑えるために、企業は何をすべきなのか。

(2023/8/30)

“女性がIT業界にいない”問題をあの「正義」がついに終わらせる可能性

人種や性別の偏りが、IT業界の人材採用には根付く残る。“あるきっかけ”で、こうした状況が改善する可能性があるという。それは何なのか。

(2023/8/18)

愛され続ける企業がいつでも大切にする「3つのこと」

企業が成長する過程では新たな人材や組織が加わることがあり、企業文化に変化が生じることがある。そうした中でも従業員が意欲的に働き、事業を成長させ続けるには何が必要なのか。

(2023/8/15)

HCMソフトウェアがもたらす効果

 こうした成果はクラウドベースの人事管理(HCM)サービスによるもので、これにより離職率が下がり、競争が激しい求人市場で人材を引き付け、つなぎ留めることが可能になった。

 Gemaのように、HCMソフトウェアを使って人材採用と管理の効率を高めてコスト削減に結び付ける企業は、アジア太平洋地域(APAC)全体で増えている。

 IDCによると、日本を除くAPAC地域のHCM市場は2023年まで毎年19.4%の伸びが予想され、中国、オーストラリア、インドが全体の売り上げのほぼ70%を占める。

 インドのバンガロールを拠点とするIDCのAPACソフトウェア調査部門の市場アナリスト、シリニバス・サミール・ジャバディ氏によると、2016年からはシンガポール、台湾、タイでもHCMソフトウェアが堅調な伸びを示している。

クラウドベースサービス

 ジャバディ氏によれば、クラウドHCMサービスの存在がHCM市場の成長を促す原動力の一つとなっている。そうしたサービスは優れたユーザーエクスペリエンスや分析機能、APIを提供する。加えて組織は、長年の間にカスタマイズされ、メンテナンスやアップグレードにコストがかかる昔ながらの人事制度から離れたいと望んでいる。代わって目を向けているのが、カスタマイズコードをそれほど必要とせず、構成オプションがもっと多い技術の採用だ。

転職

 ビジネスの観点から見ると、人材を求める競争の高まりやスキル不足、ソーシャルリクルートツールの普及によって、労働者が転職するのはかつてなく容易になった。

 Oracle APACのHCMアプリケーション責任者、シャークン・カーンナ氏によれば、そうした課題が原動力となって、顧客やビジネスに優れたサービスを提供する優秀な従業員エクスペリエンスの創出に向けた人事管理、データ、人材戦略へと人事担当幹部を突き動かしている。

 「OracleとWHU - Otto Beisheim School of Managementが実施した調査では、多くの組織が適切な技術に投資しながら、真に有効活用するために必要な文化やスキル、行動は欠いていることが分かった」。カーンナ氏はそう語る。

 「競争に勝ち、市場を主導する価値を打ち出したいと考える組織にとって、順応性と動きの速さは極めて重要だ。順応性の高さはどんな企業においても、組織を前進させるスキルを持った従業員を採用し、つなぎ留める大きな要因でもある」

 HCMソフトウェアには人材管理から給与や経費の支払いに至るまで、幅広い機能がある。HCMソフトウェアを検討する際は、現在のシステムを深く掘り下げて分析し、どんなデータを取得し、そのデータがどう流れ、どこに行き着くのかを把握しなければならない。これはソフトウェアの基盤であるデータベースから始まるとOracleのカーンナ氏は言う。

 導入するモジュールは全て、同じプラットフォーム上にあって共通のデータを共有し、相互にうまく連携し、従業員のシームレスなエクスペリエンスを実現しなければならない。これによって重複するシステムに関係した管理上の非効率性が縮小する。

ビジネスの成長

 ビジネスの成長に伴って拡張できるソリューションを導入することも重要だ。

 選定したHCMソフトウェアは、成長に伴って構造やレポート体系が変化する組織のニーズに対応できなければならない。「究極的には、リアルタイムで更新される真実の根本を見通せるHCMソフトウェアが必要だ」とカーンナ氏は話す。

 Workday Asia社長のロブ・ウェルズ氏によると、新しいHCMソフトウェアへの投資は、非常に人間的な形で人に影響を与えるデリケートなプロセスだという。「大抵の場合、これは一生に一度のチャンスなので、必然的にうまくやりたいと考える。そうした理由から、われわれはWorkday製品の導入を、従来のような顧客とサプライヤーの関係ではなくパートナー関係の構築と見なしている。われわれはプロセスを通じて継続的にフィードバックを求め、本番前に問題に対応できるよう製品を調整する」

分析の必要性

 SAP SuccessFactorsのAPEC・日本担当シニアバイスプレジデント、ジル・ポペルカ氏によると、企業がHCMソフトウェアを検討する際は自分たちの目標や課題を理解しておく必要がある。

 「従業員の高齢化が進んで人材の獲得に苦労しているのか。急成長モードにあって向こう2~3年の間に何社も買収する見通しなのか。組織のデジタル対応はどの程度なのか」

 そうした目標を理解すれば、何が必要で、何を選べばいいのかの枠組みが決まるとポペルカ氏は指摘する。

 全般的には、長期的な視野を持った実用的なアプローチを取ることが、組織のニーズを見極める最善の方法になる。加えて社内で聞き取り調査して、成功するため、仕事をこなすためには何が必要かを質問する。

 「多くの場合、人事部門は孤立した環境にあり、従業員のニーズよりも組織のニーズに重点を置いている」とポペルカ氏は言う。「包括的で、思慮深く、正直であること。そのアプローチを取れば、自分たちが本当に必要としているものを見極めるための枠組みが出来上がる」

主な機能

 IDCのジャバディ氏によると、バイヤーはHCMソフトウェアの評価に当たって、給与やセキュリティなどに関連した現地の法令の順守、クラウド移行能力、人事のベストプラクティスなどを判断基準とする。

 「アジア太平洋ではわれわれの中核的な人事ソリューション『SAP SuccessFactors Employee Central』を採用する企業が増えている。これはモジュール性を備えた包括的なソリューションで、顧客はどこからでもスタートできる」とポペルカ氏は言い添えた。

 Workdayによれば、従業員エクスペリエンスや職場でのエンゲージメントを向上させる機能に投資する会社が増えているという。

 「恐らくそれは、生産性の高い職場をつくり出す最善の方策に関する考え方が変化していることに起因するのかもしれない」とウェルズ氏は推測し、今は従業員エンゲージメントが改めて脚光を浴びており、それが業績に影響を与えることを裏付ける調査も増えていると指摘した。

個人に合わせたエクスペリエンス

 マレーシアのAirAsiaは、Workdayを使って2万2000人を超す従業員それぞれに合わせたエクスペリエンスを実現している。

 AirAsiaのWorkdayプラットフォームは、個々の従業員についてキャリアパスや技術スキルのレベル、専門能力の開発といった情報と、従業員が仕事をこなすために必要とする一般的な情報を継続的に記録する。

 これには出先で働く従業員の支援も含まれる。「モバイルプラットフォームでのHCMソフトウェア利用が増え始めている。その一因は、常に進化を続ける現代の職場の力学にある。多くの企業で、時間単位の従業員やオフィスでコンピュータの前に座っていない従業員が増え始めている」

 企業のモバイル化に加え、HCMソフトウェア市場では人工知能(AI)の台頭、ギグエコノミー(訳注:インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方)の成長、労働者の定義の変化、意思決定における高度な分析の利用増大といった別のメガトレンドも浮上しつつある。

 中でもAIはHCMソフトウェアへの導入が進んでいる。

データの組み合わせ

 Oracleのカーンナ氏によると、AIで最適な結果を引き出すためには、正確で精密かつ関連のあるデータが求められる。このためOracleは、いわゆるアダプティブインテリジェントアプリケーションに供給するデータには特に気を配り、ファーストパーティーとサードパーティーのデータを組み合わせて利用している。

 「調整のためには、われわれが最適化を行うプロセスや特定の用途専用に選定したトレーニングデータをOracleの機械学習モデルに注入する必要がある」と同氏は話す。

 「時がたつにつれ、このモデルは顧客独自のデータで継続的に精度を上げ、結果は継続的に向上する。事前に調整されたデータモデルの概念は、データサイエンティストが必要とされないことを意味する」

 結果として、採用担当者が大量の求職者に対応でき、従業員による選考の手順を合理化し、従業員の実績のモニターや向上につなげられるAI対応HCMソフトウェアが形成される。

 従業員はまた、HCMソフトウェアに組み込まれたインテリジェンスを使ってキャリアに関する具体的なアドバイスや、ネットワーク形成のチャンスを見つけることもできる。

 「それがなければ気付かなかった、あるいはずっと後になってからしか気付かなかったかもしれない役に立つ学習ポイントに到達できる」とカーンナ氏は説明する。

他に考慮すべき事項

 一部の組織は、新しいHCMソフトウェアの導入後もコンプライアンスや報告の必要性のため、さらには解雇した従業員に訴訟を起こされた場合に備えて、レガシーHRシステムを維持することを選ぶかもしれない。

 レガシーシステムを維持する必要があるかどうか判断する際は、サプライヤーのサポートがまだ受けられるかどうか、料金はどの程度なのか、データ紛失やデータ破損のリスク、さらにはデータをアーカイブシステムに保存する可能性について検討する必要がある。

 新しいHCMソフトウェアの費用対効果について判断する際は、レガシーシステムを維持するコストの他、新しいシステムにかかるライセンス、導入、サポートの経費を、予想される人手の削減や生産性の向上といったビジネス成果に照らして検討しなければならない。

 また、オンプレミスに導入する場合は新しいハードウェアやハードウェアのアップグレードにかかるコストや、研修およびデータ統合、ソフトウェアのカスタマイズに関連したコストも考慮する必要がある。