日常生活におけるさまざまな監視を受け入れることは、「パートナーのオンライン行動は監視してもよい」という考えの正当化につながり、ひいてはデジタル技術を用いた虐待を助長しかねない――。研究者はそう指摘する。
セキュリティベンダーKaspersky Labsは、女性に対する暴力撤廃の国際デーである2021年11月25日に、ネットストーキング(インターネットを利用したストーカー行為)と虐待に関するパネルディスカッションを開催した。ディスカッションの中でこの問題を指摘したのが、University College London(UCL:ユニバーシティーカレッジロンドン)で国際安全保障と新興技術に関する講師を務めるレオニー・タンザー氏だ。
「行動の監視は社会的に受け入れられるようになった」とタンザー氏はみる。同氏はその根拠として、監視カメラによる撮影や友人間での位置情報データの共有などが、すでに根付いていることを挙げる。「人々は友人と同意の上で、位置情報を自由に共有している。そうした行為が問題なく、便利で、メリットをもたらすと考えているからだ」と同氏は説明する。
人々が「パートナーの行動をチェックするのはそれほどおかしなことではない」と考えるようになったのはなぜか。「そうした人々の勤務先も、彼らの行動を監視しているからだ」とタンザー氏は言う。
Kaspersky Labsが2021年9月、調査会社Sapio Researchに委託して実施した調査では、調査対象となった英国人1002人の11%が「本人に知られず、同意も得ずに、パートナーをひそかに監視、調査することは問題ない」と回答。76%は「パートナーが浮気をしていると感じた場合に、パートナーのオンライン行動を監視するのは当然だ」と考えていたことも分かった。
この調査によると、調査対象の英国人の15%はネットストーキングを受けたことがあり、そのうち44%はスマートフォンアプリケーションを使ったストーキングに遭った。「パートナーがモバイルデバイスにストーカーウェア(行動追跡アプリケーション)をインストールすることを強要した」と回答した人もいた。
調査対象の英国人の24%は、パートナーがプライバシーを侵害することを心配していた。54%は、スマートフォンを介したプライバシー侵害を懸念しているという。一方でパートナーのデバイスのパスワードを知っている調査対象の英国人は51%に上ることも分かった。これらの数字は、自身のプライバシーが侵害されることを懸念する半面、パートナーのプライバシーを侵害している人も少なからずいるということを示唆する。
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