クレディセゾンはなぜ「IT資産管理」を根本から見直したのか?クレディセゾンに学ぶIT資産管理【前編】

クレディセゾンはIvanti SoftwareのIT資産検出ツールとヘルプデスク支援ツールを導入し、PC管理を強化している。Ivanti Software製品を選び、IT資産管理を見直した背景とは。

2024年09月27日 05時00分 公開
[ゼンフ ミシャTechTargetジャパン]

関連キーワード

導入効果 | IT資産管理 | セキュリティ


 「AMERICAN EXPRESS」などのクレジットカードを日本で発行しているクレディセゾン。同社はPCをはじめとするエンドポイントの管理に注力する一環で、2023年の夏に約6000人の従業員に新しいPCを配布するとともに、セキュリティベンダーIvanti Softwareの以下の製品を導入した。

  • IT資産の検出ツール「Ivanti Neurons for Discovery」
  • ヘルプデスク支援ツール「Ivanti Neurons Workspace」

 導入の背景にあるのは“クレカだけ”ではない新しい事業構造への転換だ。クレディセゾンは2022年、小野 雄太郎氏をCISO(最高情報セキュリティ責任者)として迎え入れ、急ピッチでよりセキュアなシステム構築に取り組んでいる。なぜIvanti Softwareの製品を選び、IT資産管理を見直すことにしたのか。小野氏に聞いた。

Ivanti製品を選定し、IT資産管理を見直した訳

 クレジットカードの発行において広く認知されているクレディセゾンにとっても、クレジットカード発行サービスの競争が激しくなる中では利益の創出は簡単ではなくなっているという。そうした中、同社が力を入れているのは、不動産や法人向けローン、海外展開といった新しい事業領域を開拓して収益力を高めることだ。

 “新生クレディセゾン”を後方で支えるため、同社が注力しているのは、システムやIT利用環境の見直しだ。その出発点として同社は、2023年4月から従業員に新しいPCを配布し、より快適に仕事ができる環境を整えた。PCの導入に当たっては、エンドポイントセキュリティも強化した。「新しいPCの台数は数千台に及ぶ。そのため、特にデバイスのインベントリ(在庫)管理ができるツールの導入を重視した」と小野氏は語る。

 「クレディセゾンのシステムのセキュリティ機能は強固であるため継続して使うことにしたものの、従業員のPCを検出して利用状況を“見える化”する点という部分については見直しが必要だった」。小野氏はそう振り返る。こうした判断には、仕事の枠を越えてITを使ってきた同氏の経験が生きている。学生のときはMicrosoftをはじめ、IT製品の研究に夢中になり、細かい機能も含めて高度な知識を身に付けたという。クレディセゾンに入社する前は農業や介護など、幅広い業種でセキュリティ体制の構築に携わってきた。そうした経験は、既存システムをきめ細かく分析して課題を洗い出し、その解決のためにどのような製品を使えばいいかを考えることに役立っている。

ヘルプデスク業務の効率化にもIvanti製品を活用

 クレディセゾンが導入したIvanti Neurons for Discoveryは、IT資産検出ツールだ。同ツールでは、どのようなエンドユーザーやエンドポイントがいつネットワークに接続したのか、エンドポイントにどのようなソフトウェアがインストールされているのかといった情報の把握ができる。Ivanti Softwareによると、Ivanti Neurons for Discoveryを使えば、わずか「数分」でのインベントリ管理が可能だ。

 Ivanti Neurons for Discoveryを採用した理由について、小野氏は「クラウドサービスなので、どこからでもエンドポイント管理ができるという点を評価した」と説明する。経営陣にもクラウド型インベントリ管理ツールの利点を納得してもらい、約1カ月で導入が決まったという。

 エンドポイント関連でもう一つ、クレディセゾンが課題としていたのは、ヘルプデスク業務の効率化だ。同社のヘルプデスクには日々、「間違えたパスワードを入れてしまってエラーが出た」「部門単位であるツールを使いたいが、問題ないか」といった問い合わせが殺到していたという。スムーズな事業活動を支えるためにも、従業員の問い合わせに丁寧に回答しなければならないが、そのためのリソースの確保が難しい――。解決策として小野氏が決めたのは、Ivanti Neurons Workspaceの利用だ。

 Ivanti Neurons Workspaceはヘルプデスク業務を外部に任せることができるツールだ。同製品はIvanti Neurons for Discoveryとの組み合わせによって従業員のPCからさまざまなデータを集約して分析する。問い合わせがあったらIvanti Softwareの専門スタッフがデータ分析から得た洞察を使い、速やかに解決策を提案するという。


 後編は、Ivanti Software製品の導入効果に焦点を当てる。

ITmedia マーケティング新着記事

news009.jpg

Z世代狙いだからこそ“紙媒体” 「消されるためにあるマッチングアプリ」HingeのCMOが語る逆張り発想
HingeでCMOを務めるジャッキー・ジャントス氏は、紙媒体を活用した2024年のマーケティン...

news020.jpg

意外だった? リードナーチャリングが「SEO」にも重要な理由を解説
今回は、主にB2Bのビジネスに従事する人に向けて、SEOで効果的なリードナーチャリングの...

news002.jpg

アディダス出身の新CMOが語る “破壊者”オールバーズ復活のマーケティング戦略
Marketing Diveは、スニーカーブランドのAllbirdsでCMOを務めるケリー・オルムステッド氏...