「Vista飛ばし」をGartnerが勧めない理由Windows 7はβも見えず

発売から1年半以上たっても企業での普及が進まないWindows Vista。だが、Gartnerは「Vistaを飛ばしてはいけない」と言い切る。

2008年09月18日 08時00分 公開
[Zach Church,TechTarget]

 「Windows Vista」はIT業界ではいまだにある種の禁句になっている。Windows Vistaの話になると、まるで政治家や税金について話しているときのようにあきれた表情になってしまう。

 MicrosoftがこのOSを2007年1月にリリースしてから1年後に米Gartnerが実施した調査では、Windows Vistaは企業のデスクトップPCの約1%、ノートPCの約2.5%にしか採用されていないことが分かった。CIOやIT管理者が、悪評高いこのOSの導入を急いでいないことは明らかだった。

 しかしそれからさらに半年たって、Gartnerははっきりと、「Windows Vistaを飛ばしてはいけない」と言い切った。

 理由はいろいろある。アプリケーションベンダーがWindows XPのサポートを打ち切るかもしれない。2010年に登場予定のWindows 7はバグだらけかもしれない。Windows VistaかWindows 7に移行する段になってIT予算が底を突くかもしれない。

 しかし米King Researchが2008年6月に実施した調査では、少なくとも移行の先延ばしを検討しているIT管理者が多かった。

 この調査はシステム管理ツールメーカーがスポンサーとなって実施したもので、60%がWindows Vista導入の計画はないと回答した。回答者1162人のうち、IT管理職や管理職級のIT担当者が約90%を占めている。

 92%はWindows Vista SP1がリリースされてもWindows Vista導入計画に変更はないと答え、14%は導入の決断をする前にWindows 7に関する詳しい情報を待っていると答えた。さらに14%はWindows Vistaを飛ばしてWindows 7を待つと回答。非Windows OSへの切り替えを検討したことがある回答者も半数近くに上ったが、多くは複数OSを管理する難しさに不安を持っていた。

 King Researchの調査ではWindows Vistaを完全導入した組織は2%のみだったが、2007年11月の1%からは増えた。

 GartnerがWidnows Vistaを飛ばしてはいけないという理由は確かに可能性ばかりだ。しかしいずれも極めて現実的であり、現実のものとなった懸念だと、Gartnerの著名アナリスト、マイケル・シルバー副社長は言う。

関連ホワイトペーパー

Windows Vista | 運用管理 | Linux | シンクライアント


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 NTTテクノクロス株式会社

東レの事例に学ぶIT資産管理の効率化、属人化を解消して利便性を高めた秘訣は?

独自開発したIT資産管理ツールが属人化し、セキュリティリスクにつながる不安要素となっていた東レ。しかし、今やその状況は変わり、インベントリ情報のリアルタイム更新を実現し、正確性も向上したという。同社はどう取り組んだのか。

事例 NTTテクノクロス株式会社

棚卸のたびに誤りが判明、「煩雑なIT資産管理」を適正化するには何が必要?

働き方の多様化を受けてIT資産の状況も細分化が進んでいる。こうなると運用負荷が増大し、不十分な管理がコンプライアンスやセキュリティのリスクを招いてしまう。現状に適した管理体制に移行するには、どのような対応が必要なのだろうか。

事例 NTTテクノクロス株式会社

海外拠点を含めて運用をリアルタイムに可視化、ダイキンが挑んだIT資産管理改革

グローバル空調機器メーカーであるダイキンでは、IT資産管理におけるさまざまな課題が浮上していた。そこで同社は、IT資産管理の仕組みの抜本的更新を決定。現在では、IT資産管理の一元管理を実現している。同社の事例を詳しく紹介する。

事例 横河レンタ・リース株式会社

迅速かつ柔軟なPC調達を実現、PCの運用コストも削減するレンタルという選択肢

コロナ下に数十台のPCを調達することが必要になり、迅速かつ確実な手段としてレンタルPCサービスを導入した備後漬物。迅速で柔軟性の高いサービスによりPC調達業務の大幅な効率化を実現し、トータルコストの削減にもつながっているという。

事例 株式会社エヌアイデイ

エアライン系 総合商社の事例から学ぶ、ミッションクリティカルなシステム運用

ANAグループの総合商社は、老朽化したオンプレミス基盤をクラウドへ移行するに伴い、システム全体の運用監視業務をアウトソース。コア業務に専念しつつ、24時間365日 サービスの安定的提供を実現した事例を紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news103.jpg

「AR」でMetaに勝てる? SnapのCEO、エヴァン・シュピーゲル氏はこう語った
SnapのCEO、エヴァン・シュピーゲル氏が最近、動画インタビューに立て続けに登場している...

news085.jpg

SEOに欠かせない「インデックス」について徹底解説【初心者必見】
今回は、SEOにおける「インデックス」について、わかりやすく解説します。

news090.jpg

マーケ担当者はなぜ「広報」を誤解するのか?
「マーケティング」と「広報」活動は似て非なるもの。この連載では2つの業務を兼務する人...