2012年4月にマネージドセキュリティサービス(MSS)の利用を開始した日産自動車。同社は、なぜMSS利用を決断し、どう選定したのか。同社CIOの行徳セルソ氏が明かした。
日産自動車は、同社のグローバル情報ネットワークのセキュリティ対策として、マネージドセキュリティサービスを採用した。背景には、同社におけるサイバー攻撃の発生や情報システムを取り巻く環境の変化があったという。
本稿は、シマンテックの新製品発表会に登壇した、日産自動車のCIOである行徳 セルソ氏の話を基に、同社のマネージドセキュリティサービスの導入経緯やサービス選定の理由を示す。
日産自動車がマネージドセキュリティサービスの利用を検討するきっかけとなったのが、2012年4月に米国拠点で発生したサイバー攻撃だった(参考:日産自動車の米国向けニュースリリース)。
2012年4月13日、同社の情報セキュリティチームが、ネットワークにマルウェアが存在することを確認した。このマルウェアは、従業員のユーザーアカウントの認証情報などを保管するデータストアから、データを抜き出して転送する機能を持っていたという。
情報セキュリティチームは、マルウェアの検知後、即座にシステムやデータの保護作業に取り掛かった。ユーザーIDやハッシュ値で保存されたパスワードが転送された可能性はあるものの、顧客情報や従業員情報、プログラムの被害は発生しなかったと、同社執行副社長のAndy Palmer氏は声明で明らかにした。
サイバー攻撃の発生は、セキュリティ強化を進めていた矢先の出来事だったと、行徳氏は語る。
日産自動車と仏Renaultは、グローバル情報ネットワーク統合の一環として、ファイアウォールやゲートウェイといったネットワークセキュリティの標準化を進めていた。標的型攻撃をはじめとした攻撃手法の変化、ソーシャルメディアやスマートフォンに対する新たな脅威への対処が必要だったことが背景にある。
こうした環境の変化に備えるには、攻撃後の対処を中心としたリアクティブな対策から、攻撃の予兆を検知して対処するプロアクティブな対策への転換が必要だと行徳氏は判断。2011年にネットワークモニタリングの導入検討を開始するなど、取り組みを進めていた矢先に、サイバー攻撃が発生した。
「想定段階だった戦略が、必須になった」と判断した行徳氏は、プロアクティブなセキュリティ対策の具現化を急いだ。その手段として行徳氏が選んだのが、シマンテックのマネージドセキュリティサービス(MSS)の利用である。「グローバルのネットワーク全体をリアクティブにモニタリングするため」、2012年4月にシマンテックのMSSである「Managed Security Service」を利用開始した。
国内外問わず、利用可能なMSSは数多い。こうした中、日産自動車がシマンテックのMSSを選定した理由は何か。そのキーワードとなるのが、「グローバル」と「ローカル」である。
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