「ハクティビスト」によるリトアニアへのサイバー攻撃が観測された。この攻撃はロシアによるウクライナ侵攻と関係するものだという。何が攻撃の引き金になり、どのような被害があったのか。
ロシアとのつながりがあるハクティビスト(政治的な目的でサイバー攻撃を仕掛ける活動家の集団)Killnetは、リトアニアの政府機関やネットワークに対して、一連の分散型サービス拒否(DDoS)攻撃を実行した。攻撃が起きたのは、ロシアとリトアニア間における外交問題が発生した後のタイミングだった。
問題の焦点となるのは、バルト海沿岸でリトアニアとポーランドに挟まれたロシアの飛び地、カリーニングラードだ。同地はかつてドイツの一部であり、東プロイセンと呼ばれていたが、第二次世界大戦後にソビエト連邦の一部になった。
1990年のリトアニア独立後、カリーニングラードはロシアの飛び地となった。ロシア本土とカリーニングラードを結ぶ陸上ルートは、リトアニアを経由するルートしか存在しない。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EU(欧州連合)はロシアからEU域内への輸出禁止措置を取った。リトアニアもこれに賛同し、石炭や金属、建設資材、先進的技術製品といった物資の、同国経由のカリーニングラードへの輸送を禁止。この措置はロシア政府の怒りを買った。
リトアニアの国家サイバーセキュリティセンター(NKSC)によると、同国が国家安全保障の用途で利用するネットワークと、政府機関や民間企業が2022年6月27日にDDoS攻撃を受け、ユーザーはネットワークやシステムにアクセスできなくなった。
2022年7月時点でこの攻撃への対処は完了し、ネットワークやシステムは復旧している。NKSCの長官代理を務めるヨナス・スカルディンスカス氏は、特に通信やエネルギー、金融といった分野を狙った攻撃が今後も起こる可能性があると指摘する。
今回の攻撃を実行したと主張するKillnetの広報担当者は、ロイター通信に次のように語った。「攻撃は、リトアニアが国境封鎖措置を解除するまで続くだろう。Killnetは1650件以上のITリソースを破壊しており、その数はこれからも増える」
ロシアによるウクライナ侵攻の開始時、複数のハクティビストやサイバー犯罪集団がロシア政府への忠誠を表明した。Killnetはそのうちの一つだ。
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