Z世代をはじめ、さまざまな世代の従業員が働く組織のエンゲージメントを高めるにはどうすればいいのか。人事領域の専門家に聞いた。
近年、ポートフォリオ型キャリアという考え方が登場している。1つの会社で勤務するだけにとどまらず、別の会社で副業をこなしたり、複数のキャリアを積んだりする場合もある。企業の中には、この動きに呼応して従業員を「数十年にわたって雇用するつもりはない」と考えるところもある。
とはいえ、企業が従業員の長期的なキャリア形成や利益を心から考え、そのことを伝えられることができれば、従業員は少しでも長く勤務する可能性がある。Z世代(1995年〜2009年に生まれた世代)を含むさまざまな世代の従業員が働く組織で従業員エンゲージメントを高めるためにはどうすればいいのか。
人事採用の領域で26年の経歴を持ち、人材サービス企業TurningPoint Executive Searchの創設者兼CEOを務めるケン・シュミット氏に聞いた。
―― 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)後の世界で、従業員の退職を抑制するにはどうすればいいのか。
シュミット氏 透明性の確保とコミュニケーションの2つに尽きる。特にZ世代の従業員は、自社で何が起きているか、自身の業務が自社にどのように影響するか、自社が社会にどのように影響を与えるかを知りたいと思っている。そうした期待に応える上で透明性の確保は重要だ。
私は、直属の上司を飛び越えて上層部に不満や懸念を訴えるといった行動を取ったことはない。しかしZ世代はそうではない。「悩みがあるが、解決に至っていない。直属の上司かそれ以上の職位かにかかわらず、問題を解決するための適切な行動を取れる人物に相談する」と主張する。透明性の確保は重要だが、それ以上にコミュニケーションが重要だ。
―― Z世代やミレニアル世代(1980年代から1990年代半ばに生まれた世代)、ベビーブーマー(1946年〜1960年代半ばに生まれた世代)は、仕事への向き合い方が異なるといわれる。何が真実で、何がうそなのか。
シュミット氏 ベビーブーマーは新しい技術を学ぶことができないという考えをしばしば耳にする。技術集約的な組織ではベテランを雇うべきではないといわれる。これは真実ではない。私は新しい技術に順応しているベテランを知っているので、うそだといえる。
Z世代は労働倫理がないといわれる。仕事のことは気にしないし、すぐに退職する。気にしているのは社会問題だけだ。メンタルヘルスの安定が課題であり、あらゆる点で危うい。電話での会話さえできないといわれる。
これもまた、全面的に真実というわけでもうそというわけでもない。ある人にとっては真実だが、私が知っているZ世代の大部分は優秀な従業員だ。献身的で、適切な労働倫理を持っている。仕事で成功したいし、雇用主にも成功してほしいと思っている。お金を稼ぎたいとも思っているが、大部分のZ世代は昇進してリーダーの役職に就くために働いているわけではない。そういう人もいるが、そうでない人もいる。
―― 企業はどのようにして、実際に効果をもたらすような方法で、多様性と包摂性を育むことができるか。
シュミット氏 最も重要なのは「トップの姿勢」だ。目新しい取り組みだからではなく、組織にとって重要だから取り組むという姿勢をCEOが明確にすること。それを信じ続けること。一時的な流行で終わらせないことを社内に示すことが重要だ。CEOが信じていなければ、従業員は「6カ月後には重要でなくなる取り組みだ。わざわざ取り組む必要があるのか」と疑問視する。
まず、トップがその姿勢を示すこと。次に、人材の採用方法が重要だ。同じ出身校、同じ業界、同じ年齢層の人材だけではなく、大学の学位を持たない人にも目を向けることだ。学位を持たない人々の中にも、素晴らしい労働倫理を持っている人がいる。
多様性を促進するには、見せかけにならないことだ。「われわれはあらゆる意見やアイデアを歓迎する」と言いながら、自分の意見と異なる人を排除するのは望ましくない。「われわれは、あらゆる人のアイデアを認め、称賛したい。経歴や肩書、所属する部署は関係ない」と主張する。あらゆるアイデアを称賛し、奨励し、それらが組織で取り入れられるように真剣に考える。その結果、包括性が実現すると思う。
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