2008年11月06日 08時00分 UPDATE
特集/連載

クラウド時代をリードするモバイルSaaS【第1回】ケータイ活用の進化形「モバイルSaaS」がウケる訳

ASP/SaaSビジネスは黎明(れいめい)期を過ぎ発展の段階に入った。特に「モバイルSaaS」市場の盛り上がりが顕著だ。法人市場で新しいSaaSも登場する中、制約の多い携帯端末で利用するSaaSの可能性とは?

[井上猛雄]

携帯端末がSaaSに利用される理由

 最近、企業で急速に広まってきたSaaS(Software as a Service)の利用に、新しい動きが起きている。サービスの利便性や効率性を一層高めるために、社内のPCだけでなく、社外で(ノートPC以外の)携帯端末からアクセスが可能な「モバイルSaaS」だ。

 モバイルSaaSの活用として考えられる事例を幾つか挙げてみよう。フロントオフィス業務(CRM、販売管理)では、携帯端末から顧客データベースに安全にアクセスし、情報リソースを有効活用するシーンがあるだろう(図1)。一方、バックオフィス業務(販売管理・売掛管理、在庫管理)でも、オフィス側から倉庫の在庫状況を、逆に倉庫側から営業の受注内容をリアルタイムに把握し、商品情報をダウンロードすることで、システムを物流を中心にしたものに変えられる(図2)。

図1 図1●モバイルSaaS活用事例:フロントオフィス業務(CRM、販売支援)に活用
図2 図2●モバイルSaaS活用事例:バックオフィス業務(販売管理、売掛管理、在庫管理)に活用

 また、保険業や医療・介護・福祉などの分野でも、業種に特化したサービスでの活用が考えられる。モバイルSaaSによって、保険業では見積もり情報を外出先から取得する支援システムを提供できる。また、医療・介護・福祉では携帯端末による診察予約、予約状況確認のサービスなどが可能だ。

 さまざまな活用シーンが想定されるSaaSだが、携帯端末を利用しようという背景の1つには、いつでも、どこでも利用できる携帯電話やスマートフォンなどの機器が高性能化し、業務用端末として活用する企業が増えてきた点が挙げられる。実際に経済産業省の調査(出典:「平成18年情報処理実態調査結果報告書」)によれば、業務に携帯端末を利用している企業の割合は、2004年には36.9%だったものが、2005年には46.9%に上昇しており、ノートPCに次いで利用率が高いという。

 さらに現在では端末の通信速度も高速化している。携帯電話も3.5G携帯が市場のメインストリームとなり、十数Mbpsクラスのデータ通信に対応できるようになった。インターネットに接続する場合でも、従来の固定ブロードバンドと遜色(そんしょく)のないハイスピードでWebを閲覧できるようになった点は大きいだろう。実際に利用するWebブラウザやアプリケーションの起動時間も短く、操作面でもストレスがほとんどない。

 ではセキュリティ面はどうか。従来、外回りをする営業マンなどがノートPCを持ち出して利用することもあったが、どうしても盗難・紛失といったセキュリティに対するリスクが付きまとう。利便性を取るか、あるいはセキュリティを取るかという問題のはざまで、社外での利用に規制を掛けたり、持ち出しに二の足を踏む企業も少なくなかった。その点モバイルSaaSでは、無線ネットワーク経由で携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末をシンクライアント的に利用し、端末にデータが残らないような使い方が可能だ。また万が一端末を紛失してしまっても、管理者側から端末にアカウントロックやデータ消去といった機能を適用できるため、第三者に悪用される危険性を抑え、セキュリティ面の心配からは解放される。

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