仮想化環境の性能を向上させるコツ
仮想マシンのパフォーマンスを損なう4つのイージーミス
ほんのちょっとした設定ミスが、仮想化環境における仮想マシンのパフォーマンスを大きく低下させることがある。本稿ではそうした設定ミスと、その対処法について解説する。
イージーミスは高くつく。仮想化環境では多くの場合、ちょっとしたイージーミスが深刻なパフォーマンス問題を引き起こしてしまうのだ。そこで以下では、わたしがコンサルティングを行う中で見てきたこうした重大なミスを幾つか紹介しよう。中には、分かりきっていると思われるものもあるかもしれない。だが、あなたの会社の設定をチェックしてみていただきたい。その結果に驚くことになるかもしれない。
1. 仮想マシンのスクリーンセーバ
スクリーンセーバは、オフィスの受付にあるデスクトップPCには必要不可欠だ。スクリーンセーバのおかげで、ユーザーがコンピュータから離れている間に画面がのぞき見される心配がない。また、スクリーンセーバはデータセンターでもコンピュータを保護してくれる。サーバで数分間操作が行われず、スクリーンセーバが起動してコンソールをロックすると、その環境は物理的にアクセスできる侵入者がいても保護される。
しかしスクリーンセーバは、プロセッサリソースを少量ながら使用する。スクリーンセーバは重要な機能には見えないとしても、画面中をはい回るパイプを描画したり、お気に入りの企業スローガンをスクロール表示するために、プロセッサパワー全体の数%が消費される。大した消費量ではないと思うかもしれないが、統合型の仮想環境では1台の物理サーバ上で10~15台の仮想マシン(VM)が動作する場合がある。その場合、数%にVMの台数を掛けた割合のプロセッサパワーが使われることになる。しかも、会社の環境で仮想デスクトップを導入し、ホスティング型デスクトップを利用していると、さらにコストがかさむだろう。
従って、スクリーンセーバは無効にするべきだ。多くの環境ではグループポリシーでスクリーンセーバを強制しているため、スクリーンセーバを無効にするには、既存のグループ・企業セキュリティポリシーからスクリーンセーバを削除することが必要かもしれない。
2. コンソールからの管理
このミスは最も悩ましい問題の1つだ。IT管理者に広く見られるからだ。あなたはインフラコンポーネントの管理を個々のサーバにリモートログインして行っているだろうか。ExchangeサーバからExchange Management Consoleを実行しているだろうか。DNS(ドメインネームサーバ)設定のチェックをサーバコンソールから行っているだろうか。ドメインコントローラーにリモートでログオンしてActive Directoryを管理しているだろうか。
もしそうなら、これらのやり方はやめなければならない。
スクリーンセーバと同様に、これらも仮想化環境では厳禁だ。Explorerシェルのインスタンスを作成・維持するのに多くのリソースが必要になるからだ。VMにログインするだけで、VMのプロセッサ負荷を高めてしまう。コンソールのシェルを作成するプロセスにより、ログインとログアウトの際にプロセッサ使用量が急増する。サーバ上でこれらのコンソールを実際に使うと、貴重なリソースがさらに消費されることになる。VMのデスクトップにログインして操作を行うと、使用メモリが増えてしまう。
MicrosoftはRemote Server Administration Tools(RSAT)、PowerShell、VBScriptなど、VMを効率的に管理するためのさまざまなツールを提供している。これらの軽量ツールでは、従来のようにログインする場合と比べて必要なVMキャパシティーがはるかに少ない。こうしたツールを使い、プロセッサパワーやメモリの浪費という初歩的な誤りを避けなければならない。
3. VMに対するセキュリティ対策ソフトのリアルタイムスキャン
あなたの会社のセキュリティポリシーでは、VHD(Virtual Hard Disk)ファイルやVMDK(Virtual Machine Disk Format)ファイルをウイルス対策プログラムのスキャンから除外することは許可されていないかもしれない。しかし、こうしたプログラムによるリアルタイムスキャンは、これらのファイルの、ひいてはVMの全体的なパフォーマンスを大幅に低下させる恐れがあることに注意する必要がある。VMの処理はディスクサブシステムに大きく依存するため、ディスクサブシステムのプロセスを減速させる付加的な処理は、VMも減速させてしまう。
VMディスクファイルをセキュリティスキャンの対象にしてはならないということではない。スケジュール設定されたスキャンをこうしたファイルに対して実行すれば、リアルタイムスキャンによる処理のオーバーヘッドなしで感染の有無を確認できる。また、現在の先進的なスキャン製品の一部は、仮想環境への全体的な影響が少なくなるように、仮想環境を認識する機能を搭載し始めている。セキュリティポリシーで許可されているのであれば、あるいはそうでなくても、許可されるようにセキュリティ責任者を説得できるなら、VMディスクファイルをリアルタイムスキャンから除外することを考えなければならない。
4. Windows Serverの電源オプション
わたしは米国各地のカンファレンスでプレゼンテーションを行ってきたが、聴衆の中にはこのミスを犯している人が必ずいた。Windows Server 2008の電源オプションは、インストール後のデフォルト設定は[バランス]だ。これは、利用可能な3つのオプション([バランス][省電力][高パフォーマンス])の中で、全体的なシステムパフォーマンスが2番目に高いものだ。このオプションでは、電力コストをある程度抑えられるが、その一方でサーバの処理能力の一部が無駄になる。電源オプションを[高パフォーマンス]に変更することで、VMのパフォーマンスが目に見えて向上する。
この設定変更は、グループポリシーを使って行うのが一番簡単だろう。新しいポリシーを作成し、[コンピューターの構成]-[ポリシー]-[管理用テンプレート]-[システム]-[電源の管理]の下にある[現在使用されている電源プランを選択する]という設定を有効にして、[現在使用されている電源プラン]として[高パフォーマンス]を指定する。このポリシーをサーバインフラ全体に適用することで、常に高いパフォーマンスが期待できる。
本稿筆者のグレッグ・シールズ氏は、フリーランスのライター、インストラクター、ITコンサルタントで、Microsoft MVP受賞者。Concentrated Technologyの共同創業者でもある。ITアーキテクチャとエンタープライズ管理について約15年の経験を持ち、Microsoft製品の管理、システム管理および監視、仮想化を専門とする。著書として「Windows Server 2008: What's New/What's Changed」(SAPIEN Press刊)などがある。
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