ファイル圧縮にはHDD容量の節約というメリットがあるが、トレードオフとしてシステムパフォーマンスが低下すると一般的には考えられている。しかし、場合によっては逆にパフォーマンスが向上するという説もある。
最近、ある技術カンファレンスで友人と夕食を共にしたとき、HDDの圧縮が話題に上った。その友人は、マシンのパフォーマンスを改善する方法としてHDD圧縮を利用していると言った。わたしは少し驚いた。その目的でHDD圧縮を利用したことはなかったからだ。
HDD圧縮では、ファイルをHDDに書き込む際にファイルの冗長性が排除され、HDD容量が節約されるが、トレードオフもある。ファイルをHDDから読み出す際にファイルの展開が必要になることだ。展開プロセスではCPUリソースが消費されるが、ファイルが圧縮されていなければ、このリソースは使われないわけだ。このため、HDDを圧縮しない方がマシンのパフォーマンスが高いと、わたしはずっと思っていた。
なので、友人がシステムパフォーマンスを改善するためにHDD圧縮を利用していると知ったときは、ちょっと意外だった。友人は決して無知ではないので、HDD圧縮でパフォーマンスが改善し得ると考えるからには、しかるべき根拠があるはずだった。
わたしは興味津々で、説明してほしいと彼に頼んだ。そして分かったのは、「システム全体の中でHDDが最も遅いコンポーネントであり、システムを高速化する1つの方法は、HDDに読み書きするデータの量を最小限に抑えることだ」と彼が考えたということだった。圧縮により、HDDに保存されるファイルのサイズが小さくなり、そのおかげでHDDのI/Oが高速化するというわけだ。
展開プロセスについて尋ねると彼は、「そのプロセスは必要だが、ファイルがHDDから読み出された後で行われる」と説明した。メモリはHDDより速いメディアなので、展開プロセスは非常に高速だという。
となると、残る問題はHDDを圧縮すべきかどうかだ。
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