わたしはよく顧客から、「1つのプロセッサコアで現実的に利用可能なデスクトップ仮想マシン(VM)の数は幾つか」と尋ねられる。わたしの答えは、業界の経験則に基づいて判断するか、あるいは自社のデスクトップPCでパフォーマンスを確認し、CPU要件を見積もればよいというものだ。
業界の一般的な例を見ると、3.0GHzのクアッドコアCPUを2個搭載したサーバでは、通常30〜80台のデスクトップVMを動作させることができる。この台数を左右する要因は、VM上のデスクトップがどのようなものかだ。以下に、仮想デスクトップをユーザーのタイプ別に分類し、前述のサーバの場合にそれぞれ何台のデスクトップVMを1つのCPUコアで動作させることができるかを「n対1」の形で示す。なお、以下ではこの割合を「基準サーバのコア当たりデスクトップ統合比」と呼ぶ。
約300MHzに相当するCPUリソースを使用するとみられる。このタイプのユーザーとしては、キオスクマシンオペレーター、受付係、役員、Webブラウザの初心者ユーザーなどが考えられる。こうしたユーザーのデスクトップはサスペンドされていたり、あまり利用されていない場合が多そうだ。このため、基準サーバのコア当たりデスクトップ統合比は10対1程度になると見込まれる。

約500MHz相当のCPUリソースを使用するとみられる。このタイプのユーザーには、データ入力担当者、医師、学生、Microsoft Officeユーザー、カスタムアプリケーションを使用するテレマーケティング担当者、ヘルプデスク担当者などが含まれる。こうしたユーザーのデスクトップは、業務時間中や授業・自習時間中にのみ使われる傾向がある。このため、基準サーバのコア当たりデスクトップ統合比は6対1程度になると見込まれる。
約800MHz相当のCPUリソースを使用するとみられる。このタイプのユーザーとしては、開発者、システム管理者、IT担当者、データベース管理者、エンジニアなどが挙げられる。こうしたユーザーのデスクトップは1日中、通常の業務時間後も含めてよく使われる傾向がある。またこうしたユーザーは、デスクトップのパフォーマンスに悪影響を与える重いグラフィックスやJavaアプリケーションを必要とする場合がある。このため、基準サーバのコア当たりデスクトップ統合比は3.75対1程度になると見込まれる。
1GHz以上相当のCPUリソースを使用するとみられる。このタイプのユーザーとしては、グラフィックスを日常的に扱うCADユーザーやグラフィックス開発者などが考えられる。また、JavaやWebデザインのために強力なCPUを必要とする開発者も、このタイプのユーザーに含まれる。こうしたユーザーのデスクトップはほとんど常に活発に使われている。このため、基準サーバのコア当たりデスクトップ統合比は2対1程度になると見込まれる。
以上のサイジング方法を参考にしてVDI(仮想デスクトップインフラ)を設計する際には、実環境ではこうしたさまざまなタイプのユーザーが混在していることに留意する必要がある。また、メモリとHDD容量の割り当ても考慮しなければならない。多くの場合、これらはCPUよりもスケーリングが必要だからだ。
VDIのもう1つのサイジング方法は、実環境で実際のデスクトップの統計データを集め、基本的な計算を行うことだ。
例えば、社内の標準的なデスクトップが、2.5GHzシングルコアCPUのリソースの平均10%を使用しているとする。すると、MHz単位では250MHzが必要ということになる。ちなみにこのデスクトップは、ピークパフォーマンスではCPUリソースの25%、つまり625MHzを使用するが、それは毎日20分間に限られる。デスクトップが一般的な業務時間に使われるという前提で、このピーク時の数字を考慮して算出されたのが、10%という平均CPU使用率だ。
注意しなければならないのは、こうしたデスクトップの仮想化では、グラフィックス、サウンド、接続されるデバイスなどの仮想化に伴う若干のオーバーヘッドが発生することだ。これにより、仮想デスクトップ当たりのCPU使用量が増えるが、ここでは余裕を見て30%加算することにする。この加算量は次のように計算される。
250MHz×30%=75MHz
これにより、仮想デスクトップ当たりのCPU使用量は次のようになる。
250MHz+75MHz=325MHz
3.0GHzクアッドコアCPUを2個搭載したサーバを使うとすると、このサーバでホスティングされるデスクトップVMの台数は、次のように計算される。
(3.0GHz×8)÷325MHz=73.85台
こうした計算は完ぺきなものではないことに留意する必要がある。実際にテストすることによってのみ、正しいデータが得られる。だが大抵の場合は、こうした計算により正確な値に十分近い数字を導き出し、VDIのサイジングに役立てることができる。
本稿筆者のブラッド・マルツ氏は、仮想化やストレージ技術を専門とするコンサルティング会社International ComputerwareのCTO(最高技術責任者)。VMwareやEMCのさまざまな技術の認定資格を持つ。