デバイスを生かしたビジネス展開を模索しているMicrosoftは、新CEOの就任でどう変わるのか。クラウド戦略の今後とともに解説する。
米Microsoftの今後について解説する前編記事「『Windows 9』『タッチ版Office』、注目プロジェクトの動向は」に続き、後編では、セキュリティや同社が強力に進めるデバイスの施策について解説する。
クラウドに対する認識は、企業が対処しなければならない課題の1つだ。クラウドに社運を賭ける準備がまだできていない企業もあるが、その理由として挙げられるのは、ネットワーク接続の信頼性が低いこととセキュリティに関する懸念だ。
米アラバマ州バーミンガムにあるAlabama Gas Corpでデスクトップシステムを管理しているデイビッド・ドリッガーズ氏によると、同社では既にプライベートクラウドを展開している。ドリッガーズ氏は、パブリッククラウドサービスに対して懸念を抱いているのだ。危惧しているのは、データの保存場所と誰がデータにアクセスできるかだ。
「インターネット接続がダウンしたらお手上げだ」と同氏はいう。
Microsoftの新CEOであるサトヤ・ナデラ氏は、企業のIT部門が自社環境を管理するために必要な管理機能を提供すると約束している。だが、Microsoftのパートナーは、Microsoftがこの約束を果たせるかどうかを注意深く静観している。
販売チャネルやエンドユーザーに対して、より迅速にソフトウェアのアップデートとアップグレードを提供するというMicrosoftの方向性はしっかりと見定める必要がある。
「Microsoftは、同社の全てのエンドユーザーを取り巻く急速な変化を考慮する必要がある。それを踏まえて、製品のアップデート/アップグレードの提供や革新を行う今後2~3年の明確なロードマップを本腰を入れて作成すべきだ」と米カリフォルニア州ガーデナに拠点を置くITソリューションプロバイダーであるEn Pointe Technologiesのジェネラルマネジャー、マイク・ホーガン氏は述べている。
モバイルコンピューティングとクラウドコンピューティングは急速に変化している。この先3年のMicrosoftのロードマップに共感しない限り、企業が3年契約を結ぶことは望まないだろう。
「Microsoftは、IT担当者が購入者としてこれからの予定を把握できるように、リリースサイクルに関する情報を開示して、詳細情報を提供する必要がある」と米調査会社Gartnerでエンタープライズモビリティ管理調査のディレクターを務めるクリス・シルバ氏はいう。
Microsoftが単なる追随者ではなく先駆者であり続けるために守るべきものは、Microsoftと企業のITユーザーの信頼関係だ。
Microsoftのテクノロジーを使用すると、より生産的でコスト効率が良い組織へと変化できる。オンプレミステクノロジーがクラウドコンピューティングに統合される動きによって「IT担当者には多くのプレッシャーがかかり、その存在が危ぶまれている」とヘルム氏は指摘する。
一方、IT担当者は高い期待を寄せながらMicrosoftの動きに注目している。
「しばらくの間、Microsoftは米Appleになるべく努めてきた。だが、MicrosoftはAppleではない。この取り組みは中止したが、顧客の声に耳を傾けるようになった」とシュワルツ氏は自身の見解を述べた。
シュワルツ氏は、30分で1100台のデバイスを学生に配布したという最近実施した大規模な展開について言及した。「1日に開設できるアカウント数を制限する設定が原因で、学生がMicrosoftアカウントを作成できないという事態が発生した」
「Microsoftは1日に1000個のアカウントを作成する必要があるシナリオは予想していなかったようだ。しかし、Microsoftは事態を把握して同日中に当校のニーズに対応した。以前よりもMicrosoftの対応は迅速になったように感じる」
しかし、まだ改善の余地はある。
「アプリの観点でMicrosoftストアを改良し、ユーザーアカウントが異なるプラットフォーム間でシームレスに統合されるように進化を遂げることを期待する。1つのアカウントで全Microsoft製品に対応できたらどれほど素晴らしいことだろう」とシュワルツ氏は付け加えた。
この記事に関してMicrosoftからのコメントは得られなかった。
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