ビッグデータ分析の分野はまだ比較的成熟度が低い。支出に見合った価値を保証するため、ビッグデータアプライアンスは慎重に選ぶ必要がある。
ビッグデータへのアプローチは、単一の出来の良いアーキテクチャを採用するのがよいらしい。専用に構築されたハードウェアとソフトウェアの組み合わせは、個々のコンポーネントを寄せ集めて手作業で組み立てるよりも、優れているに違いない――。
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以上の論理は、データ管理分野のベンダーの多くが用いてきた。例えば、米OracleはExadataを買収して「Oracle Big Data Appliance」と呼ぶシステムを構築した。同製品は米Sun Microsystemsのハードウェアに多様なソフトウェアを組み合わせたもので、1つのアプライアンスでさまざまな種類のデータに対応する。米IBMもNetezzaを買収して同様のアプローチを採り、「PureData」と呼ぶ一連のアプライアンスを構築した。
他には、米Dellや米HPにもビッグデータアプライアンスがあり、米TeradataはAsterを買収して「Integrated Big Data Platform」を立ち上げた。日立データシステムズは「Hyper Scale-Out Platform」を、米EMCは「Data Computing Appliance」を、米DataDirect Networksはしゃれた名称の「SFA12K Big Data Appliances」をそれぞれ擁している。
ビッグデータの分析には多くの異なる方法がある、幾つか挙げただけでも、自前で構築する方法やサービスとしてのビッグデータなどがある。だが、避けたい問題も多数ある。サプライヤーはそれを支援することに力を入れる。ビッグデータに対してはアプライアンスのアプローチが流行しているが、果たしてそれは見かけ通りの単純な選択肢なのだろうか。
さらに深く掘り下げるためには、ビッグデータの本質を理解しなければならない。大抵の場合、これは量(volume)だけの問題と見なされがちだ。だがこれは、ビッグデータというよりは、大量のデータの問題の側面が大きい。ボリュームはビッグデータの5つの「V」の1つにすぎない。ビッグデータが提示する問題について理解するためには、問題を生じさせ、ビッグデータの世界でチャンスをもたらす他の「V」にも目を向けなければならない。
前述の通り、処理すべきデータは大量にある。だがそれが全て定型の構造化データであれば、それなりの規模の処理能力を持つ標準的なデータベースとストレージ、ネットワークがあれば事足りる。
しかしデータの多様性(variety)に目を向けると、真の問題が表面化する。構造化されたデータと、構造化されていないデータが混在している状況に対応しなければならない場合がそれに当たる。ほとんどのデータは、「Microsoft Word」用フォーマットであれ、M2M(マシン・ツー・マシン)データのカンマ区切り文字列であれ、画像やビデオや音声データのヘッダであれ、ある程度の構造を持つ。
次に来るのは速度(velocity)だ。これには2つの側面がある。第1に、分析環境に提示されるデータの速度。例えばモノのインターネット(IoT)のデータを扱うリアルタイムデータ分析では時として、人間の介入で減速させることなく、小さなデータのパッケージを大量に通過させなければならない。第2に、分析の結果を出すスピードが挙げられる。
例えば、金融取引で結果を受け取る側の人物は、結果を入手するまでの時間を他のトレーダーよりもミリ秒単位で縮めたいと思う。製造ラインでは支障が出る前に問題を見つけ出し、接続を切断せずにラインの業務を継続できるよう、対応を可能にする必要がある。
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