「Hyper-VかVMwareか」の選択に役立つ移行評価ツール特定製品への先入観を取り払う

ハイパーバイザーの選択は、客観的データに基づいて行われることが望ましい。選択肢のハイパーバイザーに移行した際のROI(投資利益率)とTCO(総所有コスト)を、算出するツールを紹介する。

2012年08月06日 08時00分 公開
[Serdar Yegulalp,TechTarget]

 物理マシンから仮想マシン(VM)への移行で使用するP2V(Physical to Virtual)移行ツールの多くは、移行の評価または支援(もしくはその両方)を目的としている。

 移行評価は、アプリケーションを使って物理マシンとそのソフトウェアワークロードを検査し、移行ターゲットのVM構成を推奨する機能だ。一方の移行支援は、実際の移行プロセスを自動化する機能であり、移行したマシンが期待通りのパフォーマンスを発揮するための事後フォローアップを備えた製品もある。

 私が「5nine P2V Planner」(以下、Planner)を初めて知ったとき、この製品は上記2つのうち、移行評価機能を主に提供するツールだと思っていた。しかし実際には、ハイパーバイザーの選択を支援するツールであり、対象となるジョブを米MicrosoftのHyper-VあるいはVMware vSphere(以下、vSphere)に移行した場合の相対的なメリットに関する情報を、管理者に提供してくれるのだ(関連記事:Hyper-V環境をGUIで管理できる「5nine Manager」の魅力)。

P2V Plannerの主要機能

 P2V Plannerはある意味で「5Nine Migrator」(以下、Migrator)の弟分に当たる製品と言えよう。Migratorは分析とプランニング、P2V移行の支援に加え、移行したマシンとワークロードを継続的に事後評価する機能を提供する。一方のPlannerは、プランニングと評価に特化した製品だが、Migratorを使ったことがある(あるいは使う予定がある)人であれば、Plannerに親しみを覚えるだろう。というのも同じメタファー(比喩的表現)やレポーティング手法が数多く用いられているからだ。

 vSphereとHyper-Vのどちらが自社の仮想化ニーズに適しているのかを検討している人にとって、Plannerの最大の存在意義は、意思決定支援ツールとしての価値である。管理者の中には「皆が使っているのでVMwareを使うつもりだ」とか「Microsoft製品で統一しているので、当然Hyper-Vを選ぶ」と安易に考えている人も多いようだ。

 しかし現実はそれほど単純ではない。特定のハイパーバイザー向けに高度に最適化されたワークロードは、他のハイパーバイザーでは問題が生じる可能性がある。ライセンスのコストも構成によって大きく変わるだろう。また、既存の仮想化インフラへの投資も考慮すべき要因だ。このため、特定のソリューションへの移行に伴うさまざまな問題を複数の観点から把握することが大切だ。

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