マイクロソフトは、2010年の仮想化戦略として、サーバ仮想化とデスクトップ仮想化の両市場において本格的に攻勢を掛ける方針を打ち出している。
まず、マイクロソフトのサーバ仮想化に向けた事業戦略から見ていこう。マイクロソフトのサーバ仮想化戦略の中核となる製品は、2009年秋にリリースした「Windows Server 2008 R2」だ。同製品には、大幅に機能強化された最新ハイパーバイザー「Hyper-V 2.0」が標準で含まれており、まさにサーバ仮想化を推進する基盤として位置付けられる製品となっている。
「Windows Server 2008 R2およびHyper-V 2.0の投入によって、仮想化市場で先行しているヴイエムウェア製品と同等の機能を提供できる体制が整った。この強力なサーバ仮想化製品をベースに、2010年はプライベートクラウド関連のビジネスを加速させていく」と語るのは、マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 マネージャーの藤本浩司氏だ。
同社がプライベートクラウドにフォーカスする理由には、2つの市場背景がある。1つは、2010年7月13日にWindows 2000 Serverの延長サポートが終了すること。
「Windows 2000 Serverの延長サポート終了に伴い、多くの企業がサーバ環境を見直すことになる。このタイミングで、Windows Server 2008 R2への切り替えが進めば、Hyper-Vによる仮想化レディサーバが一気に広がる可能性がある。また、すべてを切り替えずに、ハイパーバイザー上でWindows 2000 Server環境を継続したいというニーズも少なくないだろう」と藤本氏。
2つ目の市場背景は、サーバマシンの性能が大幅に向上してきたことだ。今や4コア、6コアのCPUを搭載した高性能サーバマシンは当たり前であり、その価格性能比も高まってきている。これによって、言葉だけが先行しがちだったプライベートクラウドを、すぐにでも具現化できるハードウェアプラットフォームが整ってきたのである。
こうした市場背景を追い風に、マイクロソフトでは、プライベートクラウドを推進する目玉ソリューションとして、「ダイナミックデータセンターツールキット」のエンタープライズを2010年中にリリースする計画だ。
「ダイナミックデータセンターツールキットは、Windows Server 2008 R2と仮想化運用管理ツールのSystem Center Virtual Machine Managerを活用して、クラウド環境を迅速に構築するテンプレートキット。これまではホスティング事業者向けに提供していたが、2010年中に、社内向けのサービスであるActive Directoryと連携するなどプライベートクラウド環境に対応し、エンタープライズ向けにも展開していく。このツールキットを利用することで、企業の管理者は複雑な設定をする必要がなくなり、プライベートクラウド構築に掛かる作業負荷を大幅に軽減できる」(藤本氏)と、プライベートクラウド推進の起爆剤に大きな期待を寄せている。
プライベートクラウドにフォーカスしたサーバ仮想化戦略を進める一方で、同社にとってもう1つの重要なキーワードとなるのが「中堅・中小企業」だ。
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