電子カルテ普及の鍵は「スマートデバイス」と「医療クラークの活用」にあり【連載コラム】医療ITの現場から

「電子カルテは医師が操作するツールである」という前提で、その導入をためらう医師は多い。しかし、その発想自体を変えてみると意外とスムーズに電子カルテの運用が可能になる。

2012年02月07日 09時00分 公開
[大西大輔,メディキャスト]

「紙カルテのままでいい」と考える理由

 前回「なぜ電子カルテは急速に普及しないのか」では、電子カルテの普及を阻害する要因には「PCを操作しながら診療に専念できるのか」「患者数が多い場合、電子カルテの入力が追い付かないのではないか」という2つの疑問があると紹介しました。

 これらに共通するのは「医師が電子カルテに紙カルテと同等の操作性を求めている」点にあると思います。電子カルテになって、その入力が煩わしくなってしまうとなると、「わざわざ高いコストを掛けて導入する意味はない」と考えるのも当然かもしれません。他にどれだけ電子カルテの導入メリットがあったとしても、この点が解消されなければ今後も「紙カルテのままでいい」と考える医師は少なからずいることでしょう。

導入促進の鍵はスマートデバイス

 医療分野では、米Appleが2010年に発売した「iPad」をはじめとするスマートデバイスに注目が集まっています。その理由の1つに「スマートデバイスの操作性が医師のIT化を推進するという期待がある」と考えられます。スマートデバイスは、これまでPC操作に難色を示していた医師の考えを変える可能性を持っています。今後、スマートデバイスを中心にハードウェアが進化し、電子カルテメーカーがその動向に合わせて開発を進めていけば、電子カルテの操作性はさらに向上し、その導入を促進する要因になるでしょう。

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