コカ・コーラに身代金を要求した親ロ派ランサムウェア集団Stormousの狙いとは?“暗号化しない”ランサムウェア攻撃集団

ランサムウェア攻撃集団「Stormous」はCoca-Colaのシステムに入り込んだと主張している。データを暗号化しないとみられるStormousは、この攻撃によって何を狙っているのか。

2022年05月24日 05時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

 ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃集団「Stormous」は、大手飲料メーカーCoca-Cola(コカ・コーラ)から容量161GBのデータを盗んだと主張し、同社に約6万4000ドルの身代金を要求した。Stormousは2022年4月、「Coca-Colaの一部のサーバをハッキングした。入手したデータを売りたい」というメッセージのスクリーンショットを「Twitter」に投稿した。

 Coca-Colaは、Stormousの主張を認識していることを認めたが、それ以上の情報は公表していない。同社コミュニケーション担当バイスプレジデントのスコット・リース氏は、メディアに配布した声明で「主張の真偽を調査している」と述べた上で、警察と共に対処を検討していることを明らかにした。

攻撃の背景にウクライナ侵略か データを売って得た収入の使途は?

 Stormousは比較的新しいランサムウェア攻撃集団で、組織やその活動の詳細はほとんど知られていない。中核メンバーは、アラビア語圏の国に拠点を置いているとみられる。Stormousはロシアによるウクライナ侵略に関して、ロシア側の支持を公言している。そのことから、今回StormousがCoca-Colaを攻撃したのは、Coca-Colaがロシア市場から撤退したことに対する報復だとの見方がある。

 IT情報サイト「Bleeping Computer」によると、Stormousはランサムウェア攻撃集団と自称している。だがStormousが過去に標的とした企業のシステムには、データの暗号化の痕跡はないという。そのため、Stormousは標的のデータを暗号化せず、抜き取っているだけだという可能性がある。これは、最近逮捕者が出たとみられる攻撃集団「Lapsus$」の手口に共通する。

 StormousとLapsus$にはもう一つの共通点がある。メッセージングアプリケーション「Telegram」を活発に利用していることだ。Telegramのユーザーはメッセージをやりとりする際、送信者と受信者だけが復号できる「エンドツーエンド暗号化」(E2EE)を利用できる。StormousはTelegramで「次はどこを標的にするか」についてフォロワーに投票を募っていた。

 セキュリティ情報サイト「ProPrivacy」のレイ・ウォルシュ氏は、Coca-Colaからデータを盗んだというStormousの主張について「事実なら、盗まれたデータは詐欺やID窃盗のために使われる可能性がある」とみる。Stormousが、データを売って得た収入をウクライナ侵略の支持に使う可能性もあるとウォルシュ氏は言う。

 オンラインストレージベンダーEgnyteのサイバーセキュリティエバンジェリズムディレクター、ニール・ジョーンズ氏は「Stormousが主張しているデータ盗難は仮にうそだとしても、標的企業のブランドの評判に悪影響を与えかねない」と指摘する。ジョーンズ氏によると、Coca-Colaは同様の事案が再発することを防止するために、外部の攻撃者にとどまらず、不満を抱いている内部関係者の行動も含めてセキュリティ対策を強化する必要がある。

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