労働力不足が進む中、求職者の世代と活動が多様化している。求職者との“最良”の出会いを実現するため、企業は従来の採用戦略をどうアップデートすればいいのか。専門家の声を踏まえて7つの方法を紹介する。
高齢化によって労働人口が不足する一方、仕事に対する考え方や価値観が従来の世代とは異なるZ世代(1990年代半ばから2010年ごろに生まれた世代)が、社会人としての一歩を踏み出している。就職活動も多様化し、求職者は企業のWebサイトから履歴書を送るだけではなく、ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」のプロフィールとアクティビティー欄を充実させて企業との出会いを待つといった選択肢を利用している。従業員も人材確保の選択肢も多様化する中、自社が求める魅力的な求職者に出会うために企業は何に取り組めばいいのか。
今日の採用市場で高度なスキルを持つ人材を確保するには、求人サイトに情報を掲載するだけでは不十分だ。「従来型の採用方法に頼るのではなく、あらゆる年代の求職者を見つけるためにさまざまな場所を探索すべきだ」。人材コンサルティング会社Whereas Hiswill Consulting(My Virtual HR Directorの名称で事業展開)のディレクター、ジョセフ・キャンパーニャ氏はこう話す。「新卒のプログラマーを探すなら、プログラマー向けQ&Aサイト『Stack Overflow』やソースコード共有サービス『GitHub』にアクセスしてほしい」(キャンパーニャ氏)
SNS「Facebook」で特定のグループに参加することも一考だ。人事部の部長に適した求職者に出会いたければ、人事部門が利用するソフトウェアのユーザーグループを見るといった具合だ。
勤務先としての自社の企業価値や企業として目指す将来像を伝え、求職者の入社意欲を高める「採用ブランディング」を実施する。
採用ブランディングを実施するに当たっては、企業価値を具現化する企業文化が存在している必要がある。企業文化を確立し、採用ブランディングを実施できるようになれば、採用活動の見通しを立てることができるとキャンパーニャ氏は説明する。「採用ブランディングに注力せず、『TikTok』といったショート動画共有サービスにやみくもに動画を投稿するだけでは、効果は期待できない」(同氏)
労働人口に占めるミレニアル世代(1980年代から1990年代半ばに生まれた世代)やZ世代の割合は拡大しつつある。この世代は持続可能性の推進や「DEI」(多様性、公平性、包摂性)、慈善活動といった社会的なテーマに注力する企業に魅力を感じるという。コンサルティング会社Deloitteが公開した調査レポート「2024 Gen Z and Millennial Survey」によると、「仕事における目的意識が仕事の満足度や幸福感にとって重要だ」とZ世代の86%、ミレニアル世代の89%が回答した。多様性やワークライフバランス、環境問題といった企業の取り組みが自分の価値観に合わないという理由で就職を拒否した割合はZ世代の44%、ミレニアル世代の40%だった。同レポートは、44カ国の1万4468人のZ世代と8373人のミレニアル世代を対象に、2023年11月から2024年3月にかけて実施したアンケート調査の結果に基づく。
採用担当者はESG(環境、社会、ガバナンス)やCSR(社会的責任)活動を担当する部門と協力して、企業サイトに特設ページを設置したり、求職者に自社の取り組みを周知したりすることも一案だ。
「採用部門の目標は、事業目標とは別に存在しがちだ。採用部門の目標をビジネス戦略に結び付けることを勧める」。人事コンサルティング企業Next Level BenefitsのCEO、ローレン・ウィナンズ氏はこう話す。ある事業目標を達成しようとするとき、適切なスキルや経験を持つ人材の採用が必要になる場合があるからだ。
ウィナンズ氏は、年に1回以上は採用目標を見直すことを採用担当者に勧める。「採用市場や自社の動向を踏まえて、時には目標の方向性を見直す柔軟性を持つべきだ」(同氏)
学歴や職歴ではなく、求職者のスキルを重視して選考するのが「スキルベースの採用」だ。企業の中にはスキルベースの採用を重視したり、一部の求人広告から学位要件を削除したりしているところがある。
「求人情報から学位の要件を外すことで、潜在的な求職者の人数が増加する」。人材コンサルティング会社Contented Cow Partnersの創業者でマネージングパートナーのビル・キャトレット氏はこう指摘する。高等教育を受けていない求職者は、学生ローンを利用しておらず、求める給与水準が低い場合がある。「そのような求職者は学習や成長の機会に興味を持つ可能性がある。学位要件の重要性を見直すことが採用活動を変えることにつながる」と同氏は話す。
既存の従業員に採用活動の協力を求めることも一案だ。リファラル採用(従業員による人材紹介)の制度を作り、採用につながれば紹介した従業員に報酬を支払う。
リファラル採用の制度は、採用部門だけではなくさまざまな部門の協力が欠かせない。制度はあるが使われていない場合は、制度自体を再検討する必要がある。
激動する労働市場において、報酬額や福利厚生の内容は特に重要だ。「業界の給与レンジや福利厚生の内容を毎年調査し、自社の実態と比較してほしい。福利厚生の内容を充実させて採用ブランディングの武器にして、競合他社との差別化を図ることも一考だ」とウィナンズ氏は話す。「求職者は報酬と福利厚生の内容で企業を選ぶといっても過言ではない」(同氏)
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