ランサムウェア攻撃集団「Stormous」はCoca-Colaのシステムに入り込んだと主張している。データを暗号化しないとみられるStormousは、この攻撃によって何を狙っているのか。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃集団「Stormous」は、大手飲料メーカーCoca-Cola(コカ・コーラ)から容量161GBのデータを盗んだと主張し、同社に約6万4000ドルの身代金を要求した。Stormousは2022年4月、「Coca-Colaの一部のサーバをハッキングした。入手したデータを売りたい」というメッセージのスクリーンショットを「Twitter」に投稿した。
Coca-Colaは、Stormousの主張を認識していることを認めたが、それ以上の情報は公表していない。同社コミュニケーション担当バイスプレジデントのスコット・リース氏は、メディアに配布した声明で「主張の真偽を調査している」と述べた上で、警察と共に対処を検討していることを明らかにした。
Stormousは比較的新しいランサムウェア攻撃集団で、組織やその活動の詳細はほとんど知られていない。中核メンバーは、アラビア語圏の国に拠点を置いているとみられる。Stormousはロシアによるウクライナ侵略に関して、ロシア側の支持を公言している。そのことから、今回StormousがCoca-Colaを攻撃したのは、Coca-Colaがロシア市場から撤退したことに対する報復だとの見方がある。
IT情報サイト「Bleeping Computer」によると、Stormousはランサムウェア攻撃集団と自称している。だがStormousが過去に標的とした企業のシステムには、データの暗号化の痕跡はないという。そのため、Stormousは標的のデータを暗号化せず、抜き取っているだけだという可能性がある。これは、最近逮捕者が出たとみられる攻撃集団「Lapsus$」の手口に共通する。
StormousとLapsus$にはもう一つの共通点がある。メッセージングアプリケーション「Telegram」を活発に利用していることだ。Telegramのユーザーはメッセージをやりとりする際、送信者と受信者だけが復号できる「エンドツーエンド暗号化」(E2EE)を利用できる。StormousはTelegramで「次はどこを標的にするか」についてフォロワーに投票を募っていた。
セキュリティ情報サイト「ProPrivacy」のレイ・ウォルシュ氏は、Coca-Colaからデータを盗んだというStormousの主張について「事実なら、盗まれたデータは詐欺やID窃盗のために使われる可能性がある」とみる。Stormousが、データを売って得た収入をウクライナ侵略の支持に使う可能性もあるとウォルシュ氏は言う。
オンラインストレージベンダーEgnyteのサイバーセキュリティエバンジェリズムディレクター、ニール・ジョーンズ氏は「Stormousが主張しているデータ盗難は仮にうそだとしても、標的企業のブランドの評判に悪影響を与えかねない」と指摘する。ジョーンズ氏によると、Coca-Colaは同様の事案が再発することを防止するために、外部の攻撃者にとどまらず、不満を抱いている内部関係者の行動も含めてセキュリティ対策を強化する必要がある。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
今や誰もが入手可能となったフィッシングツール。そこにAIの悪用が加わり、フィッシング攻撃はますます巧妙化している。本資料では、20億件以上のフィッシングトランザクションから、フィッシング攻撃の動向や防御方法を解説する。
セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。
年々増加する標的型攻撃メール。この対策として標的型攻撃メール訓練を実施している企業は多い。こうした訓練では一般に開封率で効果を測るが、実は開封率だけでは訓練の効果を十分に評価できない。評価となるポイントは報告率だ。
従業員の情報セキュリティ教育は、サイバー攻撃や人的ミスによる情報漏えいから自社を守るためにも必要不可欠な取り組みだ。新入社員の教育を想定し、伝えるべき内容や伝える際のポイントを解説する。
2024年の情報漏えい事故の傾向では、攻撃者による大規模攻撃の他、社員や業務委託先のミス・内部犯行によるケースも多く見られた。インシデント別の要因と対策とともに、今後特に重要になるセキュリティ意識向上のポイントを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。