米TechTarget 2012年IT投資調査
2012年はWindows 7移行が加速──クラウド時代の幕開けは?
米TechTargetが世界各地を対象に行った読者調査により、2012年の企業投資動向が明らかになった。Windows 7への移行が進む一方で、クラウドについても興味深い結果が見られた。
CIOは2012年、予算が圧迫され、景気の先行きも見えない中で、ビジネス要件を踏まえて資金を最適に分配するという難題に取り組まなくてはならない。米TechTargetは2011年11月に、世界各地のIT担当者とビジネスアナリスト2642人を対象に、2012年のIT投資動向を調査した。この調査では、66種類のITプロジェクトを提示し、各社で投資対象とするプロジェクトを選んでもらった。
結果は、インフラストラクチャビジネスからITは脱却しつつあると考えている読者にとっては驚く内容かもしれないが、米TechTargetがここ数年追跡してきたITの優先事項に合致する結果になった。以下に、回答企業の50%以上が投資を予定しているプロジェクトを、導入予定が最も多い順に示す(かっこ内は2011年の順位)。
これらには、障害復旧/事業継続性、ビジネスインテリジェンス(BI)/ビジネス分析/データウェアハウジングが続き、いずれも回答企業の40%以上が投資を予定している。今回2位のサーバ仮想化については、回答企業の3分の1が仮想サーバのバックアップとストレージの仮想化に注力するとし(これらも障害復旧計画の一環だ)、順位以外にも幾つかの変化が見られた。
ここ数年間サーバ仮想化が注目されているのは、同じく近年注目を集めているデータセンター統合の影響もある。グローバルでは38%の回答企業が、2012年にデータセンター統合を実施するとしている。北米のみではこの割合は30%に落ちるが、これは北米ではデータセンター統合に5年以上前から取り組んでいるためだろう。サーバ仮想化はデータセンター統合を実施する回答企業の67%が採用しており、ホステッドサーバ(30%)や統合インフラストラクチャ(26%)、クラウド(25%)などのテクノロジーを大きく引き離している。
クラウドコンピューティングは、2011年の22%から上昇しているが、本調査の誤差範囲である2.5%以内の伸びでしかない。それよりも興味深いのは、現在クラウド導入を検討する最大の理由が、SaaS(Software as a Service)である点だ。何らかの形でクラウドを導入する回答者のうち、55%は2012年にSaaSを導入する予定で、その次の優先事項であるStorage as a Serviceの35%を大きく上回っている。実際、SaaSを採用する回答企業は、2012年中にエンドユーザーの57%が1つ以上のクラウドアプリケーションを使用するようになるとしている。
クラウド時代の到来は、まだ先
しかし、クラウドコンピューティングがすぐにデータセンターに取って代わると考えるのは早計だ。北米では、2012年にクラウドストレージを導入するとした回答企業は30%で、それらの企業の全ストレージ容量のうちクラウドストレージの容量は約30%だ。また、サーバインフラストラクチャをクラウドに配置している回答企業は31%で、2012年に予定しているクラウド運用分は平均して全インフラストラクチャの20%にすぎない。さらに、一般には当面、プライベートクラウドの採用が進むと考えられているが、実際に2012年に導入を予定しているのは18%のみだ。
他にメディアや業界でもてはやされているクラウドの分野で2012年に導入される見込みが低いのは、オンラインプロダクティビティアプリケーション(10%)とホスティングメールまたはクラウドメール(6%)だ。
2012年のクラウド関連の主な投資先は、マネージドサービス(49%)とSaaS(44%)になるだろう。これらよりも実績のない分野は、依然として苦しい戦いを強いられる。クラウド導入に関する懸念事項としては、セキュリティ、データ保護、信頼性がトップ3に挙がっている。これらに関連する問題、つまり、セキュリティ、データ保護、障害復旧、コンプライアンスがIT全体で重視されていることを考えれば驚くことではない。
2012年の全体的なアプリケーション導入の状況を見ると、北米の回答者の66%がオンプレミスソフトウェアとハードウェアを採用するとしている。続いて、SaaSが33%、プライベートクラウドとオンプレミスソフトウェアが29%、アプライアンスが22%、モバイルが17%となっている。PaaS(Platform as a Service)およびプライベートクラウドと自社開発ソフトウェアを使用するとしたのは、それぞれ14%だった。
上記の導入モデルはどれもパッケージアプリケーションを対象としているが、カスタム開発もアプリケーションを提供する重要な手段の1つであることに変わりなく、2012年には34%がカスタム開発を行い、19%がパッケージアプリケーションを利用すると回答している。2012年に導入が予定されている汎用アプリケーションはおなじみのものばかりで、専門アプリケーションについてはERP、財務、CRM、人事アプリケーションが上位を占めている。ただし、トップはBIで、2012年には回答企業の43%が導入を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
3
生成AIで開発工数を圧縮 「工数150分の1」を叩き出した実例
-
4
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
7
「座学AI研修」はもう限界 過半数が不満を抱く実務とのギャップ
-
8
「最大の脆弱性は従業員」が8割 AI活用で深まるCISOの孤立と苦悩
-
9
AI丸投げで「現場のスキル」が消える? DHLが実践する空洞化防止策
-
10
AIエージェント導入を急ぐな 先行企業が「データ基盤」を優先する理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー