セキュリティ人材不足にどう立ち向かうか【後編】
「優れたセキュリティ担当者」の条件とは? キャリアアップの道筋
企業のIT化が進むにつれ、セキュリティの重要性が増している。セキュリティ担当者と経営層がそれぞれの役割を遂行するだけでは、セキュリティ対策は万全にできない。なぜなのか。
前編「『セキュリティ人材不足』に嘆く企業が雇うべき“門外漢”に必要なスキル」は、調査会社Enterprise Strategy Groupのレポートを基に、アナリストであるジョン・オルツィク氏が考えるセキュリティ分野の人材不足の解決策を紹介した。後編は、セキュリティ担当者に必要なスキル、企業がセキュリティ対策をする上で念頭に置くべき考えをオルツィク氏に聞く。
セキュリティ担当者と経営層のギャップ
オルツィク氏 セキュリティ分野の人材不足を解消するためには、一般の人々に対するセキュリティ教育の強化も必要だ。セキュリティインシデントは、開いてはいけない添付ファイルをクリックしたり、フィッシングメールにだまされたりすることが原因で発生する。韓国のように、学校の教育プログラムの一環としてセキュリティ教育を実施している国もある。
米国でもノースダコタ州には、幼稚園から高校、大学、さらには職場をも対象としたセキュリティ教育プログラムがある。これは非常に興味深い先進的な取り組みだ。この教育を受けた人は、セキュリティ関係の仕事に就かなかったとしても、セキュリティの観点から正しい行動ができるようになり、結果的に多くの人の安全を守ることになるだろう。
―― 専門外からも人材を採用すべきとのことでしたが、専門内外を問わず、優れたセキュリティ担当者に求められるのはどのようなスキルでしょうか。
セキュリティのスキル開発よりも、キャリア形成よりも大切なもの
オルツィク氏 調査結果が示しているように、重要なのはセキュリティのスキル開発でもキャリア形成でもない。最も重要なのは、技術的な観点からのセキュリティ教育と、ビジネス的な観点からのセキュリティ教育の相乗効果を高めることだ。
企業の最高情報セキュリティ責任者(CISO)は会社の経営幹部であり、リスクを特定して軽減する仕事を持っている。一方、セキュリティ担当者は概して技術畑出身だ。通信、有害なファイル、メールの添付ファイルなどには詳しいが、ビジネスのことには明るくない。そのため、ビジネス分野を担う人材の採用は、技術系の人材の採用と同じくらい重要になる。
―― 熟練のセキュリティ担当者がキャリアを伸ばすには、どのようなスキルを磨くべきでしょうか。
オルツィク氏 優れたセキュリティ担当者は、ネットワーク、システム、データベース、アプリケーションなど広範囲の技術に精通し、その知識をビジネスに適用できなければならない。例えば、国外の従業員が機密情報にアクセスする場合や、ビジネスパートナーに機密情報を提供する場合に、どのようなリスクが生じるかを理解する必要がある。このように、技術とビジネスの両面に対処できることが求められる。
―― セキュリティ分野の人材不足について他に留意すべきことはありますか。
オルツィク氏 経営陣のITとセキュリティ関連リスクに対する意識は高まっている。少し前までは「経営陣は最適なセキュリティではなく、そこそこのセキュリティしか望んでいない」と言われていた。それが今では、さまざまなセキュリティ侵害事件や、ビジネス成長に必要なデジタル変革への取り組みを経て、セキュリティの重要性に対する人々の理解が進んだ。
それでもまだ、経営陣とセキュリティ担当者の間には埋めるべき溝が残っている。経営陣の関心はリスクと投資利益率、効果的な予算配分といったビジネス的な点にあり、セキュリティ担当者の知識はビットやバイト、不正プログラム、脆弱(ぜいじゃく)性などの技術的な点にとどまっている。どうすればこの溝を埋めることができるのかが、重要な鍵になるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
セキュリティ人材不足にどう立ち向かうか
企業はセキュリティ分野の人材不足に直面しており、専門家は「この問題に簡単な解決策はない」と語る。解決するにはどうしたらよいだろうか。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用 -
技術文書・技術解説
[NTTインテグレーション株式会社] 「耐量子計算機暗号」(PQC)に今、取り組むべき理由とは? 実現の道筋も解説 -
製品資料
[株式会社リンプレス] どうしたら非デジタル人材を「自走するDX推進者」に変えられるのか? -
製品資料
[アステリア株式会社] 既存システムをAIレディに変える「連携型モダナイゼーション」の手法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
3
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
4
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
5
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
8
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
9
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
10
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
4
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
SASE選定は「見極め力」で大きな差――本当に必要な製品を選ぶための6つの視点
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
9
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー