Equifaxの個人情報流出事件で、同社のCISO(最高情報セキュリティ責任者)が音楽の学位を修めていたことが批判を浴びた。情報セキュリティのプロフェッショナルがどのような教育を受けているべきか、専門家の見解は。
データ漏えい事件が見出しをにぎわせ注目を集め続けている中で、CISO(最高情報セキュリティ責任者)たちの職歴や学歴、取得している資格などといった経歴が白日の下にさらされるようになった。
この出来事がきっかけとなり、情報セキュリティのプロフェッショナル、特にCISOがコンピュータサイエンスの学位を修めている必要があるかどうかに関する議論が巻き起こっている。この議論の直近の例として、2017年に大規模な情報漏えいを起こしたEquifaxのCSO(最高セキュリティ責任者)のケースが挙げられる。この信用格付け機関であるEquifaxのCSOであるスーザン・モールディン氏がコンピュータサイエンスではなく音楽の学位を修めた人物であることが報じられ、同氏には批判が浴びせられた。
これ以後、コンピュータサイエンスの学位を持っていない情報セキュリティのプロフェッショナルが多く存在することが指摘されてきたが、国際情報システムセキュリティ認証コンソーシアム(ISC)2のCEOであるデイビッド・シアラー氏は「コンピュータサイエンスの学位は価値があることもあるが、必ずしもCISOに就任するための要件とする必要はなく、その他の教育や訓練のリソースを用いたり、職務経験を積んだりすることによって、特定の職務に必要なスキルが身につくこともある」と考えている。シアラー氏が話してくれたこの議論や、CISOとしての資格に関する彼なりの考えをここで紹介しよう。
EquifaxのCISOが音楽の学位を取得していたことを多くの人が非難した。非難には一理あるだろう。しかし、科学的に言って、音楽にはかなり数学的な側面がある。音楽は非常に分析的なのだ。
情報セキュリティのプロフェッショナルである人の多くは異なる経歴を持っている。私はそこを非難しようとは思わない。
私はサイバーセキュリティの思想的リーダーとして、また(ISC)2のような組織の統括者として、CISOについてその周辺事情をよく知りもせずにCISOに責任を押し付けるのは早計ではないかと思う。ビジネスの慣例では、CSOは指揮権限や管理権限を持っていなかった可能性がある、という主張もあるようだ。
個人的には、この(批判の)流れに乗って「彼女(スーザン・モールディン氏)にはCSOとしての資格がない」と言うのは気が進まない。私は彼女について、または彼女の周辺事情について十分に把握していない。今回の情報漏えい後に、信用情報の監視をするためとして、詐欺的なWebサイトを立ち上げたことに彼女が関わっていたのだろうか。Webサイトの利用者が同社に対して、どのような形であれ集団訴訟を起こしてはいけないと読み取れるようなWebサイト利用規約の責任者だったのだろうか。CISOの責任ではなかった可能性さえある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
従来のSOCは、AIや機械学習を用いた高度な攻撃に対処できなくなりつつあり、可視性とコンテキストの欠如や検証の複雑化など、さまざまな課題が山積している。この状況を改善するには、人手に頼ったSOCモデルから脱却する必要がある。
比較的新しい製品分野である「SD-WAN」にも、早くも変化が起こり始めている。SD-WANは今後、どう進化するのか。「SASE」といった関連技術との関係性を踏まえながら、“次世代SD-WAN”の方向性を探る。
ランサムウェア以外にもさまざまなサイバー攻撃が企業を襲い続けているが、重大なセキュリティインシデントへの対策を適切に行えている企業は今も少ない。その理由や、状況を改善するための4つのステップを詳しく解説する。
サイバー攻撃による被害は、金銭的な損失だけでなく、信用の失墜や業務継続への支障といった経営上のリスクに直結する。このようなリスクへの備えとして有効なのが、「脆弱性診断」だ。脆弱性診断の目的や実践方法について解説する。
昨今、組織のネットワーク外に分散したエンドポイントが、攻撃者にとって格好の標的になっている。このような中でエンドポイント保護の新たな形として期待を寄せられているのがEDRだ。しかし、運用が難しいなどの課題も多い。
なぜクラウドセキュリティは複雑ではなく「包括的でシンプル」にすべきなのか? (2025/6/13)
「見える化」ではもう守れない アタックサーフェス管理の限界と次世代の対策 (2025/6/12)
中小企業が買うのは信用 L2スイッチ&認証技術で2つの企業が組んだ理由 (2025/6/5)
脱PPAPの壁はこう超える――PPAP文化を終わらせる現実解 (2025/5/19)
EDR、XDR、MDR それぞれの違いと導入企業が得られるものとは (2025/5/15)
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...