メルカリの子会社として多数のサービスを提供するソウゾウもまた、「Google Cloud Platform」(GCP)の熱心なユーザーだ。「Google App Engine」(GAE)を中心に1年以上使ってみて期待した効果は得られたのか。
前編「メルカリがデータ分析基盤に『Google BigQuery』を採用する理由」に続き、「Google Cloud Next 2017」で発表されたメルカリおよびその子会社ソウゾウによる、クラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)活用事例を紹介する。
ソウゾウは、ユーザー同士が会ってモノやサービスを取引する「メルカリ アッテ」(以下、アッテ)や本、CD、DVD専用フリーマーケットアプリ「メルカリ カウル」といったWebサービスを提供する企業だ。同社も親会社のメルカリ同様、GCPのサービスを多数活用している。
ソウゾウではGCPのアプリケーション開発基盤「Google App Engine」(以下、GAE)を中心に、仮想マシンサービス「Google Compute Engine」(以下、GCE)やデータ分析サービス「Google BigQuery」(以下、BigQuery)など、GCPのサービスを多数活用している。ユーザーが直接操作するフロントエンドのアプリケーションはGAEで開発し、バッチ処理のようなバックエンドで動くシステムにはGCEを使っている。例えば画像のような非構造化データはGCEのストレージサービス「Google Cloud Storage」に、ユーザーが生成する半構造化データはNoSQLデータベースサービス「Google Cloud Datastore」(以下、DataStore)に格納しているという。サーバサイドのエンジニアがアプリケーションを監視する際には「Stackdriver Monitoring」を使用し、リアルタイムのアクセスの様子は「Stackdriver Logging」で確認している。GAEやGCEに集まったデータはBigQueryに集め、その集約したデータを基に、ビジネスインテリジェンス(BI)チームがデータを分析している。図を見ると、構成が非常にシンプルなことが分かるだろう。
ソウゾウで執行役員を務める鶴岡達也氏が2016年6月に公開したスライド資料(「メルカリ アッテ」を支える Google App Engine と Golang)によると、ソウゾウがGAEを選んだ理由の1つにスケーラビリティがあったという。グローバル展開を視野に入れるアッテは、DAU(1日当たりのユーザー数)が数千万人規模、瞬間アクセス数は1秒当たり数万リクエストを想定しており、アクセス数の大幅な増加に耐え得る柔軟な拡張性が求められる。加えて無停止での機能改修や、準備作業を要しないリソース拡張が要件となっていた。
その点、GAEはGoogleのサービスと共用のインフラなので当然、世界のさまざまな国から共通のサービスが提供できるグローバル対応だ。既に画像・動画共有アプリケーション「Snapchat」のようなDAU1億人規模のサービスを稼働している実績もある。分散システムのための仕組みも整っており、小規模から大規模まで柔軟にリソースを拡張できることも分かっていた。それまでBigQueryやGCEしか使用していなかったという鶴岡氏が情報収集を開始したところ、周囲のエンジニアからの評判が非常に良く、GCPに盛り上がりの兆しと将来性を感じたという。実際、Google担当者からGCPの情報を聞き、「Amazon Web Services」(AWS)のソリューションアーキテクトのような直接話せる技術担当者がいることに驚いたという。GAEがプログラミング言語「Go」による開発に正式対応していることも採用の後押しとなった。
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