フラッシュアレイ市場は、新興企業がリードしている。新興企業が生み出す製品は、既存ストレージ企業の製品とは一線を画する魅力がある。2016年、オールフラッシュアレイ市場にどのような製品が登場するのか?
2015年、フラッシュアレイ市場は複雑な状況を呈していた。買収、新規株式公開、企業の新規参入などにより、オールフラッシュの先行企業の中には思うように事を運べなかったところもある。
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だが、新興企業は数々の成果を上げている。まず、機能面が進化している。全てのメーカーが、データ保護機能(RAID、レプリケーション)と最適化機能(シンプロビジョニング、圧縮、データ重複排除)を標準装備する多機能製品の開発を始めている。
同時に価格競争が本格化し、どのメーカーも1GB当たり1ドルという魅力的な目標の実現を目指している。こうした低価格設定は、「TLC NAND」などの最新テクノロジーやデータ最適化技法に負うところが大きい。
パフォーマンスの面でも、応答時間1ミリ秒という高い目標が掲げられている。
オールフラッシュの競争が極限まで高まっている中で、ハイブリッドフラッシュアレイメーカーは自社製品の形を変えてオールフラッシュ市場に参入している。この形での参入を果たしていないのはNimble Storageだ。同社は、今のところハイブリッド製品しか提供していない。
出そろった製品の数からすると、2016年のフラッシュ市場は興味深い動きを見せ、新興企業の買収や事業撤退が増えると予測される。例えば、2015年度の総括ニュースにはNimbus Dataが含まれていない。同社は同年、製品に関するニュースや発表を行わなかった。2014年度の総括ニュースで特集されたSkyeraはHGSTに買収されたが、買収後の製品では再浮上を果たせていない。
Coho Dataは、2015年5月に3千万ドル超の増資を行い、同社初となるオールフラッシュ製品「2000f」をリリースした。Cohoのアーキテクチャは複数のマイクロアレイで構成されている。このマイクロアレイは、SDNベースの10ギガビットイーサネットインフラによって接続される2層構造のストレージノードだ。
2000fは2台のコントローラーと4つの1.6TB PCIe SSD、最大24個(容量構成により異なる)のSSDで構成される。これにより実効容量7T〜47TBのスケーラビリティを持ち、データの最適化を行えばその実効容量は11T〜93TBに達する。
2000fの各ノードは、読み取りで最大32万IOPS、読み取り/書き込みで22万IOPSを実現する。複数のマイクロアレイをスケールアウトすることでクラスタを構築できる。クラスタは、必要に応じてオールフラッシュにすることも、ハイブリッドにすることもできる。
2015年8月、Kaminarioは「K2」プラットフォームのバージョン5.5を発表した。
同社はこの最新システムに3D TLC NANDテクノロジーを採用。このテクノロジーを扱う数少ないメーカー(Dell、Hewlett Packard Enterprise、SolidFireなど)の1社となった。
K2はスケールアウトが可能になり、実効容量を最大約740TBまでスケールアウトできる。さらに、データリダクションテクノロジーを適用すれば推定1.44PBまでスケールアウトできる。パフォーマンス面では、単一Kブロックシステムで25万IOPSを記録。最大までスケールアウトしたK2は100万IOPS、帯域幅は12.8GB/sになるという。
また、バージョン5.5のK2はネイティブアレイレプリケーションが導入された。「Perpetual Array」と呼ばれる機能により、顧客はK2クラスタ全体にメンテナンスを拡張しながら、ハードウェアの世代を混在させることも、統一することもできる。
NexGen Storageは、2015年11月に2つのモデルでオールフラッシュ市場に参入した。「N5-1500」「N5-3000」は、どちらも複数のPCIe SSD(各2.6TB)を使用する。N5-1500は15T〜60TB、N5-3000は30T〜60TBのSSDを組み合わせる。
NexGenは、PCIeとSSDを使った階層型フラッシュを模索する数少ないメーカーのうちの1社だ。この方式は2016年に広がりをみせる傾向を示している。同社のシステムは、マルチテナント環境でのスケーリングも可能にするサービス品質を提供している。どちらのモデルも最大45万IOPSとスループット6GB/sまでスケールアップする。
Pure Storageは2015年10月に株式を公開し、新興企業から安定企業へと動き出した。2015年6月、同社は新しいハードウェアをベースに「FlashArray」を改良し、「FlashArray//m」ブランドで3つのモデルを新たに発売した。
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