Notesユーザーが考える最新Lotus製品のメリット/デメリットLotusDay 2008リポート

日本アイ・ビー・エム主催のプライベートイベント「LotusDay 2008」が、7月15日、16日に都内で開催された。事前登録者は2000人近くに達し、49社のパートナー企業が出展するなど、Lotusブランドの健在ぶりを示した。

2008年07月31日 08時00分 公開
[富永康信,ロビンソン]

エンタープライズ環境とWeb 2.0とをつなげるツールに

 基調講演に先立ち、あいさつに立った日本アイ・ビー・エム 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 三浦 浩氏は、「“全方位コラボレーション”をキャッチフレーズにする通り、Lotusはさまざまな場面において多彩なツールを活用した生産性の向上、業務改革を推進するツール群の確立を目指している。今後、『Lotus Notes/Domoino 8』や『Lotus Sametime』『IBM Mashup Center』などのツール連携によって、エンタープライズ環境とその外側で起こっているWeb 2.0のムーブメントをスムーズにつなげるものにしたい」と述べる。

画像 「Lotusは生産性の向上と業務改革の推進を支援するツールの確立を目指す」と話す三浦氏

 Lotusブランドは、データベースの「DB2」やソフトウェア開発の「Rational」、アプリケーションサーバの「WebSphere」、統合運用管理の「Tivoli」といった同社のソフトウェア5事業の中でも最も古い歴史を持つ。一方で、Lotusはユーザーとのインタフェースをつかさどるツールであるため、時代を先取りして研究開発を続けているという。

 「20世紀末には既に100万を超えていたLotusユーザーは、現在その数倍に増加している。今後はポータルやWebとの融合を通じて、ユーザーのワークライフバランスを大きく改善する技術になっていくだろう」と三浦氏は語り、今後の発展にも自信を見せる。

第二のエンドユーザーコンピューティングとなる「Mashup Center」

画像 「新たなコラボレーションツールを取り入れて変革を実現させることが重要」と語る澤田氏

 そして、基調講演では、日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 Lotus事業部 事業部長の澤田千尋氏が登壇。「個と個のつながりを強化する3つの要素、『Communication』『Coordination』『Collaboration』でLotusは長年製品を提供してきた」と語る。

 2008年1月にフロリダで開催された「Lotusphere2008」でも、2010年までに数多くの製品をリリースしていくロードマップを発表しているが、澤田氏はそれら注目される新製品の状況についてあらためて報告した。まず、「Lotus Sametime 8.0」の紹介では、「Lotus Sametime Entry」が既にNotes 8に組み込まれ、チャットや在席管理の基本機能が利用可能になっている。また、VoIPによる電話機能の融合を狙い「Sametime Standard」では音声チャットやWeb会議を提供。「Sametime Advanced」ではチャットルームなどの新機能が加わるという。さらには、複数のPBX網をつなぐハブとなる「Sametime Unified Telephony」の製品発表も予定している。

画像 Lotus Sametime 8で提供される製品群《クリックで拡大》

 さらに、7月2日に発表した「IBM Mashup Center」は、Lotus Notes/Dominoに次ぐ第二のエンドユーザーコンピューティングとして大きな期待が寄せられているという。従来のIT部門が維持管理する全社的アプリケーションとは異なり、IT部門の支援なしにユーザー自身がアプリケーションを作るエンタープライズシステムとなる。

画像 「IBM Mashup Center」はウィジェットを組み合わせる「Lotus Mashups」と、Web・部門・個人のあらゆるデータを再利用する「InfoSphere MashupHub」で構成《クリックで拡大》

 2008年の夏以降出荷されるNotes 8.0.2ではクライアントのパフォーマンスを向上させ、Domino 8.5によるWebアプリケーションではUIをよりインターネット的に改善するという。なお、Notes 8からOpenOffice.orgのサブセットを「IBM Office Productivity Tool」として標準搭載したが、「Lotus Symphony」ではOpenOffice.orgの有償サポートを日本でも開始する。上限2万ユーザーを条件に、年間357万5000円(税別)の固定料金で利用できるというこのサービスでは、仮に2万人で利用した場合、1人年間180円というコストパフォーマンスが売りとなる。

 また、Notes関連では「Atlantic」と呼ばれるプロジェクトも進行中で、「SAP ERP」とLotus Notes/Dominoとの組み合わせをカスタマイズなしに利用できるアプリケーション製品が、2008年中に出荷される計画だという。

 加えて、サーバOSやLotus Notes/Dominoを搭載した小型のアプライアンス製品「Lotus Foundations」も出番を待っている。これは50~100ユーザーといった中小規模ユーザー向けの製品となる。

 最後に澤田氏は、「日本のCEOが変革を目指すためには、既存インフラを有効に活用することがカギになる。これまで培ったLotus Notes/Dominoの情報基盤を今後どのように利用し、新たなコラボレーションツールをいかに取り入れていくかが重要になる」と語り、基調講演を終了した。

関連ホワイトペーパー

Web2.0 | Lotus | Notes | グループウェア


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

事例 株式会社primeNumber

一週間かかっていたデータ転送が30分で完了、事例に学ぶデータ基盤の導入効果

データの利活用を進めるためにはデータ基盤の導入が必要だ。しかし、データ基盤を構築/運用するためにはさまざまな課題を乗り越えなければならない。本資料では、データ活用環境の構築に成功した15社の事例からそのヒントを解説する。

製品レビュー 日本オラクル株式会社

有用なインサイトを獲得するには? 実践を阻む課題を解消するデータ基盤活用術

データから得られるインサイトを活用して、企業の競争力を強化していくことの重要性が高まっている。しかし、有用なインサイトの生成は簡単なことではない。その実践を阻む課題を確認しながら、解決策について解説する。

製品資料 ユーソナー株式会社

潜在ターゲットへのアプローチを効率化、消費者の真のニーズを捉える方法とは?

昨今、法人営業においては消費者のニーズを正確に捉え、迅速に対応することが求められている。こうした中で注目されているのが、インテントデータ活用による顧客の興味関心の可視化だ。本資料では、インテントデータのポイントを解説する。

市場調査・トレンド 株式会社セールスフォース・ジャパン

AI時代のデータガバナンス戦略、効果的に実装するために知っておきたい5つの柱

データの爆発的な増加に加えてビジネスにおけるAI活用が加速する中、AIのメリットを最大限に引き出すためにもデータガバナンスの重要性が高まっている。AI時代のデータガバナンスにおいて押さえておきたい5つの柱を解説する。

製品資料 日本電気株式会社

Tableauのクラウド移行により、運用負荷を削減しながら利便性を向上させる方法

データ分析・活用とその前提となるデータ可視化のため、多くの企業で導入されているTableau。有用性の高いツールだが、「運用・保守にコストやリソースが割かれる」などの課題もある。これらの課題を解消する方法を探る。

鬩幢ス「隴主�蜃ス�ス雜」�ス�ヲ鬩幢ス「隰ィ魑エツ€鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ソ�ス�ス�ス雜」�ス�ヲ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ソ�ス�スPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/23 UPDATE

  1. 逕滓�AI縺ョ蝗樒ュ斐r豢礼キエ縺輔○繧九€後�繝ュ繝ウ繝励ヨ繧ィ繝ウ繧ク繝九い縲阪�窶懷ソ��医せ繧ュ繝ォ窶�5驕ク
  2. 縺溘□繝励Ο繝ウ繝励ヨ繧剃ス懊k縺�縺代§繧�↑縺�€€繝励Ο繝ウ繝励ヨ繧ィ繝ウ繧ク繝九い縺ョ3縺、蠖ケ蜑イ
  3. 縺�∪縺輔i閨槭¢縺ェ縺�€後が繝ウ繝励Ξ繝溘せDWH縲阪€後け繝ゥ繧ヲ繝吋WH縲阪�蝓コ遉�
  4. GPU縺ァ繧�NPU縺ァ繧ゅ↑縺就I繝励Ο繧サ繝�し縺ォ縲熊PGA縲阪r驕ク縺カ窶�2縺、縺ョ逅�罰窶�
  5. AI繝「繝�Ν縺ョ縲悟ュヲ鄙偵€阪→縲梧耳隲悶€阪�邨仙ア€菴輔′驕輔≧縺ョ縺具シ�
  6. IoT繝�ヰ繧、繧ケ繧剃ス灘�縺ォ邨�∩霎シ繧€螳滄ィ薙′蠅怜刈縲√€後Α繧ッ繝ュ縺ョ豎コ豁サ蝨上€阪�螟「迚ゥ隱槭〒縺ッ縺ェ縺�シ�
  7. 縺ゅ↑縺溘�諠��ア繧帝寔繧√k窶懊せ繝槭�繝亥ョカ髮サ窶昴€√�繝ウ繝€繝シ縺碁勍繧狗ス�縺ィ縺ッ��
  8. 繝��繧ソ縺瑚ァ」縺�◆讌ュ逡後�窶懊ず繝ャ繝ウ繝樞€昴€€Jetstar縺瑚ヲ九▽縺代◆繝��繧ソ豢サ逕ィ縺ョ謌仙粥豕募援
  9. 窶廣I蛻晏ソ�€�€昴′辟。譁吶〒蟋九a繧峨l繧九€檎峡蟄ヲ繧ェ繝ウ繝ゥ繧、繝ウ隰帛コァ縲�5驕ク
  10. 縲蝉コ倶セ九€代€碁€夊イゥ逕滓エサ縲阪�繧ォ繧ソ繝ュ繧ー繝上え繧ケ縺瑚ェ槭k縲。I驕ク縺ウ縲�7縺、縺ョ蝓コ貅悶€�

Notesユーザーが考える最新Lotus製品のメリット/デメリット:LotusDay 2008リポート - TechTargetジャパン データ分析 鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬯ョ�ォ�ス�ェ髯区サゑスソ�ス�ス�ス�ス�コ�ス�ス�ス�ス

TechTarget鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ク鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�」鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス雜」�ス�ヲ 鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬯ョ�ォ�ス�ェ髯区サゑスソ�ス�ス�ス�ス�コ�ス�ス�ス�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/04/23 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...