セキュリティとストレージ技術のソフトウェア提供を基本方針に、中堅・中小企業向けパートナー戦略や大規模向けビジネスを強化。2014年にセキュリティ、ストレージ、バックアップの各市場でシェアNo.1を目指す。
シマンテックは3月8日、2011年度の戦略説明会を開催した。代表取締役社長の河村浩明氏が、2014年にセキュリティ、ストレージ、バックアップの各分野で国内シェアNo.1を達成するための施策を発表した。
河村氏は冒頭、同社が予測する2011年のIT業界5大トレンドとして「モバイル」「クラウド」「仮想化」「セキュリティ脅威」「データ量の急増」を紹介。その中でセキュリティ脅威とデータ量の急増について掘り下げ、2000〜2009年の10年間で1日当たりに作成されるウイルス定義ファイルの数が1600倍に増加したことや、ガートナーの調査結果を引き合いに今後5年間にエンタープライズ市場で作成されるデータ量が800%増加する(その中で非構造化データの占める割合は80%)状況を示した。
セキュリティ業界の状況については「(マルウェアなどの)脅威は爆発的に増加し、その勢いは半導体の集積密度の増加率を示すムーアの法則を上回る。また、米国などでも話題となったトピックとしては、2010年に産業用システムを狙うボットネット『Stuxnet』が確認された。Stuxnetは、マイクロソフトの4つのゼロデイ脆弱性を狙った標的型の手口で、USBメモリを介したオフラインでの感染などテロに近い攻撃である。セキュリティベンダーとしてはこうした攻撃に対して新技術で対応していく必要がある」(河村氏)と述べた。
国内の販売戦略については「基本的にはシマンテックのセキュリティ/ストレージ技術をハードウェアベンダーへソフトウェア提供する水平展開を進める」と河村氏。同氏はこれを「パートナーエコシステム」と表現し、具体的には富士通、NEC、日立製作所といった国産ベンダーとの協業体制をさらに強化していくとした。
この戦略に基づき、2011年度は「中堅・中小企業(SMB)向けチャネル展開のシェア向上」「OEMパートナーとの新展開」「大企業向けビジネスの強化」「クラウドサービス展開」――の4点を重点施策に掲げる。
中堅・中小企業向けには、パートナー企業向けにスキル向上支援や技術情報の提供を引き続き行うほか、2011年夏以降に、エンドポイントセキュリティ製品の新版「Symantec Endpoint Protection 12」(以下、SEP 12)とバックアップ製品「Backup Exec System Recovery」(以下、BESR)の次期バージョンを提供開始する。両製品とも中堅・中小企業向けに操作性の容易なインタフェースを実装するなど、十分な管理体制がない組織でも導入しやすい設計を施した製品である。
技術面では、SEP12はゼロデイ攻撃への保護機能を強化した。従来のブラックリスト型に加え、レピュテーションとホワイトリスト型の保護を組み合わせた「Insight」機能、プログラムの挙動を分析する「ビヘイビア分析」技術を追加。定義ファイルを使用しなくても新規の脅威に対応できるようにした。さらに仮想化環境にも対応するなど、適応範囲を拡大した。BESRは、24時間365日体制でデータバックアップを可能にするなど、より迅速なデータ移行やリカバリに対応。容易なバックアップと素早いリストアという中堅・中小企業のニーズに応えるという。
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OEMパートナーとの協力では、シマンテックは2月10日にNTTドコモと共同でノートPC向けセキュリティ製品を発表。3月7日にもハギワラシスコムとStuxnetに対応するUSBメモリを3月28日に提供開始すると発表した。
河村氏は今後の展開として、KDDIやソフトバンクモバイルなど他の通信キャリアとも共同展開を進めるとし、スマートフォンやタブレット端末向けのセキュリティソリューションについてもパートナー企業と積極的に共同展開をしていきたいとした。
大企業向けには、ウイルス対策やスパムメール対策、情報漏えい対策など、各種セキュリティモジュールを包括的に導入できるスイート型製品を展開していく。また、データセンター向けにも、ストレージ技術を軸に各ミドルウェア上でインフラ管理、可用性確保、サーバ仮想化促進などに対応できる環境を提供していく。「2011年は大規模向けビジネスを大幅に強化する。これまで日本市場の売り上げ比率は中堅・中小企業:大企業が5〜6:4〜5だったが、5:5まで引き上げる」(河村氏)
クラウド戦略としては、メッセージラボのホステッドサービスに従来のスパム対策、ウイルス対策に加え、アーカイブやバックアップといったシマンテックのストレージ技術を融合していく。クラウドプロバイダー向けにセキュリティ機能を提供するだけでなく、このように同社の製品自体もクラウド(SaaS)提供していく方針だ。
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