DellによるEMCの買収は業界に驚きをもたらした。この買収がDellとEMCの事業に及ぼす影響とは? デル氏に同社の今後をインタビューした。
米EMCを買収した米Dellはこれからどうなるのか? 同社CEOのマイケル・デル氏は何を考えているのだろうか?
EMCを買収することで、同社は同業他社との関係が悪化することになる。それでも、670億ドルもの投資を失敗に終わらせるわけにはいかないと同氏は考えている。
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オーストリアのウィーンで開催された「EMEA Solutions Conference 2015」への出席を前に、同氏は現状について次のように話した。「当社はクライアント事業において11四半期連続でシェアを伸ばし、サーバ事業でもシェアを獲得している」
だが、サーバ市場は厳しい状況が続いている。2014年に、米IBMがPCサーバビジネスを中国Lenovoに売却した。2015年11月には、米Hewlett-PackardがHP Inc.とHewlett Packard Enterprise(HPE)に分社した。同時に、大規模IT契約の需要が低下し、契約を複数のサプライヤーで分担するのが一般的になっている。Dellの課題は、こうした傾向の中で、複数のサプライヤーと契約を結ぶよりも1社に絞って購入する方が適切であると納得させることだ。
「こうした傾向とは異なる方法で物事を進めることに不安はない。当社は規模が重要だと考えている。これからSoftware-Defined Data Center(SDDC)の時代が始まる。EMC買収後の当社は好位置に付けることになる。当社の顧客はSDDC関連の製品をまとめて購入することを望んでいる」とデル氏は語る。
デル氏によると、コンバージドインフラがデータセンター内にサイロを生み出す境界線を曖昧にしている。それが同社の追い風になると言う。EMCを買収すれば、同社は大企業の最重要ITプロバイダーとなる水準に達し、中小企業向けサプライヤーという立場から脱却することになる。
デル氏は、ハイブリッドクラウド、モビリティ、セキュリティを通じて、将来的には同社がIT業界のリーダーになり、デジタル化を支えることを望んでいる。デジタル化は、大手IT企業各社が取り組もうとしている最重要分野の1つだ。IBM、HPE、Dellはデジタル化におけるシェアの獲得を目指している。
センサー、帯域幅、コンピューティングといったリソースのコストが低下し続けていることを考えれば、デジタルテクノロジーを使用するビジネスの見直しが可能になる。こうした見直しを行わない企業はいずれ立ち行かなくなると、同氏は警告する。
「製造しているものが製品でもサービスでも、情報を駆使して改善していく必要があることを企業は認識している」とデル氏は話す。
デル氏にとっての大きな問題は、670億ドルを投じて買収するEMCが収まるべき場所だ。
「PC、ストレージ、サーバを製造する専門企業の誕生に興奮している。当社は全世界の大企業から小企業まで、他に類のないほど幅広い顧客に対応できるようになる」と同氏は話す。
これまでのEMCの顧客は、同社の大企業向け戦略に懸念を抱くことになるだろう。EMCの特徴は自社製品の提供だが、Dellの特徴は他社製品の再販だ。例えば、SDS(Software-Defined Storage)の場合、EMCは「EMC ScaleIO」を提供しているが、Dellは米VMwareの「EVO:RAIL」を使用している。オブジェクトストレージ製品の場合、EMCは「Atmos」「ViPR」「EMC ECS」を用意しているが、Dellのシステムは米Scalityの製品を採用している。ハイパーコンバージドの場合、EMCは「EMC ScaleIO Node」を提供し、Dellは米Nutanixの製品を再販している。
Dellに競合製品がある場合、EMCの資産を売り払うのか。デル氏は次のように答えた。
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