iPadとAndroidがタブレット市場で激しく火花を散らす中、Windowsは大きく出遅れている。米Microsoftはこの状況を打破すべく、低価格向け端末に対してWindowsを無料で提供する。この戦略は果たして吉と出るのだろうか。
「iPad」と「Android」がタブレット市場で主導権争いを続ける中、「Windows」は大きく後れを取っている。米Microsoftはこの状況を打破すべく、対抗手段を講じようとしている。その施策の1つが低価格向け端末に対するWindowsの無料化だ。
Windowsの無料化に関する発表は、4月2日(米国時間)に開催された年次開発者会議「Build 2014」で行われた。9インチ未満のタブレットを製造するベンダーは今後、Windowsのライセンス料を支払わなくて済むようになる。
今回の動きで注目すべき点は、東芝をはじめ、米Dellや台湾ASUSといったベンダーによる低価格タブレットの開発が促進されるだろうということだ。同市場は現在、米GoogleのAndroidが優位を占めている。
ローエンド向けAndroidタブレットが非常に低価格である理由の1つは、GoogleがモバイルOSのAndroidを無料で提供していることにある。Microsoftもこの流れに追従した形だ。
ハードウェア要件の低さもAndroid端末が安価である理由の1つだ。この点でも、Microsoftは追従しようとしている。4月に提供開始となった「Windows 8.1 Update」では、1Gバイトのメモリと16Gバイトの内部ストレージを搭載したタブレットで稼働するようになる。これは、現在のWindows 8.1で必要なシステム要件の半分である。
数十年前、Windowsが世間の注目を集めるきっかけの一部となったのは、同OSの稼働するPCがその当時の競合トップ製品と比べ、低価格だったからである。ところが、Windowsタブレットに関してはこれまで、Android端末よりも割高感が出ていた。Microsoftがこの状況を変えたいのは明らかだ。
さらに、9インチ未満のWindowsタブレットには、クラウド型オフィススイート「Microsoft Office 365」を1年間無料で利用できるサブスクリプションも付属する。同サービスでは、「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」などのアプリケーションを使うことができる。消費者にとって、この動きは一種の後退に見えるかもしれない。というのも、ミドルサイズのWindowsタブレットには現在、「Microsoft Office Home & Student 2013」のフル機能版がバンドルしているからだ(国内販売製品では「Microsoft Office Home and Business 2013」)。
だが、ソフトウェアの販売を止め、サービスの提供に切り替える取り組みは、Microsoftの進める戦略の一環である。ミドルサイズのWindowsタブレットを購入したユーザーは今後、Officeを1年間無料で利用できるが、次年以降も使い続ける場合にはサブスクリプション料金を支払い始めることになる。つまり、Microsoftは自社製品を無料で提供することで、結果的に利益につなげることができるようになるのだ。
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