パスワードが不要な世界に向けて、導入が進むFIDO標準「FIDO Allianceが向かう方向は正しい」

USBトークンを利用することでセキュアにユーザー認証を行うFIDO標準。これが普及すればパスワードが不要な世界が実現する。パネルディスカッションの発言から、FIDO標準の現状を探る。

2016年01月07日 08時00分 公開
[Warwick AshfordComputer Weekly]
Computer Weekly

 パスワードは、「安全性に欠ける」「再利用される」「盗まれる」など、大きな問題を抱えている。テクノロジー業界は最優先でパスワードに対処しなければならない。業界を代表するパネリストの1人、サンドロ・ジアネラ氏(Google Germany パブリックポリシーマネジャー)はこう指摘する。独ベルリンで開催されたセキュリティカンファレンス「IEEE ISSE 2015」のパネルディスカッションでの発言だ。

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 「パスワードからの脱却が必要だ。この課題を前進させるには、業界全体が結集できる何かが求められる」

 だが、パスワードを廃止する試みは何度も失敗に終わっている。こうした状況を踏まえて、米FIDO(Fast Identity Online) Allianceに参加する大企業が増えているという。FIDO Allianceは業界の垣根を越え、米Google、米Microsoft、韓国Samsung、中国Lenovo、中国Alibaba Group Holding、米PayPal、NTTドコモ、米American Express、米Bank of America、米Visa、米MasterCardなど、テクノロジー、電子商取引、モバイル、金融といった業界の大企業がそのメンバーに名を連ねる。2015年6月には政府機関メンバーシッププログラムも導入され、米英両政府が最初のメンバーとして参加した。

 FIDO Allianceは、相互運用可能なオープン認証標準を利用して、パスワードベースのセキュリティに依存する状況からの脱却を目指す。また、FIDO標準準拠の製品やサービスの相互運用性を確保する認証プログラムも立ち上げている。

 「既に幾つか大規模な実装が始まり、PayPal、Samsung、Google、米Dropbox、米GitHubなどが早期採用している」と、ドイツに拠点を置くMATRIXのCEO、マルタ・カフルス氏は話す。

 「オープンなFIDO標準を早期導入したPayPalは、サプライヤーに縛られることがなくなり、この標準に準拠したサプライヤーであれば何も変更せずに移行できるようになった」と同氏は付け加えた。

 また、ジアネラ氏によると、FIDO標準は公開されているため、DropboxのようなFIDO Allianceのメンバーではない企業でも実装できるという。

 「FIDO Allianceはパスワードの問題を解決する拡張性のある優れた方法を実証し、迅速な行動を起こしている。だが、他業界の企業にもFIDO Allianceへの参加を促す必要がある。商品やサービスを購入するコンシューマーからセキュリティの強化を求める声が大きくなっているが、FIDO Allianceに参加することでこうした求めに応じてほしい」と同氏は話す。

 長期構想としては、全てのオンラインサービスにログインできる単一かつ安全な手段の実現を目指していると、Microsoft Germanyで情報セキュリティ部門の責任者を務めるミハエル・クラナウェッター氏は語る。

 「ユーザーが求めているのは、複数の環境で使用している全てのサービスへのアクセスを簡単にする方法だ。FIDO Allianceはこの手段を提供しながら、同時にセキュリティも強化している。だが、業界全体が手を携えることが必要だ」と同氏は話す。

 FIDO Allianceと連携する企業が増えれば、それに応じて優れたメリットを受けるユーザー数も増え、FIDO標準の導入が進む可能性が高まるというのがクラナウェッター氏の意見だ。

正しい方向に向かうFIDO

 FIDO Allianceが向かう方向は正しい。そう語るのは、ドイツ情報技術安全局のベルント・コワルスキー氏だ。

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