「導入してもなかなか社員が利用しない」。これは、社内SNSやコラボレーションツールを利用する上での大きな課題だ。利用を促進させるために必要な要素や施策を、識者に聞いた。
社員が個人的にソーシャルコラボレーションを利用することは一般的になっているが、会社を挙げてソーシャルネットワーキングやコラボレーションのプラットフォームを導入することは少ない。ましてや、実際にプラットフォームが業務に役立っているケースはめったにない。これが、Webコンテンツとソーシャルソフトウェアを専門とする米独立系調査サービス会社Real Story Groupのトニー・バーン代表が知る実情だ。ビジネスプロセスにソーシャルコラボレーションを取り入れる場合も、単なるテクノロジーの実装ではなく、ユーザーのニーズを把握することがツール運用の成否を左右する。
米TechTargetでは、企業内ソーシャルネットワーキングおよびコラボレーションの利用について、バーン氏に話を聞いた。同氏は特定のビジネスアプリケーションに的を絞ること、導入プロセスにIT担当者を巻き込むことの重要性を説いている。また、ソーシャルツール間の統合が依然として難しい理由も聞くことができた。
―― 企業には、活用しきれなかったソーシャルネットワーキングおよびコラボレーション関連のソフトウェアの残骸が散在しています。このようなアプリケーションを活用できるのはどのような場面でしょうか? また、成功の秘訣は何でしょうか?
バーン氏 私が知っている中で運用に成功している企業は、主に、用途が特化されたアプリケーションをビジネスプロセスに取り入れるようにしています。また、このような企業では、ユーザーがアプリケーションの価値を理解できる形で運用されています。ですから、例えば、ソーシャルQ&Aなどは、M&A(企業の合併・買収)が行われた場合に非常に役立ちます。イノベーション管理(以前はアイデアを創造するプロセスを指す「アイディエーション」と呼ばれていたもの)は、自社の研究開発部門(R&D)以外の協力を得て、研究開発を行う場合に特に便利です。ナレッジベース管理関連も有効でしょう。これはありきたりに思えますが、CRM(顧客関係管理)などでは非常に重要です。また、専門サービスを提供する非常に規模の大きい多国籍企業を対象に弊社で実施した事例研究によると、Expertise Location(専門家や専門性の所在を特定するシステム)を導入したことで、それまでよりもはるかに顧客の要望に応えられるようになっています。
―― 企業が陥りがちな間違いは何でしょうか?
バーン氏 避けたいのは、ソーシャルコラボレーションプラットフォームを導入して、全員が使えるようにすれば、期待する全ての成果が得られると考えてしまうことです。このプラットフォームは便利なサービスですが、実際のアプリケーションではなく、補助用のヘルパーアプリケーションであるといえます。そのため、このソーシャルコラボレーションサービスが使われる具体的な場面をイメージし、各業務に合わせてカスタマイズする必要があります。より洗練されたプラットフォームの場合は、Wiki、プロファイル、コメント、インスタントメッセージなど、さまざまな機能をいかに使いこなし、実務上の問題を解決するビジネスアプリケーションを作り上げるかを考えなければなりません。
これが、いわゆるユーザーの受け入れ問題への対策になります。目標は導入することではなく、業務上のメリットを得ることです。実際に日常業務に役立つのであれば、ユーザーはツールを利用します(関連記事:エンタープライズコラボレーション──成功のカギは社員の意欲)。
―― ソーシャルネットワーキングおよびコラボレーションの業務活用には誰が関与すべきでしょうか? また、企業は活用するアプリケーションをどうやって決めるのでしょうか?
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